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閑話4−5【新たなる伝承 デウス・エクス・マキナ】

 雪華の確信は、呟きとなって言葉として溢れる。


 「大丈夫、私はあなたを救える」


 そう雪華は、今は部位だけの存在になってしまっている茉薙に話しかけた。


 そして、デウス・エクス・マキナの人類は創成は開始される。


 ダンジョンの空間を切り取り、そこから肉体を編み始める。


 このダンジョンの素体となる物。つまりは魔法と呼ばれるスキルの素であり、このダンジョンを構成する全ての元、そして快活に動き回るモンスターの最小単位。


 時としてダンジョンウォーカーの回復や再生にも利用される。それを雪華は自在に操り始める。


 その姿を見て、ギルドの重鎮であり、幹部の一人、麻生一二三は呟く。


 「なあ、俺たちは夢でも見ているんだろうか?」


 工藤真希はその呟きに、


 「助けろ、と言う方もいう方だけど、助けてしまう雪華も、『参加者』サイドの規格じゃ無いべさ、あっさりこっち側来ちゃったべさ」 


 と呟いた。 


 「これって、一応は参加者側(ダンジョンウォーカー)としては禁忌の一つだった筈だよな?」


 と言うのは、佐藤和子カズちゃんである。


 「ああ、そうだな、人を造るなど、できる者などいなかったからな、言い忘れてたよ、ってか告知の必要なかったからな」


 このダンジョンにおける法の番人たる佐藤和子シンメトリーは答えた


 このダンジョンにおいて、佐藤和子以外での生命の作成は、人側としては禁じられている筈であるが、今まで、生命を作るどころか、肉片一個の制作さえ造られた過去は無い。


 否、二回だけ試みられたことはある。失敗したが、挑んだ者はいる。


 最近、一時的にとはいえ自身の中に取り込んだ三柱神の力を使っても尚、その願いは叶わずに終わっている。


 何より、かつて、このダンジョンの全ての事象を操る者ですら、一人の人間(少女)を作り出す事には失敗している。


 制作の結果生まれたのは、木偶の様な外観だけは人を象る、支えも無くて歩けるが、それだけの操り人形の様な不気味な結果をもたらすに終わっていた。特に危険もないのでギルドはこれを放置し、現在も介入する事無く観察を続けている。


 特に最近行われた歪な復活については、その失敗とその後の経過自体が、彼女に対しての贖罪そのものの様な形になってしまっている事実を鑑みると、放置こそその者に対する刑の執行そのものかもしれない。


 だからだろうか、この奇跡を行う神が行う光景を見て、鉾咲八瀬はなんの表情もなく、嬉しさも、喜びも、悲しさも、嫉妬もなく、ただ見つめていた。


 ただ、ここに届く事ができなかった自分の身の置き場すら忘れている様な、そんな心情だったのかもしれない。


 その様な事実を知る上で、回復、蘇生、再生をこのダンジョンで最も知る保険医である佐藤和子カズちゃん思考を走らせ事実を、現実を反芻する。


 このダンジョンに置ける回復、再生とは、事実、人の体を作って再構築しているわけでは無いのだ。一般的にヒールとは、この北海道ダンジョンいおいて、蘇生する行為に見えて、規模や欠損が多くなると、その再生は本来の治療や回復とは異なる行為なのだ。


 所謂、個人、もしくは肉体の一部の『時間の遡行』が治療と言われている行為の正体なのだ。現在認知した肉体(例え一部でも)を怪我をする前の状態まで時間を戻すが、このダンジョンで言うところの一般的な肉体の損傷に対する回復と言う事だ。


 加えて説明をしておくと、ヒーラーが怪我を治す場合は、その範囲とその怪我に至った時間が重要になって来る。そして、それにはまるでデジタルの様に、可能か不可能かしかなく、怪我が中途半端に治る事が無いのはその為でもあった。


 これには決して例外は無い。

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