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第224話【葉山さんに会いに行く】

 こうしてようやく顔を洗える僕で、ジャバジャバと、洗顔すると、気持の中の方はともかく表面的には、さっぱりとするんだけどね。少し微睡むように考え込んでしまう僕に、


 「お屋形様、おはようございます」


 と声をかけるのは、いつの間にか僕の背後に来ていたのは蒼さんだった。


 スッとタオルとか出して来る。


 「おはよう、蒼さん、ありがとう」


 そうだ、自分で使おうとしていたタオルは妹に使ってしまったからね。助かった。


 蒼さんもいつの間にかこの家に住んでいたもんなあ、母さんが『忍者』拾ったから、って言った時は本当に驚いたけど、まさか蒼さんで、そのままこの家に住む事になるって思ってなかった。


 このご近所をウロウロしているところを見つけたって言ってた母さんんが、蒼さんを小脇に抱えて持って来た時は本当に驚いてしまったけど、まあ小脇に抱えられる蒼さんもどうだろうって思うけど、今はもうこうして普通に生活している。そして、こうして色々と気遣ってくれる。


 「蒼さん、傷の方は大丈夫だった?」


 「はい、私は、お屋形様はいがかですか?」


 「うん、僕は平気だよ、蒼さんのお陰だね」


 「いえ、それは私の役目故にございますから」


 あの『秋の木の葉』の結成から、このところ本当に蒼さんを含めて、助けてもらいまくりな僕だ。


 彼女たちが僕を手助けしてくれるのって、彼女達にとってどんな理があるのだろうか?て考えてしまうけど、これだけ献身的に尽くしてくれる意味がなあ、尽くされている僕が、今までの事で負い目を感じているのならもう十分だよって言うんだけど、「それは切っ掛けに過ぎません」とかなんとか、全くブレないでこんな感じでいるから僕としては快適でいいんだけど、それでも恐縮してしまうけど、なんか最近慣れた。


 まあ、蒼さん達がそれでいいならいいや、って思うようになってる。


 本当に、昨日のことだって蒼さんなんて平気で命を投げ出すようなことするしさ、『倒れた時は捨て置いてください』とか言われてるんだけど、流石に無理だから、倫理とか道徳とか心情的に瀕死の友達とか放置できる訳ないから、その時は何をおいても助けるよ。とは言っている。ちなみに言われる蒼さん達は不満そうなんだよなあ。


 そんな蒼さんなんだけど、洗面も終了してサッパリして僕に、


 「行かれますか?」


 って聞いて来る。


 「うん」


 すると蒼さんは、少し考え込んで、


 「私たちは、お屋形様に何かあっても即応できる距離にはいけません、警戒されますので」


 と残念そうに蒼さんは言うんだ。


 「だよね、いいよ僕1人で行く」


 「大丈夫ですか?」


 昨日の今日だもんね、心配にもなるさ、でもいい。僕1人で行くってのは変わらない。


 「本来は1人で行かせるべきでも無いのだがな」


 って言うのはいつの間にか洗面所に入って来た薫子さんだ。


 「すまない、まさかこんな事になっているなんてな、葉山静流の事は何かあるとは思っていたんだ、だが、まさかここまで深刻な事になっているなんて」


 と薫子さんは本当に悲しそうに言った。そうだね、多分、友達だとは互いに思っていたくらいの間柄だから、きっと薫子さん自身もそれなりに傷ついてはいるんだと思う。


 それは僕も思う。


 でも、それは僕らの事情で、当の本人である彼女の立場を考えると、ある程度の事実を知ってしまうと、それはもう呪いにも似た重さに心が押し潰されそうになる。


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