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第184話【歪むダンジョン 厭世の奈落】

 いつの間にか、よく分からない集団になっていた土岐曰くの混成騎士団だった。


 悪魔の花嫁さんは土岐を抱えたまま、抱えられている土岐は未だスヤスヤで、相馬さんと鴨月くんは、何か小声で言い合ってるし、そんな姿をみて、「ラブコメかよ、イチャイチャかよ」とか、此花さんは変なツッコミを入れては自ら吹き出している。側から見ると、一体、なんの集団なんだろう?と、その集団の中にいて冷静に外側から観察して、他人事のようにに考える僕がいる。


 それでも僕らはテクテクと歩いて、目的の場所まで辿り着いた。


 ああ、ちょっと懐かしいかな。


 ここは、以前、妹を拾った所だ。


 フロストジャイアントだったっけ、結構手こずった覚えもある。


 まあ、セオリーとか抜きに倒してしまったけど。あの時はメンツもメンツだったし。かなり無理矢理感はあった。ちょっと前なのに何か懐かしいなあ。


 「ここです、ここで、この人に会ったんです」


 相馬さんは少し声を高くしてそう言った。


 「ここからシンメトリーさんを連れて言ったんですか?」


 「うむ、そうじゃ、ここから、少し訳ありの場所があってな、そこに問題が生じたのだ」 


 「で、そこに連れて言ったというわけですね」


 確認すると、花嫁さんはうなづいて、「そうだ」と言葉短めに言った。


 あれ、何か引っかかる。


 なんだろうなあ、何かをここで言われた気がするんだよ。なんて言ったかなあ。この近くに特別な場所があったって、誰かから聞いたような。


 で、確か『痴話喧嘩ならそっちでやってくれないかな』とか言われたような言われないような。


 すると、花嫁さんは言った。


「この先に『厭世(えんせい)奈落(ならく)』と言う、特別な場所がある、そこに連れて言ったのだ」


 その言葉を聞いて、ああ、妹の言っていた奴だ。別れの名所とか言っていた。


 その場所については此花さんが説明してくれた。助かるなあ、小ちゃい版の角田さん。


 「『歪みの穴』とも言われている、ダンジョンウォーカーもモンスターですら決して近ずかない場所です、所謂、スキルが歪められて発動する、魔法が変質する、もしくは発動しない、マップに書き込めない、場所の形が記憶に残せない等、いわくつきの場所です、確かギルドはここへの立ち入りは禁止しているはずですよ、フヒ」


 そんな所にお兄ちゃんを向かわせようとしていたのか妹は、と思ったけど、あの時は僕、妹の兄じゃなかったや、と思って、そんな場所があるのかあ、とただ感心していた。


 因みに土岐は未だ花嫁さんの腕の中で、さらに夢の中だ。時折、ムニャムニャ言って、覚醒しかかるも、花嫁さんに揺らされて、再び深い眠りに落ちて行く。


 そんな姿を見ていると、ちょっといいなあ、って思う、本当に気持ち良さそうだもの。


 それにしても花嫁さん、土岐だって男の子だから結構良い体格をしているんだけど、本当にまるで重さなんて感じていないみたいにヒョイってお姫様抱っこされたまま、悠然と歩いていらっしゃる。


 そんな姿を思わず凝視していると、


 「なんだ、狂王、お前も抱いて欲しいのか?」


 なんて、スッと聞いてくるから、危うく「うん」って言い掛けてしまって、「そんなんじゃないから、抱っこしてもらいたいんじゃないからね」とか言ってから「いや、別に、土岐をよろしく頼みます」とか言ってしまう。


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