第159話【やらかしてしまった彼女と彼?】
もちろん、そんな僕の淡い期待とかは簡単にナッシングになる。
ああ!、春夏さんも連れていかれちゃった。
ほんのちょっとの淡い期待というかなんというか、正体不明な感情が吹き消された感じだけど、ガッカリする間もなくて、真希さんに腕をグイって引っ張られて、
「ほら、アッキーはここだよ」
と、真希さんに連れてこられた場所には、クロスクロスの鎧の男、いつもの白地に金の縁取りの奴だね、分隊長さんクラスかな、結構前いい値段のしそうな鎧だね、鉾先さんほどでもないかな、そしてもう1人もクロスクロス、女の子だね、法衣みたいな大きめの服、そしてフードを目深くかぶっている。体格は多分、雪華さんくらいだ。
そして奏ちゃんと、あれ、この人誰だっけ? 1回や2回は会ってるはずだけどなあ、誰だっけ?
すると正体不明の人物から丁寧な挨拶を頂く。
「真壁さん、久しぶりです、鴨月です、鴨月 重文です」
って僕の手を取って強引にシェイクハンドして来る、なんだろうとてもテンションが高いと言うか、感激されている「う、うんよろしく」
とは言うものの、今一つ、どこでどうして会ったのか思い出せない。
「ほら、浅階層のジョージの時に助けて頂いた、鴨月ですよ」
ああ! 思い出した、会ったね、そんな事。確か覆偽体になってしまった人だよね。
「以前はご迷惑をおかけしました、今日の事、よろしくお願いします」
と深々と頭を下げて来る、やめて、確か鴨月くんって僕と同じ年のはずだよね。畏まらないで、後、敬語とか止めて、なんか目立ってるから、周りに人に見られてるから、悪目立ちだから。
そして、もう1人、相馬 奏さん。
雪華さんのお友達で、スカウト組の女の子。
僕にとってはいつもプリプリしている印象しかないんだけど、どうしたのかな? 今日はとても沈んでいるみたいな感じだ。
「よかったね、相馬さん、真壁さんが来てくれたよ、これで挽回できるかもしれない」
挽回? ってことは、挽回しないといけない状況にいるって事でいいのかな?
「はい、よろしくお願いします、秋先輩」
と、なんか、本当にガックリと肩を落としている奏さんだよ、いつもこの子って元気でで快活でって印象しかないから、どうしたどうした?って声を掛けてしまいそうになってしまう。
するとこの重くて湿気った雰囲気の僕らの元に雪華さんが駆け寄って来る。
「秋先輩!」
「やあ、雪華さん」
僕がそう言う瞬間には深々と頭を下げていた。
「秋先輩、奏をお願いします」
と言ってから、今度は相馬さんに、
「ほら、奏もいつまでも落ち込んでないで、秋先輩にお願いして、秋先輩ならきっとなんとかしてくれるから、もう解決したも同然だよ、私たちはお礼の心配をしようよ」
とか言う。いや、僕にも出来る事とできないことあるよ。
本当に、相馬さんは雪華さんにそう急かされるも、今にも泣きそうな顔してるよ。
「うん」
と一言だけそう言って僕を見つめる。身長的には僕より相馬さんの方が大きいからさ、上から目線が今にも泣きそうな目になってるんだよ。
「あの、この、今回の事って、私のミスなんです」
つまりはシメんトリーさんが行方不明になってしまったってのは相馬さんが関わってしまったって事でいいんだろうか?
すると、
「いえ、違います、僕です、相馬さんは悪くないんです」
と鴨月くんが話に割って入ってくる。