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第166話【王のみが法に縛られない】

 シンメトリーさんの仕事って、様々なギルドが証明する標識や証明書の作成らしい。


 つまり、このダンジョンの中にある、『行き止まり』とか、『この先危険』とか、『頭上注意』とか『ダンジョンから帰ったら手を洗いましょう』とかの類まで、その注意喚起

に至るまで、シンメトリーさんの手によるものらしい。


 あの時の北藤さんの、真希さんの手書きの証明書も、真希さんと連名でシンメトリーさんのサインが入っていた。


 これらの標識や証明書は、彼女が手を入れる、証明する事で、特別な意味を持つんだって。


 特に深階層とかで、『行き止まり』なんて標識があるとすると、その表示された言葉が強制力を発揮する。


 そしてその強制力は絶対で、このダンジョンにおける『法』の執行に他ならないという事らしい。


 つまり、この標識を貼られると、貼られた後ろにどんなに通路があろうとも、その先には進めないんだ。


 これは中階層の後半から深階層にかけて数が増して行くらしい。


 もちろんダンジョンは誰がどこにも行っても自由なんだけど、完全に安全を担保できない場合はギルドはこれを発行して行き止まりにするんだって。


 僕はまだ中階層の浅い所しか行った事ないから、未だ見たことないけど。


 ちなみにこの『法』による『禁止』事項を突破する事が可能な人もいる。


 それは、ダンジョンウォーカー側が、このダンジョンに認められた、3人の王。そしてダンジョン側が、それぞれその王を指名した三柱神という事らしい。


 どうしてかって言うと、この特別な人と神様はそれぞれが自分たちが『立憲』する事が可能だから、その強制的な法の執行を上書きする事が出来るらしい。


 へー、ってその話を聞いてから、「ああ、僕もだ」って気がついた。


 真希さんが『僕が要』って言っていたのはそんな理由なのかもしれないなあ、あと、


 とちょっと真希さんが何をさせたいのかちょっと感じた事があったから、つい相馬さんを見てしまった。と思ったら、相馬さんも、こっち見てた。


 「……何ですか?」


 と、目を拭って聞いて来た。


 いつも快活でハキハキとしている相馬さんが、いまは見る影もないくらいシオシオだよ。目も赤いし、その周りには涙の跡とかあるし、こう言う時の女子ってさ、僕みたいな外部から来た人間に、泣いている事を悟られたくないんだろうなあ。って思った。


 僕には彼女の気持ちはわかるんだよ。


 多分、何かできる様な気持ちになっていて、それが出来なかったんだ。


 ほら、自分が成長している時、肉体的にも精神的にも、ぐんぐん伸びてるなあ、って思える時ってあるじゃない。そういう時って、得てして自分を過大評価っていうか、成長している自分サイコー、ってなるじゃん。俗に言う所の『調子に乗る』って奴。


 テンションが凄いことになるよね。


 でもさ、そういう急速に行ってる僕って、大抵、芯と言うか中身というか、それ相応のバックボーンってか骨格が間に合わなくて、中身がない事が多いんだよ、特に勢って言う外皮が中身も無しに膨らんで行くときは注意が必要だ。


 伸びようとする新芽って柔いからさ、ボキボキ折れるんだよね。


 もう、容赦ないくらいバキバキに折ってくれるからね。


 まあ、実際は完全に折れてしまった訳ではないからさ、空に向かって伸びようとした方向を地面に叩きつけられただけなんだけどね、そこからひん曲がっても伸びろばいいんだけど、そう言う対処とか開き直りとかって慣れが必要で、常に折られてないと、それには本人の周りに伸びた瞬間、綺麗に完膚無きまで折ってくれる人とか必要だから、多分、なかなか慣れない。


 大抵の大人って子供の成長には寛容だからね、大目に見てくれる場合がほとんどだよ。


 だからこそ、同年代とかのライバルの存在が大きい訳なんだけど、さ。そう言う例ってあまりなくて、そんな自由な状況では天井知らずで調子に乗って伸びてしまうんだよね。


 あ、もちろん、頭のいい相馬さんが、ってことじゃなくて、あくまで自分の例で相馬さんの今を話しているだけだから、きっと大小や形の違いはあるけど、そんな感じなんじゃないかっていう、あくまで、僕の捉え方だからね。


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