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第133話【多月さんを取り戻せ!】


 僕があれこれ考えていると、椎名さんはすっかり大人しくなった仲間の姿を見て、ホッと胸をなでおろして、


 「主人様、今回は『掌握』を使用したのですね、きちんと効果が表れていて、後遺症とかは残りそうにありませんね」


 そう言って僕の方を見て笑った。


 「そうなの? まあ、『今すぐ、刃を納めろ』とは思ったけど、上手くて行ってよかったよ」


 「そうですね、現在、ここには黒の旅団のメンバーの8割がいます、男女混成ですが、今は組織中心のモノたちなので、女性が多いです、以前私に使用した『社稷』は使用されていませんよね?」 


 ちょっと厳しい目をして、僕の目から一瞬でも疑いの影を見逃さない様に覗き込まれ監視されている気分だ。


 「いや、大丈夫だよ、多分、本当に、止めようとしただけだから」

 なんで助けた僕が追い込まれてないとならなんだよ、って思いながらも、以前の初対面の椎名さんって『スキルジャンキー』になっていたから、かなり怖い人って感じだったけど、今僕の目の前にいる椎名さんはまた違った感じで怖い。


 それに、僕が上手にこの王様スキルなんて言うおかしなスキルを使い来ないしている訳ないじゃん。いまだに、どんなスキルか僕本人がよくわかってないんだから、もう言い切るしかない。大丈夫です。


 それにしても、椎名さん、『掌握』の事とか『社稷』の事とかよく知ってるなあ、ちょっと驚いたよ。


 「さすが椎名さんだね、よく、僕のスキルの事とか知ってるよね」


 とか、適当に褒めてしまった。


 「はい、ギルドに通って学習しましたから、主人様の事ですから、全てを知って置きたいと思うのはは当たり前の事です」


 と若干、顔を赤らめてそう言うんだよ。僕には何な当たり前なのか、その辺の事は探っていけないって、本能がそう呼びかけるから、華麗にスルーして、


 「へー、すごいね」


 と、自分で言っていて、何がすごいのかサッパリだけど、なんとなく話を合わせてそんな事を言っておいた。


 「ひとまず、大きな怪我した人間はいないみたいですね、まあ、知ったことではありませんけど」


 そう言うのは角田さんだ。


 角田さんと春夏さんは、茫然自失としてその場に立ち尽くしている黒の猟団の人達の周りをザッと回って確認してくれたみたい。気が効くなあ、安心した。


 「ありがとうございます」


 と椎名さんは素直に感謝の言葉を述べた。


 「少なくとも、『掌握』の影響が出ている現状では、また争い会おう事もないと思います、この間に問題を解決できるといいのですが」


 と意味ありげな言い方をして椎名さんは僕の方をチラッと見て言う。


 あー、はいはい、いいよ、やるよ、その問題とやらを解決するよ。


 だって、この問題って、あの時、黒の猟団を壊滅させて、その後多月さんを倒してしまった時から始まったって事なんでしょ。どうせ僕が悪いんだよね。その原因の一つに、椎名さんを勝手に助けてしまったことも含まれているはずだ。


 「で、どうすればいいのかな?」


 「蒼様をこのダンジョンに取り戻してください」


 蒼様って、多月さんの事だね、五頭さんもそう言ってたね。


 「多月さんを取り戻すって事でいいのかな?」


 確認を取ると、頷いてくれる椎名さんだった。


 なんの工夫もなく、素直に尋ねる僕に、椎名さんは教えてくれた。


 それは多月さんの事、そして多月さんの家の事、それは黒の猟団の成り立ちでもあった訳だ。


  そして、椎名さんは話してくれた。


 またこの内容を上手く纏めて話してくれるんだよ椎名さん。なんて言うか、こんな僕にもわかるように、短くまるでこうなる事を予想していたみたいに説明してくれるんだ。助かるなあ。


 なぜ、彼等が同士討を始めたか、そして彼等が蒼様と呼ぶ、多月さんがどこへ言ったのか、その辺の事を詳しく、且つ手早く話してくれた。


 つまり、ここで1番の問題は、多月さんは家に帰らないといけないって話らしい。


 この場合、多月さんの家って、実家って事ね。


 この黒の猟団は、多月さんっていう大黒柱を失って、こんな虚しい内部抗争みたいない同士討を始めてしまったんだって。


 多月さんは戻るのに、他の猟団の人達は戻ることができなかったってのが彼等の気持ちの有り所を壊してしまったらしい。


 ともかく、複雑で、途中から理解するのを諦める僕は、端的に理解すると、つまりは、ここに多月さんを連れて戻るっていう、それだけは理解したよ。


 なんか、多月さんの実家とか、本家とか分家とか、位や、その立場とかも色々と、椎名さんは教えてくれたけど、わかったよ。多月さんをここにつれてくれば全部解決って事だね。


 わかった。


 で、その多月さんはどこに?

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