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第45話【正体不明な存在】

ん? なんかいるぞ?


 一瞬、壁に何かが張り付いているのが見えた。でもすぐに見失いう。


 早いな。


 アレってなんだろ? 黒いな、しかもテカテカしてる? そんなに強そうには見えなんだけど、この地下2階にそんなに脅威になるようなモンスターとかいたっけ?


 って彼女が指差す方向を見て見る。


 空を舞うハエ、じゃなくてドラゴンフライじゃなくて、彼女の指は、中空ではなく、床、と言うか地面、ダンジョンの床を指している。


 飛んでいるドラゴンフライじゃなくて、床だよ。何もない床を、ってよく見ると、なんか動いた。 


 と言うか視界を翳めた。


 さっきの春夏さんの逃げて速度を上回る速度て、何か、こう、黒い、黒光りするものが、床と言うか石畳のダンジョンの地面を動き回っているのがわかる。


 ドラゴンフライの一種だろうか? でも飛んでないしなあ、ブーンと飛ぶドラゴンフライに対して、どちらかと言うと、カサカサと動き回っているって感じだな。


 「北海道にはいないって、こっちにはいないって言っていたから安心していたのに…」


 春夏さんはそんな言葉を呟いて、かすかに肩を震わせていた。何か本州方面で何かあったんだろうか? 相当深くトラウマにでもなるような事に再び出会ったみたいな、そんな感じだ。


 ひとまず、現時点では春夏さん、戦線を離脱。僕と角田さんで自体に当たろうと思う。


 「呪文で焼き殺しますか?」


 だから、うちに魔法系スキルな人はいないって、いるのはノービスな僕と、ヤンキーな角田さんだよ。あと、今の時点では守るべき存在に転じた春夏さん。相変わらず僕の後ろにすっぽりと隠れている。大丈夫、守るからね。


 僕は角田さんに、自分の持つ『オンコの棒』を指差してこっち、って伝える。


 「うっす、直接って訳ですね」


 ひとまず、今、遭遇しているであろう正体不明の存在の解明に集中しよう。


 なんとか、その敵の速度に目が慣れてくる僕なんだけど、その前に、一応はその正体を知るであろう春夏さんに尋ねて見る。


 「春夏さん、答えられたらでいいんだけど、あの正体って知ってるの?」


 春夏さんは激しく頷きながら、「ゴ、ゴ、ゴ…」って言葉が詰まって出てこない。


 そして、今までに類を見ないほど面白顔になってる。だめだよね、そんな春夏さんの顔を観察したら、笑っちゃだめだ、僕。


 ダメだな、これは、でも彼女をこれほど恐れさせる敵の正体って一体なんだろう、って逆に興味とか出て来たよ。


 多分、この前の偽500円札束や、銀色スライムみたいにやたらと倒し辛い、強敵ってほどでも無いのはわかる。あの遭遇感覚は無いから、でもちょっとくらいはあるので空を飛ぶ、ハエじゃなくてドラゴンフライよりは厄介な敵っていうのはなんとなくわかるけど、春夏さんがここまで怖がるほどの遭遇感かなあ、って思ってしまう。


 次の瞬間、奴は僕らの足の間を抜けて春夏さんの方に駈けて行く。


 「いやあー、こっち来た!」


 耳元でものすごい声で叫ばれて、耳がキンキンするよ。正体不明の敵の行動よりも、春夏さんの声にびっくりした。


 ここまで取り乱すなんて、本当にびっくり、クールビューティーな春夏さんのイメージがどっか飛んで行って、「いや、ちょっと、どこ? こっち来ないで!」って僕の背中の方でピョンピョン飛び跳ねている。


 その春夏さんの御御足の周りをカサカサと動き回る正体を僕はようやく目視する事ができた。


 結構大きい。全長は12〜3センチくらい、ドラゴンフライの仲間だとしてもその個体差は10倍以上ある。きっとボスかな。最初は色からして『カブトムシ』かなあ、って思ったんだけど、地を這うように平たい体は、昔飼っていた『ノコギリクワガタ』よりも平たいし、カミキリムシのように長い触角だけど、どう見ても甲虫の類の体つきじゃあない。むしろハエとか蝉みたいに羽も背中も丸大な感じで、その体つきは無駄なものだ何一つもない完成された生き物の到達点の頂きの上にいる存在を感じさせる。


 これだけ顕著に特徴を持つ、この生き物の正体は……??、



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