表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
517/1335

第264話【葉山の笑顔、動けない僕】

 もう、あの時の雪華さんのスキル、メディックじゃあなかった気がする。

 

 治す、でもなく癒すでもなく、人類創造のスキルに進化してる気がしたよ。


 カズちゃんと一緒にというか、あのギルド最強ヒーラーが、ほとんど助手みたいな扱いだった。


 「もう、こりゃあ、笑うしかねーな」ってカズちゃんが感心を通り越して呆れたから、相当すごいんだと思う。


 一瞬にして、葉山の体に合う内臓を峻別して、作るのは意外な事にシリカさんに手伝ってた。なんか辿々しくだけど、シリカさん頑張ってた。


 雪華さんのあの姿って魔法というよりも未来の医療って感じだった。


 葉山の方はそれで終わったんだけど、茉薙の方はそうもいかなかった。


 体の大部分が無いから、ほぼほぼ最初から作るのと一緒だったみたい。


 今は、例の金色宝箱の中、鉾咲さんの言うところの『冷蔵庫』みたいな機能、実際には時間と空間を切り離して、いい感じに医療器具で言うところの『無菌室』な状態になっているらしく都合が良かったんだ。これは入った事がある妹だからこの利用方法を考えられそれはシメントリーさんも理解していて、2人して鉾咲さんを〆て作らせて持ってきたらしい。


 ちなみに、あの時シメントリーさんの金色宝箱がその機能を失っていたのは、足の部分だけ丁度、片足づつ抜ける穴が空いたからなんだって、抜けたら普通の空間になったらしい。同時に、あの押しても引いてもビクともしない金色宝箱こと召喚箱は底の一部の床の部分だけ異様に弱いんだそうだ。


 それはともかく、そこに収められた茉薙の回復は、ほぼ体を一から作り出す事らしくて、それはもう、1人の人間を作るのと一緒みたいな物なんだって。


 これについては、あの雪華さんが弱音を吐いていた。


 「絶対に無理です」


 って言うんだけど、それを聞いた、普段は堂々とした男気溢れるカズちゃんがオロオロし出してしまって、これ相当に無理難題なんだなって思ってたら、真希さんが、雪華さんに寄り添って、


 「もっとヒーラーがいる、腕の良いヒーラーを」


 って言ったら、この閉じた空間に、此花さんが入って来た、後、秋の木葉の五頭さんも、此花さんの妹さんも来てくれた。ああ、怒羅欣の、以前にウチに道場破りに来た人も、それと一緒になんか腕に何か凄いガントレッドみたいな物した金髪縦ロールな子も入ってきて、怒羅欣にもヒーラーっているんだ、って思った。そこに、最初からこっちにいる桃井くん、大魔法番長も参加して。そこに葉山の回復を終えてたカズちゃんが加わって、なんかものすごいヒーラーな組合みたいな物が、茉薙の入った金色宝箱を囲んで、処置を開始する。


 多分、このダンジョンのそれなりのヒーラーが全部いるんじゃ無いかな、って感じで、みんな、それぞれの組織とか立場とかの垣根を超えて、茉薙を助けに来てくれた。


 そして、多分、それは今も行われている。


 この深夜になる今も、茉薙の蘇生は続けられているんだ。


 それを見て居たかったんだけど、真希さんが、


 「ほれ、お前らは帰れ帰れ!」


 って一先ず、一応は回復してしっかりと立っている葉山を押し付けられて家に帰った。


 葉山は葉山で、信じられない、って感じで、声も出せないで、棒みたいに立ち尽くして居てさ、そんな彼女を連れて、家に帰ったんだよ。


 すると母さんが喜ぶ喜ぶ。


 一先ず、未だ呆然自失な葉山を空いている部屋のベッドに寝かせて、僕も自室に入って、気がついたら寝てた。


 変な時間に寝たなあ、って思って多分、あの時間は夕方くらいだったから、5、6時間はグッスリ寝たんだろうけど、自分のベッドが沈み込んで目が覚めたんだ。


 ギシって鳴って、目が覚めてしまって、今の状況って事なんだけど、ここで改めて聞いてみようかなって思った。


 「何してるの?」


 すると、このいかんせんともしがたい現状を生み出している方は言った。


 「真壁の顔を見てるの」


 うん、まあそうだね、僕も見られているって自覚はあるよ。顔、僕の顔ととっても近いもん。


 一応は聞いてみる。


 「夢じゃ無いよね?」


 すると、原因な人はとっても良い笑顔で、


 「ほんと夢みたい」


 と言った。


 本当にデジャブかよ、って感じで、昨晩と同じ状況なんだよ。僕って寝るときってキッチリ布団を被って寝るからさ、その上に彼女が乗っかってる感じ、四つん這いで僕の顔を覗き込んでる。


 でもさ、決定的に違うものがあるんだよなあ。


 でも、こんなの直視できないよ、ってもう叫びだしたい僕だったよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ