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第42話【浅階層に集(たか)るドラゴンの群れ】

 僕はあの時の彼女の言葉、僕を見る、どこか悲し気な表情。


 そんなものが脳裏に浮かんでいた。


 一体、どういう意味だろう? そして葉山さんは何が言いたかったんだろう?


 委員長は僕に何を伝えたかったんだろう?


 「なんて事を言われたんだけど、どういう意味だろ?」


 「いやぁ、突然、秋さんのクラスの出来事の事を尋ねられても……」


 困惑する角田さんだった。


 ちょっと混乱する僕は、その後、ずーっと気になっていて、学校から帰って、こうして北海道ダンジョンに潜っている今も考え続けていた。


 で、たまたま、現在のパーティーメンバーな角田さんが、割と近くに来たので聞いてみたんだ。


 だって、年上だし、頼りになりそうだからさ。


 今僕らは『4丁目ゲート』から入った、地下2階の3階へ行く階段に向かって歩いていた途中で、普通にモンスターに遭遇して、排除するべく戦っている真っ最中だ。


 ここって通路じゃなくて部屋扱いなんだね、扉あったし。


 「ギルドを信用するなって、言われても、僕のような立場なら多分、みんなギルドは頼りにしていると思うんですよね」


 「はあ」


 「でもって、委員長と春夏さんは、なんか険悪だったし」


 「そりゃあ、アレですか、秋さん的に『学校の2大美少女が僕を取り合って困っちゃう』って奴ですか?」


 え? 何、真顔で言ってんの?


 「いやいや、違うし、困らないし、そもそも僕、そんな言い方しないし」


 なんか、角田さんの言い方にちょっとイラっとした僕だ。普通にからかわれてしまう。


 そんな僕らから少し離れたところで、きゃあきゃあ言いなが、それでも木刀を振るっている春夏さんが一人奮闘している。


 春夏さんの実力的には、今、対峙してるモンスターに対してさ、危ない、とか、ケガする、とか、まったく心配するような事もないんだけどね。


 流石の春夏さんでも苦手なものはあるようで、女の子だから、虫が嫌いみたいだった。


 いや、虫ではないんだけど、モンスターなんだけど。


 「ひとまず、秋さん、今は戦いに専念しませんか?」


 と角田さんに言われて、「うん、そうだね」って返事して、現在僕らが対峙しているモンスター達を改めて見る。


 敵の名前は『ドラゴンフライ』


 浅階層ではおお馴染みなモンスターだ。


 一括りに『ドラゴンフライ』と言っても、正確にはその中にも種類はあるようで、

現在確認されているのは、『銀ドラゴンフライ』『シマドラゴンフライ』『クロドラゴンフライ』『ショウジョウドラゴンフライ』『ウマドラゴンフライ』『イエドラゴンフライ』と他に確認されているだけで、細微な個体差を覗いて分別しても20種類はいるって言われている。大きさは5ミリ〜最大の『ウマドラゴンフライ』でも3センチほど。


 彼らの攻撃方法は、一応、ドラゴンと名がついてくるくらいだから、炎のブレスを吐いてくる。そのダメージは最大でもドライヤーの熱風より若干暖かい程度で、概ね『生暖かい』中途半端なブレスで攻撃してくるから、物理的にはほとんどダメージはない。でも、耳の後ろとか、首筋あたりにブレスを食らった時は、本当に、精神にダメージを与えられる。ほら、また春夏さんが叫んでいる。


 彼らの体の大きさを考えれば、そこそこ高温のブレスを吐いたところで、それが対象物に熱を伝える頃には、『生暖かい吐息』に変わっているから、脅威といえば脅威なんだけど、受けるダメージはそれ程でもない。というか精神的には個人差による。


 むしろ、彼らの最大の攻撃方法は、ブレスよりも、『たかる』なんだ。


 ほんと、ブーンと近づいてきて、ピタリと止まる。


 しかも、その止まる場所は皮膚の露出している場所で、特に浅階層のダンジョンウォーカーなら軽そうだからさ、手とか顔とか、中にはヘソ出しの鎧なんかを着こなすオサレなダンジョンウォーカーの方など、良い的になって『たかられ』まくっているから、一部の人には脅威なモンスターとも言える。


 まあ、ここまで言ってしまうとさ、その正体ってか、その見た目がさ、そんなドラゴンフライってモンスター、ぶっちゃけ『ハエ』だよね。


 ドラゴンフライ自体の和訳は普通にトンボなんだけどさ、ハエのように見えて、それでも一応はドラゴンだから。ダンジョンウォーカーとして一番最初に出会うドラゴン系のモンスターだから。


 そう、僕は今日、この日はじめてドラゴン系のモンスターとの対峙になるんだよ。



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