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第192話【どこまで行ってもクロスクロス】

 僕の知る魔法スキルの使い手。椎名さんとかはとても優秀な魔法使いで、それは分かる。そして角田さんも扱える魔法の数とか請負頭の数とかかなりハンパないからその凄さってのも分かりやすい。でも此花さんの雰囲気っていうか、中身と言うのが、そう言った凄い人たちとは全く別のベクトルに位置している。そんな気がしたんだ。


 「なあ、土岐、此花さんてどのくらいの人なの?」


 「いや、知らん、此花が攻撃的魔法使っているところなんて見たこと無いからな。今回の協力遠征で見せた実力に正直舌を巻いているよ」


 「同じクロスクロスで、一回も見た事無いのかよ」


 「んー、ないなあ、だってあいつ戦った事ないんじゃないかな? いつも他人の行動見てはせせら笑っているって感じだしな」


 それって、只の嫌なやつじゃん、少なくとも土岐はそう思ってたって事だよね。


 「そんな人を戦闘領域にいさせているんですか?」


 と相馬さんが言うと、


 「まあ、みんな連れてくからな、仲良く一緒に、それに基本、八瀬は、来るもの拒まず、去るもの〆る、だからな、勝手に入って、知らん間に消えている行く人間はかなりの数がいる、それに、スキルは能力は『自己申告制』だからな、やってできませんでしたんなんて言ってる奴は沢山いるよ、いや殆どそうかな」


 そうなんだ、入り口広くて凄いなクロスクロス、その奔放さに、かなり驚いた。関心じゃ無くて、どちらかと言うと呆れる方。それに消えるってなんだよ?


 「まあ、うちはほら、基本的に自由な気風だから」


 それって自由と違う気がする。奔放とも違うなあ、どっち言うと無責任とか、テキトー、とか、いい加減っていうな、それ。


 あのクロスクロスの起こした大騒ぎの時も思ったけど、僕らにも簡単に声をかけてきたもんなあ、それにこれはクロスクロスの人たちに全般的に言える事だけど、なんかこの人達って観る目なさそうだし、多分、強いダンジョンウォーカーだけじゃ無くて、『この人強いかもしれない』とか『なんか強いんじゃ無いかな?』ってのを片っ端から、後自己申告て強いって言う人も、なんの検証もせずに拾い集めているんだな、きっと。そして、拾ってきては、召喚箱を使って、強いモンスターで篩を掛けて試しているんだな、きっと。


 そう考えると、あの行為そのものは褒められたもんじゃ無いけど、突き詰めて考えると合理的な気がして来るから不思議だ。


 「スキル持ちはうち無条件で入れるからな」


 「へー、どんなスキルでもいいんだ」


 「凄いのいるぞ、いつでも好きな時に熟睡出来るスキルとか、今日の晩飯が大体予想出来るスキルとか、後、背中が痒くならないって言うスキルもいたなあ、便秘になりにくいってスキルもあった」


 そうか、そんな人達の集まりって訳か、クロスクロス。


 「どれも検証不能だからみんな自己申告だけどな」


 そう土岐は締めくくった。侮れないな、クロスクロス。


 でもまあ、土岐や此花さんみたいな人もいるから、本気で侮れない処はあるんだけど、野望も野望だし、いろんな意味でちょっと注意していたほうがいいかもね。違う意味で危ない集団かもしれない。いや、何がって、周りとかじゃ無くて、クロスクロス自体に危険が及ぶって意味で、危険な存在って覚えておこう。


 土岐と僕がそんな語らいをしている間に、


 「ギヤアアアア!!!!!!!!!!!!!」


 って声が聞こえてきて、あの九首って人がバタリと倒れた。


 特に火を放ったわけでも、凍りついた訳でも、感電したわけでもなく、ただ、バタッと倒れた。どう言う魔法がの効果でどのように作用したのだろう。


 おお、事もなく此花さんの方も決着ついたみたい。


 よく見ると、此花さんのローブの端がちょっと氷ついているから、ちょっとはくらったのかな、でも全くダメージはなさそう。


 他の敵は、と、あ、花嫁さんと相馬さんが全部やっつけてしまったみたい。鴨月くんも大活躍だったみたいだね。


 気がついた時には全部終わってたって感じだ。


 やっぱり、そこはクロスクロスだからね。

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