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第201話【二対目としてのマテリアルブレイド】


 僕の疑問、でもそんなんに深くは考えさせてはくれない。すかさず反撃が来る。今度は僕がバックステップ、なんの工夫も無く下がっちゃったよ。


 「なんだよ、おかしいな、って顔してるぞ」


 そうだよ、その通りだよ。ほんとそう。剣の細さ材質、多分僕の持っている剣の方が上で、以前の様に、ミノタウルスの棍棒や、五頭さんの鉄杖の様に難なく斬れるって思っていたんだよ。


 「なあ、お前の持つ『剣世』どうして一振りって考えるんだよ?」


 剣世って、雪華さんの言っていた、『SYSTEM of SWORD WORLD』の事なんだろうか? と言うかもうそれしか関連が付かない。この茉薙って奴、多分、大柴マテリアルの関係者なんだ。


 「なにも知らないみたいだから、教えてやるよ」


 と、さっきまで放っていた殺気を嘘の様に散らして、茉薙は言う。自分の剣を僕に差し出す様に見せて言った。


 「これがバージョン2のシリーズ、そしてお前が持っているのがバージョン1のシリーズ、この前、後輩ちゃんと、バージョンアップをしに行ったろ?」


 バージョンアップって、一応は調査というか報告だよ。


 それになんだよこいつ、僕があの日に大柴マテリアルのラボに行った事を知ってるぞ。一体、どこで見ていたんだろう?、あの日に僕が雪華さんに連れられてラボに行った事を知っている人間なんて、ほとんどいないだろ。


 そこまで考えて、僕は一つの結論に達した。


 ああ、そうか、あの日会ったのは、葉山さん、そうだ、葉山静流さんだ。そして僕の前に立って、恐らくはフードの中でせせら笑っている顔をしているのは、葉山茉薙。


 そう言う事だったんだ。


 「ねえ、君、うちのクラスの委員長、葉山静流さんの関係者なのかい?」


 すると茉薙は笑う、声を高く、大声で笑った。


 「なんでそう思うんだよ?」


 茉薙からその言葉はまるで僕を試す様な言い方をしている。一瞬だけど、声が上ずった感じがしたんだ。僕はその問いに答える。


 「いや、だって、おかしいだろ、何で僕の行動を知っていたから、それに同じ葉山って苗字だ」


 「そりゃあ、お前の事見てるしな」


 「君が??」


 「俺じゃねーよ、あいつが見ていたんだよ」


 「いつ? どこで?」


 「いつもだろ、学校でだろ、俺は知らんけど」


 本当にこいつ、一体、何を言っているんだ? 第一、学校で僕に話しかけて来る人なんて、いまの僕のパーティーメンバー以外じゃ葉山さんくらいしかいないぞ。だから、僕は一つの予想しかできなかったんだ、ほら、葉山さん言ってたじゃん、一緒にダンジョンに行く人がいるって、だから、葉山さんから聞いたのかな、って思ったんだ。


 でもってこの茉薙がその人だと言う確信はあるんだよ、自信はないけど、何となくだけど、僕は確かにこの茉薙から葉山さんの雰囲気というか気配を感じていたから、多分、友達、彼氏、いやあ、もっと近い肉親、兄、弟みたいな感じ。そう思った。多分、兄弟の線が強いなあ、名字が一緒だしね。


 でも、それじゃあ葉山さんも何らかの形で大柴マテリアルの関係者って事になるよなあ、でも以前、僕の剣を見て、珍しい剣だって言っていたしなあ。そんな僕のまとめきれない考えが口に出てしまった。


 「君も大柴マテリアルの人なのかな?」


 もちろん、答えてくれるなんて思ってなかったけど、


  一瞬、茉薙の気配が変わった、あれ?って思った。でもまたそれは茉薙に戻って、乾いた様な笑い声と共に、


 「俺が? あのクソッタレな大柴や海賀の関係者って?、すごいな、それ、確かにそうだ、そうかもしれない、あの河岸とかいう奴と、俺は確かに関係者かもしれないな」


 その言葉が終わるか終わらないうちに茉薙は僕に突っ込んで来た。


 前みたいな形の良い連撃じゃ無くて、とても乱雑で乱暴な一撃がやってきた。


 ガキん!!! と受け止める僕の剣。早いよりは、がむしゃらな力を感じた。


 なんか、僕、彼を怒らせたのだろうか? 茉薙の行動から、僕はそんな気配を受け取ってしまう。その茉薙が言うんだ、まるで平静を装うように、静かにいうんだ。


 「でも違うんだな、関係者って言うなら、俺より俺達の父さんの方かな、今はもういないけどな」


 そのまま何度も八つ当たりみたいに大振りで斬りかかって来る。


 受けるまでもない、そんな雑な攻撃だ。


 「このシステムはさ、一緒に一つでやって来た物が、いつの間にか二つに別れて行ったのさ、そして後発であったバージョン2の方は先発していたバージョン1と友に歩む筈だった、だけどアッサリ切り捨てられたんだよ、あの女に、河岸とか言う奴に、『つまらない』って言われて、多くの人間の中では無かった事に無っったんだよ」


 茉薙は何度も何度も斬りつけて来る。


 僕はその声に、その態度に狂気じみた何かを感じていたんだ。

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