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第261話【誰でもいいから、葉山を助けてよ!】

 僕の体にというか腕の中に葉山の重さもあってさ、良かった、無事だって思って安心してたらさ。


 あ、そうだ、体が動くうちに、葉山を助けないと、って体を動かした瞬間に床がおかしなことになったんだ。


 床がさ、急に近づいてくるんだよ。


 あ、これって、もしかして、僕の方が床に近づいてる?


 って言うか、倒れそうになってる?


 そう思った瞬間、何かが変わった。


 ガチャリとまるで画面を切り替えるみたいに、全てはそのままに空間のみが変わっta

感じだ。


 僕と一緒に倒れている葉山も心配なんだけど、体が全然動かない。


 あれ?


 違うぞ、力が抜けているのもあるけど、本当に動かない。


 ピクリともしない。


 まるで体がビスやボルトで固定されている様に動かない。


 「なあ、兄、やっぱさ、静流を助けたいか?」


 背後、と言うか、足の方でどうしてか妹の声がする。


 うつ伏せになっている僕は体が動かないから振り向いて、確認する事も出来ないけど、確かに妹だよ。


 で、その質問に答えようとするんだけど、声も出ない。


 「ちゃんと空間を切り取ってんのか?」


 「はい、間違いなくです切り分けて美味しくいただけます、ちゃんと分けないと諍いになりますから、切り分けは大事です」


 「『死』は禁じてある、ここでは何があっても死なないから多少無茶しても大丈夫だ」 


 1人目はわかる。カズちゃんだ、ギルドのこのダンジョンでの最強ヒーラーな人だ。2人目もわかる。この何か大切な物が抜けてしまった残念な喋りはシリカさんだな。最後の1人は誰だ?


 「カズちゃん、ズー子、シメントリー、もう一回確認しとくよ、特にシメントリー、お前達は反対の姿勢なんだな?」


 知らない声じゃなかった。聞き慣れない声で、あの箱の中にいたシメントリーさんだった。そしてこれは真希さんだ。


 「いいも悪いもないだろ? ここにいる子供達は全部その対象内だ、みんな幸せになる義務がある」


 ああ、これはカズちゃんだな。


 「しかしだな、この子の場合、自分の意思ではないが、禁忌を侵してしまっている、この件については看過出来ない、それに本来ならここにはたどり着けなかった命だ」


 「持ち込まず、持ち込ませず、作り出さない、ってのが掟だったべ」


 「それを言うなら、武器や防具だって同じ事だぜ」


 「問題をすり替えるな、武器や防具は所詮持ち物だ、本来なら、それを言うなら真壁秋と葉山静流の持つ武器ですら禁止条例に違反する、けどその辺は大目に見ている、金属を偽装し物を考える武器なんていかれているからな、私は認めてはいない」


 シメントリーさんはそんな言い方をする。すごく冷静にそう言うんだ。


 「だいたい、観測できない側の『素粒子ダークマター』の発想を与えてしまったのはこっち側だぞ、だとしたら、ここに始まって、ここに至るって意味で、結局はダンジョンの中に戻って、それはそれでいいだろ別に」


 カズちゃんとても怒ってる気がするけど、うつ伏せの僕は顔が見えない。


 「ほれ、アッキー無駄に動こうとしないで、体動かすな、お前、また左腕千切れかかってんだぞ」


 って真希さんに言われる。


 え? マジ?


 あ、本当みたい、なんか左手が変だ。と言うか痛みもないけどなんとなく違和感。


 「本当に、こいつは可愛い子助ける度に腕を欠損しないと気が済まないのな」


 コツンとカズちゃんに頭を小突かれる。


 顔も見えないのに、どうしてカズちゃんって分かるかって言うと、そのコツンとした接触から体がちょっと楽になって、左手の違和感が消えたから、多分治療されたんだと思うから、絶対にカズちゃんってのは分かるんだ。


 だから、僕は言うんだ。ひとまずしゃべれるくらいは回復したから早速言う。


 「ねえ、お願いだから、葉山も助けてよ、治して」


 するとカズちゃんは、「フー」ってため息をついて、


 「悪いが、無理だ、こいつはもう回復とかの枠を超えてしまっている、許可とかの前に方法が無い」


 と言われる。


 葉山の言葉を思い出す。


 『私は蘇生できない』


 そんな言葉を思い出した。


 僕はなんとか起き上がって、ちょっとフラットするけど、それでも何か言わないと、ともかく訴えない捕って思ったんだ。


 体がカーっと熱くなった。なんでだよ! ってなった。


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