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第130話【さあ、家に帰ろう!】

 必殺技とかさ、そんなもの無い僕に対して、


 「秋殿は『歌』を放てませんか?」


 とか、頓珍漢な事を言い出すよ。まあたまにはカラオケとか行くけど、いやダンジョンに入る様になってからはさっぱりだけど、それが一体なんだと言うのだろう? それに、今はこの戦いの事を話していたんじゃ無いのかな?


 「いえ? 歌ってなんですか?」


 と質問を質問で返してしまう。


 すると、北藤さんは何やら微笑んで、


 「いえ、こちらの話です、それを知らぬのならいいのです」


 と言って勝手に納得していた。うん、本当になんの事なのかわからない。ひとまず調子を合わせて軽く頷いて、微笑んでおこう。もう突っ込まれるの面倒なくらいに体の方はクタクタだよ。


 「良い闘でしたな、秋殿」


 って僕の肩をポンと叩いて、


 「私はこれにて失礼します」


 と言いながら、またあの小さい手帳を出して、何やらメモして、パタンと閉じで懐にしまう。ホント、見た目に寄らず細かいなこの人、その手帳に何が書いてあるのか見てみたいよ。


 そして、


 「今度は秋殿が深階層に来た時にぜひ闘ましょうそ」


 ってホクホクした笑顔をこちらに見せながら手を振って立ち去ってゆく。最後に北藤さんは、


 「真壁秋、強かったですぞ!」


 って叫んでいた。何やらエールを送られた感じ。


 ともかく、満足そうで何よりだ。さっきのゴブリンの時の借りくらいは返せたかなあ、って思うも、その借り自体はあのクロスクロスの借りである事を思い出すと、あの鉾咲さんがほくそ笑んでいる顔が思い浮かんでなんか嫌な気持ちになるから考えないようにしよう。


 本当、もう当分会いたく無いなあ、北藤さんがいることを考えると、深階層には当分行きたく無いって思えてしまうのはもう仕方のないことだよね。


 少なくともわかったことは、怒羅欣って暴力的にウザいって事は理解したよ。当分、近寄らない様にしよう。クロスクロス共々要注意だ。


 さてと、これでようやく僕らも帰れるなあ、って思っていたんだけど、そのままフラフラになりながらも、春夏さんの介添えを丁寧に断って、エレベーターまでたどり着くも、来ないんだよ、エレベーター。


 ああ、そうか、今、クロスクロスの皆さんが絶賛、けが人を搬送中なのかな?


 まあ、いいや、20階分くらいは階段で行こうかなあ、って思ったんだけどさ、ダンジョンの1階層って、基本、ビルとかの1階分とは違って、時に5〜10m。時には20mくらいはあるから、札幌JRタワーを3っつ分くらいを徒歩で登って行くくらいは平気であるから、もう何の罰ゲームだよって感じになる。


 本当にウンザリって顔をしている僕に、角田さんが、


 「秋さん、この階から1階分登るか降りるかして、そこから転移魔法で1階を目指しませんか? ほら、ここ未だに魔法は使えませんから」


 とか素敵な提案をしてくれる。


 ああ、やっぱり持つべきは優秀な魔法スキルを持った角田さんだよなあ。そうだよ、うちのパーティーには大魔法番長がいたじゃん。


 「うん、そうだよね、そうしよう」


 って事になって、昇るより下りの方が距離的に近いって事で、僕らは地下21階を目指す事にした。


 ああ、少し元気出たよ。


 って横に3体のレッドキャップが現れた。


 「うわ!」


 まるで気配なんて無かった。あれ? おかしいな、みんな特に構えもしていない。


 すると桃井くんが、


 「ごめんなさい、秋様、これは僕の傀儡です、損傷の少ないレッドキャップが数体いたものですから、疲労困憊している秋様の為に護衛に当てようと、ご迷惑ですか?」


 「ああ、いいよ、ちょっとびっくりしただけだよ」


 いや本当はだいぶ驚いていて今もドキドキしている僕だよ。


 へー、ゴブリンの死体って程度が良ければこんな使い方もあるんだね。とっても便利だね、怖いけど。

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