第161話【緊急招集内容 シンメトリーさんを探せ!】
先入概念はいけない事だけど、僕は僕の直感を信じていい時と悪い時があるんだけど、今日この時は信じていいと思った。
「僕は真壁さんが良いと思う」
そう言い出すのは鴨月くんだ。いやいや良いじゃん誰でも、それにさ僕、誰かに命じられて、そのまま全滅の憂いにあった場合、リーダーはいないものと考えるよ、勝手に動くよ。
「なんだ、反対意見か」
と土岐って人は不満げに、
「じゃあ、多数決で決めよう、此中でリーダーに相応しいと考えるのは誰か、俺が良いと言っているのに、この真壁秋が良いという人間がいる、じゃあ、俺で良いと思う人は挙手してくれ」
と同時にこの土岐って人は手をあげるだけど、本人以外、誰も手をあげる人はいない。
「秋先輩が良いと思うっ人」
なぜか雪華さんが音頭をとった。
すると、鴨月くんはもちろん、未だメソメソしている奏さん、そして、ここの急作りのパーティーとは全く関係なく雪華さんが、とても良い姿勢で右手をパッと上げている。
その結果を見て、土岐さんって人は、
「そうか、3対1って訳か」
と言ってから、
「まあ良い、わかった、それで行こう」
とか言い出す。割とあっさり受け入れるなあ。
「フヒヒ 真壁秋がいるのにお前がリーダーできる訳ねーだろ、ボケか? ボケてるのか? しかもどうすんだよ、この空気、フヒ」
なんだろう、この此花って人も結構土岐って人に対して否定的な気がする。彼女自身が個性的過ぎて今ひとつ掴めないところはあるけど、一応の考えは真面目なようだ。
「じゃあ、このパーティーを率いるのは秋先輩って事で良いですね」
と雪華さんに念をおされる。まあ、良いけどね僕も勝手にやるから、と思っていても口には出さない謙虚な僕だよ。
とりあえずはこの僕と相馬さん、鴨月くんと、そしてクロスクロスの2人と一緒に探索に当たる訳だ。でもその前に、
「ねえ、雪華さん、シンメトリーさんってどんな人なの?」
一先ず尋ねる。僕は彼女について何も知らないからね。
「はい、私も二度三度ほどしか会った事がないんで詳しいことはわかりませんが、とても聡明で理的な方です、ギルドから発行すれ証明書の類は彼女が全部やっています、いつもは本部の中に専用の個室があって、そこに引き篭もって仕事をされています」
ああ、証明書って、北藤さん、あの怒羅欣の北藤 臣さんが持っていた『ギルドの為に働いています』っていうことを証明する紙片の事かな、ああいうのを作っている人なんだね。
「顔とか姿は、相馬さんと鴨月くんが知っているって事だよね」
「はい、行方不明になる瞬間まで一緒でしたから、詳しいことは奏に直接聞いて下さい」
と雪華さんは言った。
それから、今度は急ごしらえしたパーティーたちにそれぞれの行き先を支持して、深階層へ行く人から先に順々に出発してゆく。
「秋くん、私も中階層だから」
と先に出発して行く春夏さんは、前にクロスクロスが起こした人騒がせな事件の時に一緒だった、脇本さん神嶋さん達と一緒だ。と言うか、クロスクロスの中に春夏さんがいるみたいな感じだよ、大丈夫かな? って思っていると、その中に薫子さんがいた、こっち見て手を振ってるよ、僕も振り返してしまえ。安定安心だね、って結構な戦力のある組み合わせなって思った、クロスクロスの人を除外しても春夏さんと薫子さんだけでも割と凶悪なコンビだと思うからさ。
なんて、思ってる時に、僕たちの順番が回って来た。
うん、じゃ、じゃあ出発しようかな。