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第222話【真壁家の何も変わらないいつもの朝】

 なんか、ダラット、目が覚めた。


 眠れなくて、って訳もなくて、眠るには寝たんだけど、睡眠も浅くて、ちょっと体も怠い感じがしてるからしっかり寝ているっていうのには程遠い感覚。


 でさ、目を覚ましたのはいいんだけど、まだちょっといつもより起きるには早い時刻。


 寝返りをして体を向きを変えた瞬間に、部屋の入り口に置いてあった、大きな紙袋、昨日、雪華さんのお母さんから手渡された物だけど、大きな抱えないと持っていけそうも無い紙袋を見て、また憂鬱になってしまう。


 ああ、ダメだねもう眠ってられないなあ、って思ってまあ、寝てもあと小一時間くらいだからいいや、って思うし、それにベットにいても色々とおかしな事を考えてしまうから、いっそ起きてしまえと、思い切ってベット出て洗面所に向かう。 


 すると、多分玄関の方からだろうか、


 「たのもうー」


 なんて言う声と言うか怒鳴り声というかが聞こえて来る。


 その声を聞いて、ああ、今日も来たんだ、って思った。


 何がって、道場破りだよ。ここ道場じゃないけど、普通に僕の家だけど、あの日、『怒羅欣』の北藤さんとやりあってから定期的に来てる。


 最初はただの不審者だと思って、母さんが庭箒で瞬殺していた。


 それからも次から次へとやって来るので、訳を聞いて見ると、現在あのちょっと頭のネジの外れた格闘集団『怒羅欣』の第1席、北藤さん相手に分けた僕を倒すと、もれなくその地位が貰えるらしい、なんだよ暫定チャンピョンかよって感じなんだけど、あの人達、基本的に強い人が大好きだから、しかも仲間内じゃない新規枠っていうのが良かったみたいで、物凄い嬉しそうにスキップしそうな勢いでやって来る。


 前からよく聞いたけど、『怒羅欣』とは事を構えるな、とか、手を出すな、なんて言われていた理由がやっとわかったんだ。つまりはこ言う事だったんだね。


 もう、定期的にきてる。最初は執念いなあ、格闘家って粘液質かよ、って思っていたんだけど、これだけほぼほぼ、毎日来られると、今度はどんな人が来たんだろ、くらいにはなる。思わず窓から顔を出して今日はどんな人かなあ、って見るんだけど、


 「なんだ、真壁秋、もう、目が覚めたのか?」


 って既に喜耒さんが竹刀片手に対応していた。


 相手もデカイなあ、北藤さん程の厚みはないけど、長くて高い。鉄の爪みたいな武器も装備してる。リーチの長い攻撃なんだろうなあ、とは判断しているんだけど、


 「私が対応する、お前は昨日の今日だ、まだ休んでいろ」


 と、その道場破りの人の正面に立って、薫子さんは言う。


 顔は僕の方を見ているんだけど、その僕の顔を見て何か感じたことがあるのか、


 「まあ、その、なんだ、葉山静流の事は、もう、仕方ないって思え、考えてもどうしようもないこともあるんだ、お前が気に病む事ではない、それに昨日の今日だろ、もう少し休んでいろ」


 なんて、言うんだよ。


 薫子さんて優しいよね。なんか気を使ってもらえてるのがわかる。


 すると、今日で何人目かもう忘れるくらいの順位のモブっぽい人、なんか喜んでるみたいで、


 「おお、本日は『第二夫人』がお相手していただけけるのですか?!」


 とか言っちゃった。


 あーあ。


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