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第202話【今、ここにいないはずの君】

 思うのは、僕と茉薙の持つこの特殊な剣については色々あるのだろうと思う。でも、だからと言って、そんなの僕には関係ないし、こうして斬りつけられる理由にもならない。と言うか、僕、関係ないじゃん。


 恐らくは、これって、雪華さんのお母さんと、この茉薙の個人的な関連で会って、たぶん、そのシステムによって生み出されたこの剣達だっていい迷惑だと思う。


 形は違えど、同じ目的、同じ材質、同じ製法で出来ているこの剣に一体、何の罪があると言うのだろう?


 だから、僕としては、僕が茉薙と戦っているって事がちょっと意味不な感じだ。


 「何で、僕を殺すのさ?」


 率直に聞いて見た


 「俺はお前より強いからだ」


 茉薙はそう言切る。語気が強い。本気の言葉なのは直ぐに分かる。


 でも納得できない。剣だからさ、この場合、問題になっているのは剣そのものをを含めた作り出されたシステムというか、そういう物が対象だってのはわかるけど、僕らが、僕達が争う対象って意味が分からない、同じ人が使ってその良し悪しを判断するのが普通だろ? 


 それをさっきも言ってたけど、『お前より強い』とか『殺す』とか、とても的外れな事を言っている様に感じたんだ。それはもう、個人の事じゃないか。


 僕自身、この茉薙に個人的に恨まれる事をした覚えがない。いや、無いと思う。無いんじゃ無いかな、きっと無い。・・・何かやらかしたかな? ちょっと自信ないけど、多分無いなあ。


 困惑している僕に、


 「本当に予想外だったよ」


 なんて事を言い出す茉薙。


 「だってそうだろ、俺たちはさ、とてつもなく長い旅を覚悟していたんだ、それはさ、このダンジョンの終わる日まで来る事はないかもしれないって思っていたんだ」


 どこか寂しそうに言った。それにダンジョンが終わる日って何だよ? その辺の話はもっと聞きたいんだけど。


 「どういう事だよ?」


 「それが、こんなに近くに居たって、もう本当にびっくりだよな、だってそうだろ? あいつがさ、『困った子』がいるんだって言って居たやつがまさにその正体だったんだ」


 困った子ってのも、正体ってのも僕の事なんだろうけど、正体の方に関して言えば、全く身に覚えがない。


 「勘違いじゃないの?」


 「間違いないよ、おまえだよ、俺の敵は」


 「全く身に覚えがないんだけど」


 「とぼけるなよ、まあ、お前ってそう言う奴だよな、無自覚って言うか、世間知らずって言うか、まるで自身の出生に関心が無いみたいだもんな」


 「誰かと勘違いしていない? だって、ほら、僕はただのダンジョンウォーカーだからさ、それに…」


 僕はそう言いかけるんだけど、茉薙は言うんだ。全く違う雰囲気で、全く違う声で、別人になった様に静かに流れる様に言うんだ。


 「違うでしょ、真壁くん、あなたは特別な人よ」


 その声はとても小さかったけど、僕の良く知る声。


 思わず僕は彼女を探したんだ。


 「葉山さん??? どこ??」


 でもそんな静かな声も被せるように、茉薙は叫んでかき消してしまう。


 「引っ込んでろよ!、今は俺の番だ!、今日は僕の番なんだよ!」


 声を荒げてそう言い放ち、急に飛ぶ様に間合いを詰めて物凄い力で僕を押し飛ばした。


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