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第247話【斬り合い上等、でも痛いのはちょっと……】

 だから今日、今この時に改めて見るとソードワールドはそうでもなかったんだ。


 あれ? これっていける?


 一回見てるから違いがわかるんだ。


 「出てくんな!」


 茉薙は、急に出てこられて切れて葉山に言った。


 「僕は強いんだ、こんな奴よりも絶対に強いんだ」


 叫ぶ茉薙は、まるで意識も為さずにただ僕に挑みかかって来る。


 取り巻く多くの剣と一緒に、工夫なんて無くて、力づくだ。


 茉薙の剣、舞う剣。


 剣の世界は構成されている。


 だから、僕も僕なりの剣の世界を理解する。その世界には添えない。僕はその世界の住人じゃ無いんだ。だから世界が僕を包むというなら抵抗する。同じマテリアルで。


 僕はスキルじゃ無いけどね。


 力のあり方を利用するだけ。


 そして、理解したんだ、


 この剣の事。


 この剣の本当の特性、多分、それでもこの剣の、マテリアルブレイドの一部かもしれないけど、なんと無くわかる。


 これは世界に干渉する。


 いや、世界を創ると言ったほうがいいかもしれない。


 僕の剣の世界は、ソードワールドはたった一つ。


 たった一振りの剣。


 これだ。


 複数の剣の中、たった一つの剣の鋒に僕の剣を合わせる。


 カチリと言う音がして、茉薙の周りに舞う剣は全て地に落ちた。


 「え?」


 驚く茉薙はそのまま体だけが泳いで僕の方に来る。


 僕はその茉薙の身を交わして、そのまま立ち位置が変わるように、再び対峙した。


 この剣ってさ、たぶん金属というか多分、武器とかに干渉して世界を創る。


 僕にはできないけど、だから僕は世界を壊すんだ。


 僕のソードワールドはこの剣を使って構成された世界の破壊。


 もちろん構成するより壊す方が容易い。全体を意識しないで、一部を切り取るだけだから、茉薙のスキルってやっぱりデタラメに凄いよ。


 それでも茉薙のソードワールドになら対応はできた。


 あの時、最後の彼女たちの攻撃からずっと考えていたんだ。


 あれだけ剣を操ることができるのに、なんて縦列に並んで、最後の一撃を放ったのだろう?


 流星の雨の中、多分、確実に他の力に流されず、影響を受けずに放った一撃は、無駄なんて一つも無いとっておきだったんだ。


 そして、あの時、貫通のみを目指した強撃は、先端をズラす事で、あっさりと壊れた。


 もちろん、あの時の攻撃は茉薙と言うスキルを使った葉山だったから、強力さで言えば、今の茉薙だけの攻撃とは全く比べ物にならないほどだけど、でも、16人分の一撃を、僕らは蒼さんと僕2人で凌げた。


 そして、茉薙は気がついてはいない。


 常にその側に葉山がいて、表に立つ自分がこの能力を使っているって、そう思ってたんだ。


 まるで、できた姉ができない弟に見えないように介助して、何も気がつかない弟がひたすらご機嫌で自分の能力を超えた成功を喜んでいるみたいな、そんな感じ。


 やさしいお姉さんだ。


 僕はそれを外から指摘する嫌な奴だね。大人気もなく。


 これって、葉山。もしかしたら、罪悪感なのかな?


 自分を生かす為に、茉薙を取り込んでしまったって言う。そんな罪から、この無邪気で残酷な男の子を喜ばしているのか?


 「ひどいなあ、真壁」


 「ごめん」


 「いいよ」


 続いて、茉薙が叫ぶ。


 「いいから、出てくるなよ! 今日は僕の番だ、僕がこいつを倒すんだ!」


 「今日は変わろう、茉薙」


 「何言ってるんだよ、嫌だよ」


 「ちょっと茉薙1人じゃ無理かもだよ」


 「なんでそんな事いうんだよ、できたじゃん、できるよ俺!」


 「うん、そうだね、だから茉薙と私で一緒にやろうよ」


 「嫌だよ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!」


 駄々っ子だよ。


 「茉薙だって、わかってるでしょ? こいつは『殲滅の凶歌』の息子だよ、殲滅されちゃうよ、いいの?」


 しばらく沈黙。考え込んでいる様だった。一つの体の中で、2人の意思が一つの口を使って言い合いの後に熟考に入った様だ。


 沈黙の後、


 「殲滅されるって痛い?」


 「うん、痛いよ、だって殲滅だよ」 


 「すごく?」


 「それは凄いよ、殲滅だからね」


 再び沈黙。


 どうやら、茉薙は生活する上での都合の悪いこととか、痛いとか苦しいとかも葉山に頼っていたみたいで、痛いのは相当嫌らしい。


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