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第243話【準備運動にもならない】

 室内に入った瞬間に、物凄い歓声。


 まるでコンサートのステージ入りした人気絶頂なアイドルの人みたいな感じなのかな、経験ないからわからないけど。


 ほんと、すごい人。

 これ、今北海道で活躍する全ダンジョンウォーカーの全てだって言ったら信じるくらいの数だよ。


 これだけの人間の数をいっぺんに見るって、多分、『さっぽろ雪まつり』か、『よさこいソーラン祭』の大通公園くらいだと思う。


 これ全部僕らを見に来たって思うと、暇人って意外に多いんだな、って感心する。


 ああ、見たことある人いっぱいいるなあ。


 クロスクロスの人たち、部屋の奥側でひと塊りになって垂れ幕持ってるのって、北藤さんだから怒羅欣の人たちかな、ああ、よく見ると、道場破りに来た人達もいるよ。僕が見ているのに気がついてとても高いテンションて手を振られる。一応、応援してくれているみたい。


 あ、土岐もいるよ、でもクロスクロスの人たちとは一緒にいなくて、隣には…?


 ???花嫁さん? リリスさんがいるよ。なんだよ、仲良しさんか?


 その側に見た目に装備豊かな人たちがいる。


 あ、此花さんだ、でも、なんか雰囲気が違うって言うか。堂々と顔を出して、表情もなんかキツそうな感じで、あ、隣にいつものフード目深に被った僕の知ってる此花さんがいるから、あの人多分双子の妹さんの方だね、ってことは此花さんのいた団体って事て、その回りにいる人て、D&Dって事かな?


 そんな大勢なギャラリーな人々を、区画してこれ以上前に出ないようにと整理しているのは、ギルドの人達と、秋の木葉も頑張ってる。


 入り口付近に真希さんと麻生さんもいるなあ、シリカさんとかも、なぜかそのあたりに角田さんとかもいるし、春夏さんも、どう言う訳か妹もその辺にいた。


 思わず知った顔にキョロキョロしてしまった。


 そして、その室内も実際に目の当たりにすると凄かった。様相に圧倒された。


 本当に剣の海。


 入口から、足の踏み場もない程。室内に敷き詰められてるって言うか、まるでそこかしこに散らばる剣が金銀財宝に溢れる宝の山みたいになっている。丘とか山、波みたいな感じに場所によっては高低差が激しく、『億の剣』が打ち捨てられている場所って言われているその通りの場所だよ。


 だから、剣の基本的な色で銀色みたいな物が部屋の基本色になってるみたいな感じ。


 今にも剣がこの広い部屋から溢れ出そう。


 部屋の中も広いよ、うちの学校の中庭くらいあって、天井に関しては、大げさかもしれないけど、霞んで見えないくらい高い。


 僕らはその部屋の中心に、まるで声援に押されるようにゆっくりと進んで、そして、どちらからともなく距離を取ったら。


 ほんの数メートルの距離で僕らは向かい合って、何と無く笑ってしまう。


 「じゃあ、始めようか、真壁」


 と葉山がいうんだけど、その声を打ち消すように、


 「待て!」


 って大声が響いた。


 見ると、此花さんのいるあたりから2人のダンジョンウォーカーがこちらに歩いて来て、僕らの前に立つ。


 顔を見て、ああ、初対面だな、って思った。


 2人とも僕らの二倍はあるんじゃないかって体格で、そして何やらご立腹な顔して言う。 


 「この勝負、我々としては看過できない」


 とかなんとか。


 「中階層止まりの小僧が頂上決戦など99年早いわ」


 流行ってるのか? 一年足りないのって?


 いかつい人は僕にその手に持つ大きな剣を突きつけて言った。


 いや、『頂上決戦』って言ってるの僕らじゃないし、そもそもこの戦いだって公式なものじゃなかった筈だし、だから僕らとしては、普通に関係のない人に割って入られた気分。 


 そして、


 「あれ? D&Dって『魔法使い』の集団じゃなかったっけ?」


 って素朴な疑問を、


 「それはD&W、ちょっと前までD&Dの中心組織、D&D自体はダンジョンウォーカーの中でも深階層にいる『冒険者』組織、ギルドと団体交渉するために自然に組織された人たちよ」


 と葉山が説明してくれた。


 そうなんだ。


 見た目に2人とも強そうだもんね、見たこと無い装備だし、深階層で手に入れた物らしい出立だよ。多分、相当なベテランダンジョンウォーカーだってのはわかる。


 でも、邪魔。


 それは葉山も同じ事を考えていたようで、同じタイミングで同じ攻撃、僕、刃を寝かしてそのまま横薙ぎ。葉山は小さい方の刃で同じ攻撃で2人を吹き飛ばした。


 なんて手ごたえの無さなんだろう。準備運動の為の準備運動にもならないよ。


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