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第150話【大柴マテリアル支笏湖ラボへ】

 正確にいうなら、河岸製作所ではなくて、河岸さんのお母さんの方が関わっていたって事なんだ。世界にと轟くグローバル企業の一角。そんなものがこの剣にはかかわってる。色んな所で色んな物が複雑怪奇でいて以外に単純に繋がっているなあ、という因縁めいたものに感心したよ。


 「邪魔したね、また今度ダンジョンでね」


 と葉山さんは帰って行く。


 なんか急用でも思い出したみたいに、割と慌てて出て行ってします。


 まさかとは思うけど、お嬢様が苦手だとか? いや考えすぎか。


 「真壁先輩、外に車を回してあります、ラボまで行きますから、ちょっとドライブになりますよ」


 と河岸さんはそう告げる。


 なんでも大柴マテリアルのラボって、支笏湖の方にあるらしい、支笏湖、日本で2番目に大きなカルデラ湖、チップ(ヒメマス)とか有名だよ、温泉もある。札幌の真駒内を回って山道を通って千歳に向かう途中にあるんだ、この辺にはいろいろなメーカーの保養施設があるけど研究施設ってあんまり聞かないよなあ、それほど詳しい訳じゃないけど、のその大柴マテリアルのラボ、こっから車で1時間くらいはあるんだって。


 「お任せするね」


 僕らは校舎を出て、職員棟の正面玄関に止めてある車に乗り込むとそのまま出発した。


 すごい車だよ、黒塗りだよ、広いよ後部座席、膝掛けとかあるよ、冷蔵庫とかも、でもって運転しているのはいかにも運転手と言う感じの人だったよ。


 そわそわする僕を他所に河岸さんはとても落ち着いてらっしゃる。


 やっぱり慣れてるなあ、お嬢様だなあって改めて思い知った。


 僕と河岸さんはその車の後部座席に仲良く並んで座った。


 一応は、場所は聞いていたから、電車とバスで行くよ、とは言ったんだけど、河岸さんは、


 「いえ、そんな、うちの母の会社の諸事に付き合わせる為に、そんな事させられません、お迎えにあがります」


 と言われて現在に至っている。所で諸事ってなんだろう、雰囲気でうなづいてしまったけど、社会用語の1つだろうか。


 本当に、この河岸さんて気を使ってくれるんだよ。


 彼女曰く、僕が彼女の命の恩人なんだってさ、僕からしたら、彼女こそ僕の命の恩人なんだけどさ。


 僕、ダンジョンで一回、肩から腕がもげてさ、あの時、彼女がスキル『メディック』を僕に使用してくれなかったら、多分、僕は失血死していたと思う。


 つまりあの時、助けたつもりが助けられたって事だね。かっこ悪いよね、僕。


 でも、そんな僕にも一生懸命にやさしく接してくれるいい子なんだよ、河岸さん。


 そのお友達に目のいい子がいるんだけど、その子はちょっと怖いかな。何かいつも怒ってる感じがする。


 「今日はいつものお友達が一緒じゃないんだね」


 と言うと、


 「はい、奏はギルドの方で頑張っています、最近は休みとかも2人一緒って事は少ないんですよ」


 そうか、河岸さんも、その奏さんも、それぞれに部署が離れつつあるのかな、2人とも優秀だもんね。


 「あ、そうだ、秋先輩」


 ん? 呼び方が変わった?


 「あの、私、秋先輩の事をお名前でお呼びしようと思っていたんです」


 別にいいけど、特に僕の方からは、名前呼びでもなんの問題もないよ、いいよね親しげで。と思ったので、なんか頷いてしまう僕だ。


 「ああ、よかった、実は最近、良く家に秋先輩の『妹』さんが遊びにくるんです」


 え? 妹が? なんで?


 河岸さんから妹の話題が出てくるとは思わなかったからかなりびっくりした。


 そんな顔をしている僕に、河岸さんは説明してくれた。


 「実は、うちにも秋先輩の妹さんくらいの歳の子がいて、良く家で遊んでいるんです」


 「ええ? ごめん迷惑かけた?」


 思わずそんな言葉が出てしまったのは、あの世間知らずの妹が何やら他所様の家でやらかしているとしか想像できなかったからだ。今も妹は当たり前の事を当たり前のようになんとか出来るようになって来たばかりだというのに、そこへ来て他所様のお家なんて敷居が高すぎる気がしてならない。


 なんかうちの妹、最近、特に昼間の時間帯に家で見ないなあ、とは持っていたんだけど、まさか、河岸さんの家にご迷惑になっているとは、まさに晴天の霹靂。


 「いえいえ、うちは大歓迎です、うちの子はちょっと訳あり幼女なので、誰とも打ち解け合わないと思っていたんですけど、妹さんとはとても楽しそうに遊んでいるんですよ、ほんとうに助かります」


 ああ、よかった、妹のやつ何かやらかしたのかと思ってちょっとビックリしてしまった。


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