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第152話【僕を待っていた意外な人達】

 僕のダンジョンウォーカーの行動理念としては何かあったら真希さんに相談だからね。


 その辺はいつまでも変わることはないだろうなあ、って思っていると、僕のそんな思いを知ってか知らずか、すぐ横では雪華さんが微笑んでいる。


 そんな間に順調に車は走っていて、先の方、つまり車の窓の外に、山々の合間から、ニョッキリと、大きな無機質な建物が顔を出してきた。


 『大柴マテリアル 寒冷地用実験ラボ』が見えてきた。


 でも、僕、割と支笏湖とか行くし、この道は昔はよくある通っていたけど、こんな建物いつの間にできたんだろうって思ったんだ。けっこう大きなビルだよ、周りに建物がないからはっきりとしたことはわからないけど、多分、12〜3階はあると思う。屋上にはヘリポートとかあるしさ。


 僕はマジマジとラボを見ていると、


 「先月完成したんですよ、着工期間は3ヶ月です」


 と雪華さんが説明してくれた。


 「3ヶ月????」


 「はい、母の会社の建築部門の試験製品で、基礎を含む全てがプレファブリケーションです、工場生産の現地組み立て式なんですよ」


 どこかの手抜きのアパートの新築の方が遥かに時間がかかるよね、すごいな大柴グループ。でもなんでこんな所にラボなんて作ったんだろう?


 「秋先輩が母の制作した剣を持っていることによって、一部ですが大柴マテリアルの組織がここに移って来たんです、お陰で母も北海道に戻って来たんですよ」


 いやいや大げさでしょ、その言い方だと、この剣の為だけにここにこんな大きなラボを建てて、会社を移って来たみたいな言い方だよ。お嬢さまジョークなのだろうか、一応笑って置こう。


 やっと着いたなあ、と思っていると、雪華さんが。


 「あの、秋先輩…」


 と歯切れも悪そうに、しかもなんかモジモジしてる。


 どうしたの?って聞こうかな、ってその前に、


 「あの、私、パンツは履いた方が良いと思うんです」


 僕の目を見ない感じでそう言った。


 本当に、一体誰がこんな根も葉もない噂を流したんだろう。とりわけ直ぐにきちんとパンツを履いている事、そしてその僕がパンツを履いていないというのは全くのデマである事をコンコンと説明しているうちに、僕らを乗せた車は、ラボの正面玄関から施設であるビルの中に入って行った。


 ああ、もう、雪華さん納得してないな、と説得する時間の短さを感じつつ、車を降りると、そこには白衣を着た、いかにも研究員な感じの女性が待っていた。


 そして僕に向かって、


 「ようこそ、少年剣豪、真壁秋君、大柴マテリアルラボに」


 僕はその女性の顔を見て一目でわかった。ああ、雪華さんにそっくりだ。


 だから、


 「雪華さんのお母さん?」


 と雪華さんにそっと聞いて見る。


 「はい、母です」


 と雪華さんは答えてくれた。でもなんだろう、そう言う雪華さんの顔はなんかとっても嫌そうな表情をしている、と思うのは気のせいだろうか、なんか目とか死んんだ魚の眼だし。


 すると雪華さんのお母さんは、


 「雪華の母です、いつも娘がお世話になってます」


 と深々と頭を下げられる。いやいや、世話になっているのはこっちの方だから、いつも彼女には助けられている印象がある。本当に中学一年生とは思えないしっかりした少女だと思う。


 「秋先輩、剣を預からせでもらいます」


 僕は雪華さんに剣を渡した。そしてそれは、雪華さんのお母さんの手に渡って、


 「では、少し調べさせてもらいますね」


 と、行って、そのまま恐らく研究施設のあるブースに消えて行く。


 「では、秋先輩、部屋を用意してあります、そちらに秋先輩にお客様も見えています、向かいましょう」


 と僕を先導して歩き出す。


 エレベーターに乗って驚いたんだけど、この建物のエレベーター、階層の表示がないんだよ。乗った人間を判断して行き先を決めている感じがして、なんかすげーとか思ってしまった。


 確かこう言うのってAIとか言う機能だよね。人工知能で案内されてるんだなって思うとなんか最先端な感じでドキドキするよね。


 でもって、案内された室内に入ると、とてもよく知ってる人物が僕を待っていた。


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