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第174話【助かったよ、クロスクロス】

 仕方ない、僕が行ってサクッとアレ倒して来るか、って思って前に出ようとすると。


 「ごめん、秋先輩、私が出る」


 未だグジグジ泣きべそかいてる相馬さんが、目を拭って前に出る。


 「え? でも、大丈夫?」


 と僕が言うと、


 「はい、大丈夫です、ちょっとは強くなっているところも見せたいんで、秋先輩は動かないで見てて下さい」


 この敵の人数を見て、武井って分隊長もまあ、普通にデカイから威圧感はあるし、腰の物って多分もれずカシナートだよ。ってわかってて言ってる言葉だよね。


 もちろん、相馬さんのスキルである目は僕よりも良いから、状況を全て把握していての発言だからヤケになってるって風でもないから、僕は「うん」って言ってから観戦を決めて、それでも何かあったら出ようって気持ちだけは作って待つことにしたんだ。


 「相馬さん、目はあまり多用しないほうがいいよ」


 って流石に同じギルドの仲間である鴨月くんが言う。


 「わかってるよ、こんな程度で目なんか使わない」


 そう言って、相馬さんは、細身の長剣、彼女の為に作られた彼女専用の剣『ハースニール』を抜いて言った。


 「すいません、クロスクロスの皆さん、私を倒さないと秋先輩は出ませんから、秋先輩を亡き者にしたいのなら私に遠慮なくかかって来て下さい、なるべく怪我させないようにしますからご心配無く」


 って言った。ちょっと鼻をすすりながら、未だ凹んでいるのが分かるくらいの声なんだけど、言ってる事は強気で遠慮とか無い。


 すごいなあ、相馬さんくらいになると、自信を失うとかくらいで、自身の軸ってブレないんだなあ。


 「バカなガキだ、後悔させてやる」


 とこの時、完全に武井って人、この相馬さんの力を見誤ってる。


 まあ、仕方ないよねクロスクロスだもんね。


 って思いながら、なんか騒がしいので僕の直ぐ後ろを見てみると、此花さんが突っ伏して床をバンバン叩いて、大爆笑している。


 「武井、お前、悪役かよ、しかも四天王の1番最初の奴かよ、最弱かよ、吹き飛びながら『覚えてやがれ〜!』とか言うのかよ」って言ってから、急に笑い声が収まって、


 「『今日はここまでにしといてやる』でもいい、むしろそっちの方が合う、そっち希望で、その時は這って逃げて、頼む」


 とか、勝手に演出し出した。


 どちらにせよ、完全にクロスクロスの人達が負けること前提で話を進めている。


 「なあ、真壁、俺も邪魔しないほうがいいんだろ?」


 って土岐も言う。


 うん、そうだね、って思いながら、クロスクロスの人達って本当によくわからない。と組織であると言う前提の元、ある意味感心、ある意味呆れている僕に、不意に相馬さんが話かけて来る。


 「先輩、私に何か言う事は無いんですか?、1人で頑張るんですよ」


 あ、ああ、と思って、


 「頑張って!」


 と声をかけると、


 「はい、頑張ります」


 まるでその言葉が戦いの合図だったかのように、1対役50の戦いの火蓋は切って落とされた。


 あ、でも、ちょっと笑ったかな、相馬さん。


 良かった、気持ちが切り替わったみたい。良かったよ、ここにクロスクロスの人達がいてくれて。


 たまにはクロスクロスの人達も役に立つんだなあ、って感心する僕だったよ。

 

 

 


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