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第188話【ダンジョンブローアウトの出発点】

 追加で相馬さんが、


 「全部ではないです、一部でも希少ですが人と通じるモンスターは確かにいます、でも今回はなんの断りも無くです、本当に攫われたのだと思って気が気じゃありませんでした」 


 すると花嫁さんは、


 「仕方なかったのじゃ、悪いと思った、だからお礼に踊りを教えてやったろう? 精進せよ、特にお前、筋がよかったぞ」


 そう花嫁さんが相馬さんに向かってそう言うと、


 「え? 本当ですか、ありがとう」


 お礼言っちゃうんだ。素直で良い子だよね、相馬さんって、鴨月くんも吹き出している。「笑うな!」って怒鳴ってしまう相馬さんだよ。ちなみに此花さんもこのボケには感心していた。「賢い子、真面目な子がボケると落差で『ズッキューン』ときますね」とか言って、「ギルドの方にもこれほどの逸材がいるとは」と感心していた。


 まあ何はともあれ、ここでひと段落付いた。疑問というか疑いが晴れた。


 つまりシンメトリーさんは攫われた訳ではなかった。


 このダンジョンに僕ら人と彼女らモンスター双方にとって何かとっても都合の悪い事が起こって、それは直ちに火急的速やかに急行しないといといけない事態で、一緒にいた相馬さんや鴨月くんに断りを入れる間もなく(ワルツは踊っている時間はあったみたいだけど)急いで連れて行ったら、途中でシンメトリーさんを無くしてしまって、途方に暮れるて探している所に僕らと彼女がたまたまやって来たって寸法なのかもしれない。


 あ、ちょっと待て、僕は、今のメンツを振り分けられらて、そして真希さんの言われた通りにここにいて、本来は敵である『悪魔の花嫁』さんとも一応の和解が出来ているって事は、僕らはそれなりの人選で、その対応を見通して、こうなる事を予め予見してここに配置された気がしてならない。そう思った瞬間に、あの真希さんの笑顔が浮かんで来て、ああ、真希さんてきっとなんでもお見通しなんだなあ、って思った瞬間、その微笑みの顔がヘラっとした人を小馬鹿にした様な失笑に変わって、ちょっとイラっとして、過大評価してるかもって思って、いやいや、偶然、たまたまだよ、って思うことにした。


 まあ、そんな事は今はいいや。


 そして、その続きは他でも無い、『悪魔の花嫁』さん自身が話してくれた。


 「ダンジョンのな、大きな変化は阻止したいのだ」


 つまりは、立場が違えども、このダンジョンの環境を守る為という事なら立場は一緒って事なんだな。


 「特にな狂王、このダンジョンが外に吹き出す現象は、私達に取っても良いことはないのだ」


 ああ、そうかブローアウトの事を言っているんだ。でも、僕は寧ろこの現象はモンスター側からすると、願ったり叶ったりだと思っていたよ。だって、そうだよね、このダンジョンから出で広い外の世界で気兼ねなく大暴れできるんだから、だからとても意外な言葉だった。


 「妾の様な特殊な者は例外であるが、大半のモンスターは一度外に出ると、もう二度と中に入ることはできないのだ」


 この言葉には全員、つまり僕以外の人間全員が驚いていた。


 「外の世界に適応してしまうと、二度とダンジョンの中に入ることができない、外への世界に混じってしまう変化はこちらの世界への不適合になり、そしてそこでの死は本当の死になってしまう、もう二度と生き返る事がかなわん、まだ、今の時点では、それは流石のモンスターとして生を受けたものとしては悲しいと言えるだろう?」


 確かに、モンスターにとってはこのダンジョンこそが世界だから、勝手のわからない外の世界で死んでゆくのは少し忍びない気もする。


 そっか、外に漏れたモンスターは帰らないではなく、帰れなかったんだな、って僕は初めて知ったよ。


 だから、未だ札幌に潜伏するって言われるダンジョンモンスターは、外の世界で、変化して適応するしか選択肢はなかったんだ。



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