第145話【温泉、カニ食べ放題プラン!】
気がついたら、僕体が浮かんでいたよ、でっかい黒服の男の人に抱えられていたよ。
「急ぐよ、もう飛行機がでるって行ってるからね。じゃああんた達、この子は連れてくよ」
とおばあさん、黒服の人5人くらいと、僕はキャビンアテンダントのお姉さんにせかされるまま飛行機に乗り込んで、空に舞い上がっていた。
それから3日間、僕はおばあさんに連れ回されうる事になる。
道東方面、おもに釧路とか、知床とか、そのまま道北に向かってウトナイ湖とか網走とか、色々連れ回された。
ほんと、いきなりで散々だったって、そう言いたくもなるような状況だったんだけどさ、最初の1日目で、釧路温泉でグッスリ休んで、それ以降、本当に面白かったんだよね。超、楽しんでいる僕がいた。
カニも美味しかったし、鹿肉料理も美味しかったし、マス料理も美味しかったし、何より宿泊するところは何処も一流処の温泉施設だし、良いのかなあ、こんな贅沢してって気分になってしまう。
それに、蒼さんのおばあさん、褐さん、お話が面白いんだよね。今年78歳って言っていたけどそんな風には全然見えなくて初対面のツンツンした感じなんて何処にもなくて、日がな一日ニコニコしている人の良いおばあさんって感じで、気がついたらとってもフランクになってしまっていた。もちろん年の功で物知りでさ、観光をしながら色々な事を教えてもらった。
蒼さんを初めとした多月家のお話しとか、以外な繋がりがある春夏さん家の東雲家の話。
多月家は分家も含めて防衛庁に務めている人が沢山いて、色々と顔が利くらしい。
そして春夏さん家である所の東雲家は警察庁に務めている人が沢山いて、こっちも色々と顔が利くらしく、その2つの家は、中が良かったり悪かったりで色々とあるらしい。
おばあちゃん、褐さん曰く、「蒼は東雲の娘よりは大分役に立つよ」と言ってたから、多分、いい意味でも悪い意味でもライバル関係みたいな感じなんだと思う。もちろん、孫押しのおばあちゃんも大分入っていたんだとは思う。
いやいや、蒼さんは黒の猟団を立て直すんだよ、僕らは関係ないよ、って言おうとしたけど、その時はカニを剥くのに夢中になっていたから、あえて口は出さなかった。いや、もうどんどんカニのお代わりくるからどんどん剥かないとね。
いろんな話をしたけど、一回、僕の家に来て僕のお母さんに会ってみたいって言ってた。一応は、僕を連れて行くときに、おばあさん電話で母さんと直接で話はしていたから多分社交辞令だと思う。だって、僕の家は多月さんとか春夏さん家みたいに立派な家系じゃないからさ、普通の何処にでもある一般家庭だから、特に見て面白いことなんてないしさ、って言おうとしたけど、その時は焼ツブ貝の身を引き出すのに夢中で、大した返事もせずに話を流してしまった。
僕の方もダンジョンの事を色々聞かれたけど、その時は北見和牛の炭焼きの焼き加減が気になって、あまり情報を伝えることはできなかった。
そんな3日間であったけど、僕はそのまま札幌に送ってもらって、おばあちゃんはそのまま本州にある本家に帰っ行った。一応は再開の約束はしてある、今後は蒼さんも連れて行くから、あんたも友達たくさん連れといで、と言われた。
今度は十勝川とかが良いなあ。
と言う訳ではすっかりリフレッシュして家に帰った僕なんだけど、事前に、お母さんが薫子さんや妹の方に話しておいてくれたお陰で、とやかく聞かれすに済んだ。
そして薫子さんが、
「そう言えば昨日、多月蒼が組織の改変の申し込みにギルドに来ていたぞ」
という情報を頂いて、蒼さんの方も順調にやっているようだと胸を撫で下ろした。
ちなみに、妹は、
「良いなあ、兄ばかりいいなあ、」
羨望の眼差をしてそんな言葉を繰り返していた。
素直に羨ましがる妹は可愛いな。「今度連れてってあげるよ」と、いつとは特定しない不確定な約束で妹を喜ばせつつ、僕は、三日ぶりに学校に行った。