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第135話【新千歳空港へ急げ!!】

 いいよね、僕が負けたことにすれば、特に勝ち負けにはこだわらないしさ。


 疲れた頭で名案思い付いた感じで、早速尋ねる。


 「椎名さん、多月さんはどこにいるの?」


 と尋ねる。


 すると椎名さんは、


 「はい、今、蒼様は『新千歳空港です』」


 と言った。


 え? もう、帰る体制じゃん、北海道の空の玄関口だよ、多月さん、三度僕の前にも現れるって言ってたよ。


 いや、なんかもう、これって、もう待った無しじゃん。


 「じゃあ、早速向かわないと」 


 「私も一緒に行きます」


 椎名さんは言う。


 とにかくダンジョンを出ないと。ここからだとひとまず札幌駅かな、そこからスカイライナーに乗って、ダイレクトに千歳空港に向かおう。


 「ひとまず、角田さん、転送で外に出よう」


 って振り向いて角田さんに言うと、そのままフワッとして倒れそうになる。


 「大丈夫? 秋くん」


 絶妙なタイミングで春夏さんに支えられる。ありがと、助かった。


 僕らは角田さんを中心に、半径3mくらいに集められて、


 「では行きます」


 と、その前に、僕は室内にいる黒の猟団にできる限り大きな声で命令する。


 「もう喧嘩したらダメだよ!」


 言った瞬間に角田さんの導言が響く、


 「ファ・トラム」


 よく見ると、転移する人間の数だけ『請負頭』が出ていた。


 さすが、大魔法番長だよ、移動系の魔法もバッチリだ。


 僕らは一瞬で地下一階に転移された、しかもここ、7丁目ゲートじゃない。ここスライムの森だよ、ギルド本部の前だ。


 「どうした、真壁秋」


 と、薫子さんが出て来てくれた。


 「ああ、良かった、賢王、これ頼むわ」


 と角田さんは自分の背中でスヤスヤ眠っている妹を薫子さんに渡す。


 「うわ、妹ではないか、大丈夫なのか? 寝ているだけか? 怪我していないのか?」


 なるほど、この為にここに転移して来たんだな。


 「真壁秋、妹の事は何かわかったのか?」


 薫子さんは、いきなり渡された妹を、妹にとってお休みしやすい形に抱き直して、僕にそんな事を聞いて来た。


 「ううん、まあ、ちょっとは、でも妹はそれで良いって言ってるから、ひとまずは解決でいいみたい」


 「そうか」


 と言って、薫子さんは優しく妹の安らかに眠る顔を見つめてた。


 「で、私は妹を預かればいいのか? 一応は事情を聞いておきたいのだが」


 僕は薫子さんに今までの事情を話した。


 もちろん、一部は薫子さんも知っている話だから、その辺の説明はし易かった。


 一通りの話を話を聞いた後、薫子さんはギルドから支給されている携帯端末であるスマホを見て何やら調べてから、


 「確かに現在、多月蒼はこのダンジョンには入っていないな」


 と言った。そりゃあそうだよ、って言いかけてたら、


 「つまり、ダンジョンウォーカーとしての登録情報が残っていると言う事だ」 


 ん? どう言う事?


 何を言っているのかさっぱりだよ、薫子さん、って顔をしていると、薫子さんは、この僕の感の悪さを思い出したみたいな顔して、


 「だから、多月蒼は、この北海道ダンジョンを去るつもりはないと言う事だ」


 ああ、なるほど。


 確か、ダンジョンに初めて入る人は登録を、そしてその後ダンジョンからさってしまう人はその登録の解除をしないといけないことになっている。


 多月さんのダンジョンウォーカーの登録情報がが残っていると言う事は、つまり、多月さんは帰って来る、だから、決してダンジョンに入る事を諦めたわけじゃない。


 流石に、自分に帰ってるう意思がないと説得するのは難しいからね。よし、一つ光が見えて来た。


 そんな事を考えていると、


 「大丈夫か、真壁秋、疲れているのではないか?」


 と、薫子さんが僕の顔を覗き込んで来る。


 思わず、ハハ、って笑ってしまって。


 「このままにしておくわけにもいかないから、もうひと頑張りして来るよ」


 と伝える。


 「わかった、妹は私が預かっておく、家に連れて帰るよ」


 って言ってくれる。助かるなあ、薫子さん。そんな彼女は、ちょっと表情を曇らせて、僕に言うんだ。


 「なあ、真壁秋」


 「何?」


 「やっぱり、黒の猟団の件について、責任を感じているのだな」


 「そうだね、まあ、そうだよね」


 「しかしだな、こんな風にいちいち敵対していた勢力に対して、気持ちを入れていたらキリがないぞ」


 「うん、そうだね」


 「あいつらは、あの時、確かにお前に対して害意を持って接して来た、武器を持って襲いかかって来たんだ、お前が勝って、あいつらが負けたと言う事で一つの答えは出ているはずだろ」


 「確かにね」


 ああ、この顔はイラっとしているな薫子さん。僕が適当に答えているって思っているんだろうなあ、違うよ、糠に釘、暖簾に腕押しって受け答えしている訳じゃないんだよ、疲れているだけなんだ。ばかにしているとかじゃないよ、薫子さんの言いたい事はとっても良くわかるよ。


 ともかく千歳空港だ。


 急がなきゃ、ってそう思ったよ。


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