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第210話【親の仇みちなモノって言われてもなあ】

 僕が、彼女から、此花さんから感じていたのは、こう言う覚悟があったからなんだろうなあ、そしてそれは、これって、いつも聞かされていた言葉でもあったんだよね。


 『万を持って一に当たるのではなく、一を持って万に当たる』

 多分、茉薙みたいな戦い方をする人にはこの逆が真理であって、僕の様な持ってない人から見るとこっちが真理な訳で、ああ、なるほどって思った。


 僕らは結局、互いの異なるスタイルというか、戦い方というか、根幹そのものというか、どこかで必ず当たる運命だったんだな。


 だから、茉薙が執拗に僕と戦うとか、勝つとか、殺すって言っていたのは、わかる気がする。


 多分、茉薙にとって、僕は矛盾そのもので、大柴マテリアルのシステムに、この剣の計画に乗っかっている以上、こうして戦うのって、必然だったんだ。


 でも愚痴ってしまう。


 「知っていたなら、教えてくれてもよかったじゃん、葉山さん」


 僕と茉薙は激突する。


 「なんで! お前に俺が教えてやらないといけねーんだよ!!!!」


 お前の方じゃねーよ。


 互いの剣の接点からはみ出して、物凄い近いところに、茉薙の顔、だから葉山さんの顔がある。近い近い。


 怒鳴るから、ツバも飛んで来る、汚いなあ、あ、でも葉山さんか、ならギリOKって気持ちするから不思議だよね。まあ、基本的に葉山さんに汚いものなんてない訳だから、でも今は茉薙だから、怒ったほうがいいのかな?


 「ごめんね、真壁、この子今、凄い興奮してるから、ハンカチとかある?」


 とか普通に言って来るから、ちょっとびっくりした。ほんと、顔がんー?ってなる。


 「出て来るなって言ってるんだよ!」


 「大きな声出さないで!」


 「もう! 引っ込んでろ!」


 「これじゃあ、引っ込めないじゃん、私の友達にツバとかかけないで!」


 僕の前で、言い合っている。


 普通に兄弟ケンカみたいな感じだ。目の前で、身内でしかも姉弟のケンカって、なんか気まずいって言うか、もうこっちとしては空気になるしかないよね。終わるまで待ってるしか無いって言うか。でも、今の状況も状況なんで、割って入って行く。


 「ねえ、葉山、今の状況ってなんとかならないの?」


 すると、


 「ごめん、これ、仕事でもあるんだ、だからどうにもならないんだよ」


 「仕事???」


 「うん、そうなの、私、お金が沢山いるんだ、だから割と早く済む普通の冒険者が避けて通るような仕事してるんだ」


 「じゃあ、僕と戦ってるのもその一環なの?」


 「違うよ、これは茉薙が勝手に」


 「違うくねーだろ、お前だって、こいつと戦いたいって、倒して証明するって言ってたじゃん」


 「そうなの?」


 すると、葉山さんは、本当に困った顔して、悩んでいるなあ、って言うのが見た目にわかる表情で言うんだ。不自然なくらいに僕から視線を外して、きっといろいろと考えているんだと思う。そして、そんな表情から意を決した様に僕を見て、


 「私もまさかあなたがそうだって思わなかったから、本当に気がつかなかったんだよ」


 と葉山さんが、ごめんなさいって顔して言うんだよ。いつもの教室で、僕にちょっと失敗しちゃった軽さでそんな事を言う。


 どう言う事???


 「わかるように説明して欲しいんだけど」


 「うーん……」


 って葉山、考えてから、


「つまりね、真壁くんは私たちにとって、親の仇みたいなものなのよ」


 みたいな物ってことは実際には親の仇では無いんだろうけど、それでも、


 「僕、葉山さんの親なんて知らないよ」


 と直接的な言葉の中で意味を捉えて言ってしまう。


 すると、葉山さんは僕に対して本当にバツが悪そうにこう言うんだ。


 「ごめん、その辺はさ、私のワガママだと思って、受け止めて欲しいんだよね」


 うん、まあ、多分だけど色んな事情とかを察してはいるんだけど、今の僕の心境を例えるなら


 はあ? って感じかな。


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