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第177話【クロスクロスの自由さときたら…】

 きっと、土岐だって鉾咲さんのおかげでいらないトラブルに巻き込まれて来ただろうに、その『かつて』って奴と今では本当に今と何も変わら無いんだな、学習能力とかが無いんだな、きっと。そういう所が今の鉾咲さんを作ったんだと思う。団長の協十さんも、基本的に良い人で、鉾咲さんには何も言わないんだろうな。


 「でも、それもみんな結局は自分の為にって事じゃなくて、周りの為にやっている奴なんだよ」


 バツの悪そうに言う土岐の顔は、本当に迷惑な身内を持ったって顔してるけど、同時にどこか自慢気にも見えたのは気のせいでは無いと思う。


 なんか意外だった。


 でも、あの鉾咲さんにもこんなにマトモな知り合いとかいるんだなって思ったら、もしかしてそんなに悪い人って訳でもないような気がして来た。


 きっと、土岐にとっても彼女、鉾咲八瀬という困った人は、それでもいいお姉さんだったんだなってそう思ったんだ。


 少なくとも身内って言うのが土岐の言葉からは伝わってくるんだ。


 もちろん、実際に血の繋がりがあるわけでは無いから、隣の家のお姉さんとか従兄弟の姉さんとかかなあ。


 僕にはその辺の経験がないからわからないけど…。


アレ? 本当にわからないんだろうか? 僕にもかつてそんな人物がいたようないないような、アレ、ちょっと混乱している。おかしいな、気になるから帰ったらお母さんに聞いてみようかな。なんかしっくりこないや。


 「まあ、他人に話しても、つまんない話さ」


 と土岐はそんなふうに締めくくってしまう。


 僕もそれ以上は聞くことはしない。それは、きっと彼らの関係で、事情なのだから、そういうものなんだ、って認識に止まるよ。


 僕らはそのまま進んで、以前に、クロスクロスが騒動を起こした時に使ったエレベーターに乗って地下20階へと降りて行った。


 あ、そう言えばと思って、一応は聞いておくけど、


 「そう言えば、さっき身内倒してしまったけど、問題ないの?」


 「ああ、大丈夫だよ」


 と言ってから、


 「いつも仲良しって訳でもないからな、怒った時は本気でやり合うし、俺たちにとってはこれが普通だよ」


 少なくとも、今は掛け値無しに僕の仲間でいるみたいだね。ちょっと安心。


 春夏さんの『サムライ』ってスキルの総合体もそうだけど、この土岐の『騎士』ってスキルの総合体もなかなか厄介そうな感じがしていてさ、今の時点の僕なら敵に回すとメンドくさそうなのってわかるからさ。


 こう言う戦闘特化したスキルの総体ってだからクラスって、ちょっと厄介だよね。


 深階層に行けば結構な数かいるんだろうなあ、って思うと少し及び腰になってしまう臆病な僕だよ。


 ちなみに、エレベーターの中にもクロスクロスの敵対勢力はいた。


 仕方ないなあ、って思いながらも、数十人だったので、剣を抜いて一先ず行こうとすると、


 「待て待て待て、騎士を差し置いて王様が挑みかかってどーすんだよ」


 この敵は土岐が殲滅してくれた。


 普通に強いな土岐。本当にクロスクロスの人とは思えない強さだよ。


 大丈夫かな、土岐って常識あるし、空気読んじゃうし、強いし、クロスクロスの中で浮いていないか心配になってしまう。


 あ、そうだ、


 「エレベーターが下に着く前にももう一回訪ねておくけどさ、『悪魔の花嫁』ってどんな姿をしているの?」


 って聞いた瞬間にズズウウン!って、エレベーターは地価20階に着いてしまう。


 扉が開くと、そこには、まるで降りてくる僕らを待ち構えている様に、1人、女性が立っていた。


 クロスクロスの待ち伏せって感じでもないな、だってクロスクロスが挑んで来る時って例外なく大人数だからね、1人ってありえない。


 じゃあ今度はどこの勢力?? 誰なんだろ?


 ってなんの気構えも、予感もなく僕らの前に悠然と立つ、その立ち居、人を越えた美しい、いや美しすぎる姿を、ボーっと見てる僕だったよ。


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