第1話【試されてる大地、北海道】
再up版です、ちょっと書き足してます
ブクマ、感想等、よろしお願いします(切実!!!)
北海道っていったらさ、
まず、蟹とか?
ウニとか?
あと、ジンギスカン鍋とか?
それと、雪だね。だから雪祭りとか有名だよね。
新鮮で美味しく愉快な食べ物に、豊かな自然、なんていっても長い冬。
かつての北海道のイメージ、印象なのかもね。
そう、かつてはそうだった。
でも、今は違うんだよ。
今の北海道って言ったらさ、なんと言っても『ダンジョン』。
北海道ダンジョン。
北海道にはダンジョンがあるんだ。
あ、地下街じゃないんだよ。
本当の、本物のダンジョン。
札幌市街地の地下に張り巡らされてる地下街じゃなくて、正真正銘のダンジョン。
施設としては地下にあって、札幌の中心街に張り巡らされてるけど、どっちも迷いやすいけど、複雑に地下に張り巡らされてるけど、地下街はダンジョンでは無いんだ。
似てるけど違う。
例っていうか名称を上げて言うなら、地下歩行空間とか、駅前通り直下を真っ直ぐ歩ける、ポールタウンとか、大通公園の地下をテレビ塔まで歩けるオーロラタウンじゃ無いよ。
意外なところが意外なところで繋がったり、こんなところまで地下で行けるのかって思うところはるけど、これらはダンジョンじゃあ無い。
今の北海道にあるのは、正真正銘の地下ダンジョン。俗にいう『地下迷宮』ってのが北海道にはあるんだ。
中にはモンスターがいるよ。場所によっては罠とかも張り巡らされてるところもある。
ダンジョンだから、人に優しい造りでも無いしね。
北海道は世界で唯一のダンジョンのある都道府県なんだ。
公開情報として、北海道ダンジョンが発見された20年前くらいから、テレビやネットなんかでも公開してるから、知らない人はいないとは思うけど、ダンジョンが安定してるって言われてる今なら興味がなくても話くらいは聞いた事があるはず。
結構大きな事件とかあったからね。
過去二回に渡って、ダンジョンは爆発した事あるし、その時、ダンジョンの中身がばら撒かれて、札幌の街は大きな被害にあってるから、これきっと社会の授業とかでも習ってるよね。
僕ら、北海道民は小学校からこの辺の事を授業で教わるよ。
そして、ダンジョンが爆発した事件『ダンジョンが外に漏れ出す現象〈ダンジョン・ブローアウト現象〉』、によって漏れたモンスターの一部が帰化生物になってしまってる事や、その辺についてのトラブルに合わないような生活のスタイルなんかを学んでる。
石狩川水系には淡水系の人魚さんとか、ススキノにはゴブリンとかいるらしいしね。定山渓にいるストーンゴーレムは有名だよね。
実際に今も外に漏れてしまったモンスターは人畜無害になってるし、その辺にも、都市計画の中で自然の多い札幌市街地には適応して、どこでも彼処でも見ることができる。
そんな事件が続いて起こって、結局、ダンジョンの中のモンスターの数がダンジョンの容量を超えると、爆発してしまうって、結論が出て、それ以降、みんなで、ダンジョン内のモンスター退治をしなきゃ、ってなったんだけど、困ったことに、そのダンジョンに誰も入れないんだよね。
正確にいうと、入れる人の種類があるって知らなかったんだ。
当時は自衛隊の皆さんとか、警察、または大学チームによる調査員とかも突入しようとしていたんだけど、ダンジョンの入口はあるのに入れないんだ。
パクリと地表に口を開けてるダンジョンの入り口、しかも階段も手すりもある、割と降りやすいようにできてるんだけど、まるで透明な壁に阻まれるように、入口から一歩も前に進めなくなったそうだよ。
でも優秀な民間の研究機関が割と早い段階で、入れない原因に辿りついたんだ。
実は、ダンジョンには年齢制限があって、その後の細かな調査で、下は中学生、上は高校生までしか入れない事実が判明した。
だから、この札幌市、いや北海道の平和と安定のために、特にクラブ活動とか家の用事とかで忙しくない子供達は、ダンジョン内に入って、モンスター退治をすることになったんだ。
モンスター退治なんて危険かも? って思われるけど、確かに深いところに行ったら即死な攻撃を仕掛けてくるモンスターばっかだけど、浅い階はそんなこともない。
どちらかというと、害虫駆除、清掃? に近いから、安全にモンスター退治ができるよ。
この頃から、ダンジョンに積極的に通う人を『ダンジョンウォーカー』なんて呼ぶようになったんだ。
一応、モンスター退治を主眼に置いてるけど、そればかりじゃ無いから、いろんな目的で、いろんな人がダンジョンに入ってるから、『ファイター』でもなければ、『バトラー』でも無い、でも歩き回るから『ウォーカー』なわけなんだって。
政府、道庁、そしてギルドでは、『一日モンスター2体を退治』が推奨されてる。
ダンジョン内でも浅階層、浅い階なら、木の棒とかでも十分に対応できて、安全に倒せるモンスターしかいないから。
あ、ギルドってのは北海道ダンジョンの中で中高生で組織されてる大きな組合で、ダンジョンに入る全てのダンジョンウォーカーの人達を助けてくれる支援団体なんだ。
自主独立で、連携はするものの、道庁を初め国政からも影響を受けない、まさにダンジョンの為の組織なんだ。
代表が、テレビとかにもでてる、公報担当の『工藤 真希くどう まき』さん。
ギルドの中には上下関係とか無いって言われてるけど、この人がギルドの顔役であることは間違いない。
きっと、今日もギルドの本部がある地下一階。『スライムの森』にいる筈だから、ダンジョンに入ればどこかで会えるかもしれないね。
そして、ギルドの構成員っていうのが、殆どが『スキル』持ちで、多くは『スカウト組み』って呼ばれてる、強力なダンジョンウォーカーなんだ。
スキルっていうのは、代表的な物なら、『魔法スキル』とか、『導言どうげん』って言われる威力のある言葉を発動させる人達の事。
火とか氷とかときに雷の導言もあるみたい。
それ以外にも、移動とか、戦闘に向いた様々なスキルはあるけど、この魔法スキルの保持者が一番多い。程度にもよるけど、そんな人たちは、みんな魔法使いとか魔道士とか言われてる。
スキルの保有者って、100人いたら、1人程度で、その中のさらに一つかみの強力なスキルを持ってるのが『スカウト組』なんだ。
これは、全国で幸か不幸かにスキルを発現させてしまった子供達を、北海道庁がダンジョンへ誘掖するんだそうだ。
北海道には、ダンジョンウォーカーにとって、有益な条令とかあるからね。これによって、ダンジョンウォーカーの持つ武器なんて、銃刀法を緩和して個人が持ち歩いても良いことになってるよ。
あと、ダンジョンウォーカーなら、地下鉄、市電とか無料だしね。
スカウト組ばかりじゃなく、北海道でダンジョンウォーカーをやりたい人のために、寮って言われるダンジョンウォーカー専用の住居施設もあるし、一人暮らしが不安なら、ダンジョンウォーカー里親制度を利用して、どこかの家庭にホームステイもできるんだよ。
ダンジョンのお陰で、今の北海道って、人口が爆発的に増加してるんだ。
だから、ダンジョンの入り口が集中する札幌市街地は、毎日お祭りみたいに人が溢れてるよ。
そのほとんどがダンジョンウォーカー。
そして、僕、【真壁 秋まかべ あき】も今日からダンジョンウォーカーなんだ。
中学一年生だからね。もうすぐ二年生になっちゃうけど、まだ一年生。
ちょっと出遅れた感はあるけど、行くよ、ダンジョン。
でも、たまにふと考えるんだ。
どうして、北海道にダンジョンなんだろうって?
まあ、見当はついてるけどね。
きっと、かつてダンジョン誕生当時の、この北海道のテーマがさ、
『誰の挑戦でも受ける、北海道!』
みたいな?
『試用期間中、北海道!』
だったかな? 確かそんな感じだったからさ、挑戦されちゃったんだろうな、一人で勝手に思ってる。
どっからでもかかって来い! って感じだもね。
そりゃあ、ダンジョンも出来るってもんだよ。
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