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第216話【よかった、蒼さんも無事だった】

 ひとまずは退けた。


 全ては、あの星降りの爆発に包まれていったのだから、それは間違いない。


 そう思う自分は本当はホッとしていない。


 そうだ、安心なんてしていない。


 まだ、あいつがいる。


 茉薙。


 あいつは一体どうなったんだろう。


 僕は、あの時見たんだ。


 あいつは黙って此花さんの降らせた流星の雨を受けたりはしていなかった。


 こちらに対して、あの状況で、僕らにトドメを刺そうと、いや本来の目的の為に行動していたんだ。


 ああ、なんとかなったって、安心して、勝ちを確信した時にあいつは、いや、彼らは強襲する。


 完全に狙われていたんだ。


 僕らが、僕たちの気持ちが緩む瞬間を、測る様に、その一撃はやってきたんだ。


 多分、僕1人ではどうにもできなかった。


 あの時、蒼さんがいたからなんとか凌げただけだ。


 最後の瞬間、あいつの、茉薙の操る剣が一列となって、まるで刃で構成された龍のように僕らに襲いかかってきた。


 多分、あれが茉薙と言うか葉山さんのとっておきだったんだろうな、最後の最後まで自分の仕事を完遂しようとしていたんだ。


 あの状況で、多分、僕らも最後に此花さんの『流星雨』でやってやったって思ってたんだけど、彼女たち、多分、あの行動は頭の悪そうな茉薙ではなくて静流さんの狙いだと思う、僕らが完全に勝ち越したって思った瞬間の意識を貫かれた攻撃。


 蒼さんが「お屋形様!」、って叫んでくれるまで全く気がつかなかったもの。


 凄い攻撃だった。


 正確には、シメントリーさんの入った金色の宝箱に向かって、縦一列に並んだ、今までとは比べものならない速度と力でそれは襲いかかってきたんだ。


 星の叩きつけられる爆風と、地面の揺の中、縦一列に貫く衝撃。


 1人じゃ弾けなかった。


 僕と、傷を押して立ち上がってくれた蒼さんがいてくれたから、辛うじて軌道を変えることができたんだ。


 そのあと、さらに降り注ぐ流星の着弾で視界は全くなくなってしまって現在に至るわけだけど、僕は、本当にあの時、彼女たちの執念というか覚悟みたいな物を実感したんだ。


 僕みたいな平々凡々なダンジョンウォーカーではとてもたどり着けない境地に彼女たちはいる。そんな生き方をしてきているんだ、って、そう思った。


 本当に、助かったよ、蒼さん。


 僕は彼女にも助けられたんだ、本当に、何度も何度も助けられた。怪我とかは治っているようだけど、未だ意識は戻らないてことかな、蒼さん。


 「う〜ん、むにゃむにゃ、お屋形様、ご無事ですか…」


 と分かりやすく寝ぼけているみたい。大丈夫だった、寝ているだけだ。


 でも、その寝言で、自分自身が起こされたようで、ハッと目を覚ます蒼さん。


 一瞬はまどろんだ目をしているんだけど、僕の腰を抱き枕よろしくギュって抱いたまま、その顔は僕の顔を覗き込んでくる。


 この時点で思うことでもないけど、蒼さんも可愛いよね、その顔がボーッと僕を見つめてる。


 蒼さんって、基本的には年上なんだけど、年下の僕が言うのもなんだけど、いつもキリリとしているから、今みたいなキョトンとした顔してギャップはかわいいなあ、と思ってしまう。


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