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第263話【また、僕のベッドに葉山】

 ギシってベッドが鳴る。


 パチリって目が開く。


 目の前に、真正面に葉山の比喩とかじゃなくて、本当に輝いている顔。


 僕の部屋の安心できる闇の中に浮かび上がる


 まるで全部昨日のことのようだっだからコレも夢なのかなあって思って。


 まあ、実際昨日のことなんだけど。


 時間的には昨日になってまだ一時間くらいなんだけど。


 なんか眠れなくて、眠っては起きて起きては寝て、その合間合間に夢とか見て、睡眠が浅くて、未だ体がさ、今日の、さっきまでの戦いの興奮に浸されてる気分で、現実感がないって言うか、未だ夢の中っていうか何かこう曖昧。少なくともきちんと眠てているかの自覚はない。 


 まあ、いいか、明日は休めって、真希さんに言われて学校もギルドからの公務扱いしてくれるって言ってるし、このままうつらうつらに身を委ねようと思っていたんだけどね。


 でもなあ。


 多分、きっと夢ではないなあ。


 この状況がなあ…。


 なんともいかんせんともしがたい。


 ホントどうしよう。


 で、現実逃避ってわけじゃないけど昨日の事を思い出していた。


 葉山の蘇生、茉薙の蘇生。


 あの後、妹の活躍によって、葉山と茉薙は完全に分けられた。


 葉山の中に生きている茉薙は、その内臓や脳の一部となって、あの金色宝箱の中に収納される。


 つまり、妹は葉山静流の体からイジェクトして、葉山以外の他の部位と茉薙の部位を排除したんだ。


 見た目に一瞬だったけど、血まみれの何かが葉山から飛び出すビジュアル的には結構なスプラッターな感じだったけど、アモンさん曰く、「ここまで、精密に複数の部位を選別して、イジェクトすることは普通はできません」と本気で感心していた。


 まあ、妹はいつも無駄にイジェクト使いまくっていたから、腕をあげたのか、それともこの日のために練習していたのかは不明だけど、どうやらそう言うことらしい。


 他の部位も、すでに彼女の体の一部になってしまっていた意思の無い部分についてもイジェクトして、葉山静流は完全な1人の、以前の生まれた瞬間に死ぬといった体に戻る。


 でも、葉山は死ぬことはなかった。


 シメントリーさんが、あの空間での死を法で禁じたんだって。


 だから静流さんが死んでしまうことはない。シメントリーさんが、『ここに立法して、この空間に死を禁じる』って宣言して、だから、彼女たちに死は訪れる事がなくて、どんな状態になっても、例えば肉片になっても死なないんだって。そして生きている故に苦痛に嘖まされることなるんだけど、この乱暴な外科処理が救われているのは、桃井くんが痛みを消してくれていたから、葉山も茉薙も痛みや苦痛は感じていない。


 そして、金色宝箱については、どうやら、妹が交渉して鉾咲さんに作らせたみたい。なんでも鉾咲さんは妹のお願いに断れない理由があるらしい。詳しくは知らないけど。


 しかし問題はあったんだ。


 ヒーラーは、どんなに優秀でも最初から『無い』ものは作れない。


 葉山の場合、生まれた時から内臓とか脳の一部とかが最初から欠損していたので、それが回復として蘇ることはないんだ。


 そこで雪華さんのメディックが使われる。


 雪華さんは、カズちゃん、シリカさんと一緒に欠損した部位を確認して、作り上げる。


 これにはアモンさんも手伝っていた。


 葉山が救われていたのは、欠けていたとは言えそのベース葉山の体の訳で、雪華さんの医者も裸足で逃げ出すくらいの豊富な医療知識に裏付けされたメディックで彼女の体の欠損箇所を作り出すのはそれほど時間がかからなかった。


 体ができてしまうと後は普通に回復させて、葉山の方は終了。


 割と簡単に言ってるけど、カズちゃん曰く、この雪華さんの余すことなく過剰ともいえる医学の知識とメディックあっての葉山の蘇生だから、普通なら不可能と判断されてもおかしくない事案で、多分、今までのギルドの保健室では処置しきれなかった、って言ってた。


 そう言えば、あいつ、僕の中の僕ね、言ってたけど本来、この『メディック』ってスキルは自分に対して有効で、他人に使う物じゃないって言ってたけど、雪華さんにかかるとその力は外に向かって、しかも普通のヒーラースキルよりも強力になってるから、結局どんなスキルだって扱う人にもよるんだな、感心しか出来ない僕だよ。


 本当にすごかった、雪華さん。


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