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第190話【土岐の騎士道精神】

 ちょっと不愉快な感じな人だなあ、完全に僕らを痣けているのがわかる。それにしても『チンチクリン』なんて言葉、久しぶりに聞いたよ。ちょっと新鮮。


 「なんだよ、狂王、お前には言いたい事が山ほどあるんだぜ」


 「あの、初対面ですよね?」


 とか言ったら、また笑う。


 「お前は気がついてないがな、お前がこのダンジョンに入ってから、踏み潰された人間なんて五万といるんだ、そういう俺もツンツルテンだよ、組織と女を奪われたんだからな」 


 チンチクリンの次はツンツルテンだった。この人どういう人か全くわからないけど、1つは言い切れる、この男、絶対にお婆ちゃん子だ、表現方法が(いにしえ「)だもの、三文安い人だ。


 ん? 今、女奪われたって言った? 一瞬、拓海さんの顔、冴木さんの婚約者ね、そんな人物が思い浮かんだんだけど、ん? まさか?


 と思って、蒼さんを見てしまうと、蒼さんは激しく首を振る。


 「いえ、違います、冗談ではないです、無理です、殺すと書いて消します」


 本気みたい。物凄い否定の仕方だ。彼がそんな事を言い出したら、性格的に丸くなった蒼さんが殺すとまで宣言しているんだから、本気も本気、超本気なんだろう。


 ひとまず「そうなんだ」って納得すると、蒼さんホッとしていた。


 「お屋形様、挑発には乗らないで下さい、これが奴の手ですから」


 そう言っている蒼さん本人の顔色が悪いよ、蒼さん、この男によっぽど嫌な目に遭わされたのかな? ちょっと心配になってしまう。


 それにしても、黒の旅団って、今だに僕のわからない事が多くあるってことを、この時確信した。あの時、『秋の木葉』の結成の時も思ったんだけど、実際に僕らが対峙した、あの時浅階層の鏡海の間で戦った人の数の方が多かった気がするんだ。まだ残ってるんだな、この因縁めいた物は。


 その誤差は僅かなものだったかもしれないけどさ、多分、この組織にはまだ僕の知らない事があるんだと思う。


 そして思った、きっと、この人がラミアさんを追い詰め、桃井くんを亡き者にしようとした張本人って事でいいんだろうか?


 「初めまして、狂王くん、これも仕事でさ、悪く思わないでくれ、君を殺して亡骸は、この『厭世の奈落』へ捨てて行く予定だよ、ここに捨てておくとモンスターになって甦れるそうだぜ、な、『悪魔の花嫁』さん」


 この人初めて会うけど、何かこう何処かでこんな対話をした事があったような…、そうだ、このやり方、そしてこの物言い、あの時の椎名さんと一緒な気がする。つまり『スキルジャンキー』能力自己陶酔者。だからつまり、ナルシーって事で良いのかな、ここに角田さんがいないから、椎名さんの時も適当に納得していたからなあ、僕。


 多分だけど、1番最初に相馬さんを狙ったのも決して偶然じゃない。


 このメンツの中で1番目の良い人間を狙っていたんだ。


 つまり、この人達、ここにいる僕らの情報を持っている。何ができる人、つまり誰がなんのスキルを持っているかって事を何知っているんだ。


 結構めんどくさい事になったぞ。


 とか言っているうちに、なんか土岐が隙をついて、何人か倒していた。


 「3人か、戦闘態勢に入る前にもう少し倒しておきたかったな」


 凄い助かるけど、それ、『騎士』の行いとしてどうなんだろうって考えてしまう。いやダメだろ隙とか付いたら、正々堂々といかないと、というか、どうなってるんだ、こいつの『騎士道精神』?


 そんな土岐は声たかがかに宣言する。


 「覚醒した俺は強いぜ」


 確かに寝ている土岐じゃ役に立ちそうにもないもんね。


 いよいよ戦端が開かれるって時に、土岐を見て思うのは、やっぱりこいつもクロスクロスだな、ってそう思ったよ。


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