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第197話【再開、そして戦闘】

 蒼さん潜伏って奴なのかな、近くにはいるとは思うけど気配もしない。


 「他は誰だ?」


 シンメトリーさんの言葉に、続いて、


 「土岐蓮也だ、クロスクロスに席を置く『騎士』だ」


 「此花牡丹です、同じくクロスクロスの魔導師です」


 その瞬間、ガタンと金色宝箱の中で音がした。どうやら中でシンメトリーさんが何やらショックを受けているみたいで。


 「クロスクロスだと、クロスクロスがいるじゃあないか、敵だぞ、クロスクロス!!」 


 すると見た目にと言うか聞いた耳に取り乱しているシンメトリーさんに助言を告げたのは花嫁さん事、リリスさんだった。


 「こやつらは大丈夫だ、信用して良い」


 と言ってくれる。


 「なんだ、リリス、お前が人の味方をするなんてどう言う風の吹き回しだ?」


 「事実だ、それに敵対するクロスクロスの人間なら既に倒しているぞ」


 「それ違う、そんな小物じゃない、もっとヤバい奴がいるんだ、今もそいつは単独て行動している筈だ、たぶん、組織の命令で、今も私を探している筈だ」


 どうやら九首さん達以外にも僕らの敵対する人がいるらしい。


 え? ちょっと待って、今、組織の命令でシンメトリーさんを探しているって言った?


 「クロスクロスがシンメトリーさんに用事でもあるんでしょうか?」


 相馬さんの素直な言葉、しかしちょっと深く考えると、途端に恐ろしい方向に思考は波及する。


 つまりクロスクロスがシンメトリーさんを求めているって事になる。


 と言うか、この状況がどこまで偶然でどこまでが故意に作られたのか分からないけど、今まで辿ったり、通過したり、経験したどこかの箇所にクロスクロスの思惑があったって事になる、て言うか、鉾咲さんだよ、あの人の肝経があったって事になる。


 何をしたいんだ、鉾咲さん。


 それを考えた時、僕の脳裏にはどうしてか妹の顔と、そしてこの僕の目の前に立つ金色宝箱がその目に刻みつけられる。


 これは偶然なんかじゃない。


 僕達、この場所、シンメトリーさん、金色の宝箱、悪魔の花嫁、そしてこの場所。


 僕らは集められたんだ。


 九首さんがここに僕らを固定るす為の、所謂、罠の中にある餌って事ならあの弱さも納得できる。勝てないまでも挑んで来る意味もある。


 でもさ、ここでちょっと引っかかるのが、なんで、僕らが必要かって事なんだ。


 僕らを待つ必要ってなんだ。まさかクロスクロスの裏切り者の此花さんと土岐の粛清ととか? いやいやないない。そんな事をする様な規律とか掟とかが似合う様な団体じゃないよクロスクロスは。


 じゃあ、一体なんなんだろう?


 その答えは、すぐに分かった。


 なぜなら答えてくれたから。


 誰がって、ここに最初からいて、姿を隠して僕らが揃うのを待っていた人。


 多分、シンメトリーさんが言う所の『ヤバい』人。


 その人は不可視の姿、つまりは僕らの目を欺いてこの風景に溶け込む様な姿から、僕らにしっかりと視認できる姿を表して、こう言ったんだ。


 「それは、お前とやりあいたいからに決まってるだろ真壁秋」


 彼は赤く変色す壁を背にそんな事を言った。


 僕は彼を覚えている。


 あの、クロスクロスが起こした、中階層での大騒ぎの時に、鉾咲さんと一緒に言いた銀毛のローブの人。


 その肩の所にクロスクロスのマークが入っている。


 そしてそいつは言った。


 「やあ、挨拶は初めましてだな、真壁秋、俺は葉山 茉薙(はやま   ま ち)、お前に勝ち、お前を超えて、お前を殺す者だよ、つまりは倒す者だ」


 とても爽やかに物騒な事を言った。


 「まあ、短い付き合いになるけど、よろしく頼むよ」


 と言い、僕との間合いを一気に詰めた。


 うわ、早いなこの人、蒼さんの戦速よりも早い。


 自分に対して振りかざして来る二本の刃を目の前にして、僕は少しの違和感と、そして既視感。この声、前は気がつかなかってけど、どこかで聞いたことがあると、命が危険な今、そんなどうでも良い様な事を一生懸命に考えていた。

 

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