第151話【後輩女子からのお願いというか要望】
家族の不始末を心配する僕だ。
なにかやらかしてないといいのだけれども……
「いつも、うちの子と、秋先輩の妹さんともう1人、フアナちゃんで仲良く遊んでいます」
「ほんと、よかった、迷惑になりようだったら言ってね」
って言ってから、あれ? フアナって最近どっかで聞いた覚えがあるような無いような、誰だったっけ?
思い出せないあやふやな記憶をさておいて。
「本当にごめんね、ありがとう、迷惑かけたら言ってね」
とひとまず妹のやらかしてしまうかもと言う可能性に先に謝っておい、非礼を詫びると、
「そんな事ないです。だって、いい子じゃ無いですか、妹さん」
と、何やら褒めてもらえた。
なんか、知らない間に妹は妹で世界を広げているんだなあって、変な所で感心してしまった。
「それに、うちの子も時々、秋先輩の家にお邪魔していることがあって、秋先輩のお母様から良くしていただいているんですよ」
へーそれは初めて聞いた。そうなんだ。いつの間にかお互いの家を行き来する間柄の友達が出来ていたんだなあ、と自分の妹ながら、その広がりつつある社会性になんか、少し寂しくもあり、また嬉しくもあると言った複雑な気分であるけど、ちょっと兄としては誇らしいなあと思ったりもする。
「そうなんだね、全く知らなかったよ、これからも妹をよろしくね河岸さん」
「いいえ、こちらこそ、私たちって、いつの間にか家族ぐるみで付き合っていたんですそれで、私、今日から真壁先輩を秋先輩って呼ぼうって決めていたんです」
ああ、そうか、僕も妹も真壁だもんね、確かにややこしい事になるね。
それにしたって、たかが僕の名前を呼ぶくらいの事で、河岸さんなんかとても緊張してしているように見えた。真面目な子なんだなあ、って思って更に、お嬢様の感覚って良くわからない僕だよ。
「それで私も考えたんです、私が秋先輩とお呼びする以上、秋先輩も私の名前を呼んでもらおうと思ったんです」
お嬢様の世界ではそう言うものなのかな、よくわからないや。
「ほら、私の名字ってそのまま、河岸製作所の河岸じゃないですか、だから、ややこしいなあって、私を呼んだつもりでも、河岸製作所を呼んでいるのでは、って勘違いしてしまうじゃないですか」
河岸さんと、河岸製作所を間違えて呼んでしまうシュチュエーションってのが思いつかない。
「だから、秋先輩も私の事を『雪華』と呼んでいただいてください」
「わかったよ、雪華さん」
と言って見て、なんかこんな風に車の中でお互いに名前を呼び合っているのって妙に恥ずかしさがある。早く目的地についてくれないかな。
それにしても、こう言う風に2人で話すのってあまりなかったから、いい加減な記憶かもしれないけど、こうして見ると雪華さんって、初めて会った時より大人になったなあ、って感じがする。前は、小学生がちょこっと大きくなったって感じが否めなかったけど、いまは中学生のお姉さんって感じがして、髪もちょっと伸ばしているのかな? なんかちょっと雰囲気が違って見えた。
薫子さんに聞いた話では、雪華さんってとても優秀で、真面目で勉強家。
戦闘力とかスキルの能力とかではなくて、人としての総合力で、彼女こそ次世代のギルドを背負って立つ人間なのかもしれないって言ってたけど、今の雪華さんには確かにその雰囲気というかそんな空気があるよ。
こう考えると、ギルドの後輩の育成は、彼女の友達の相馬さんとかもそうだけど、順調い育っているなあ、って感じがする。
なんのかんの言っても、真希さんて面倒見がいいから、ちゃんと育っているんだなあ、って感じる。
ほんと、いきなり許容を遥かに超えるモンスターをぶっつけて0近い確率で成長を促すクロスクロスとは大きな違いだよ。
僕もダンジョンに入ってゆく以上、彼女達とは仲良くしたいもんだと思っている。
それでなくても僕の場合、僕自身は至って普通のダンジョンウォーカーなんだけどさ、体質的に騒動に巻き込まれ易いっていうか、その結果誤解されやすいっていうか、行動というか周りにいる人たちのおかげで悪目立ちしてしまっているから、そういったマイナスなところを考えてもダンジョンの理性というか常識の執行機関であるギルドとは仲良くしておきたいと常日頃心がけている。