第33話 【狸小路商店街現金掴み捕り大戦だから叩き落とせ!】
どうやらクリーピングコインというか小銭の攻撃性能は金銭の価値によって違うみたいだ。
それでも単体だと、普通にいなせる程度だけど、中には厄介な攻撃方法とかして来る時がある。っと言っているそばから来そう。中空に1円玉が大量にひと塊り集まりだした、今回は、うーん、ターゲットは僕じゃない、大量のコインをはたき落としている春夏さんだ。
僕は盾を構えて、コインと、いやコイン達と春夏さんとのライン上に入る
来た!
捻りを加えて、大量のコインが、連続で当たって来る。正確には狙ってたのは春夏さんで、その間にいた僕に当たって来るっていう言い方の方がしっくり、かな。今回は500円くらいの群れかな。僕のライオットシールドにガンガン当たって来る。
通称、500円アタック。
1円玉が500円程度の群れになって一気に体当たりして来るんだ。
さっきは、300円程度と100円程度を3回ほどやられた。
「ありがとう、秋くん」
と、僕の存在と行為に気がついた春夏さんが言う。
いや、春夏さん、お礼とか言っている場合じゃないし、なんか、ジーンと感動しているみたいだけど、自分のパーティーメンバーを守るのは当たり前だし、ちょっと、落とそう、ってかクリーピングコインと戦おうって、僕を見つめて動かない。
最近気がついたんだけど春夏さんって、攻撃力は鬼だけど、防御力『紙』な感じだし、何より女の子だし、隙あらば守らなきゃ、って思っている側から第二派来た!。
「ありがとう、秋くん」
って、ほら、ジーンとかしてないで、避けて、来てるよ、第3波。
仕方なく、また再び、一円玉の今度は400円くらいの攻撃を盾で耐え凌ぐ。
おかしいな、春夏さん。防御力はともかく、回避能力はかなり高いのに、ここの場所では、避けようとする意志が全く見当たらないよ。むしろ自分から守られたがっているっていうか、守られているということを確認しているって言うか、自分から上手にコイン達の攻撃線に入っている気がする。
少なくとも、今度は僕と同じ視線で、敵コインの攻撃体制を見つめているから攻撃が来る事に気がついていない筈がないんだけどなあ。あ、ほら、敵の攻撃線状がズレたの悟って一歩前に出た。
「秋さん、イチャイチャしている所悪いんですけど、『ギザ10』混ざっているみたいだから、気をつけてください」
って、さっきから、まるで自分の存在を消しているかの様にしていた角田さんが話しかけて来る。本当に敵にも気づかれていないみたいなスルーっぷり、ステルスな感じで舞い飛ぶコインの中を呆然と立ち尽くして、たまに偶然当たりそうになるコインを金属の杖っていうバットで弾き飛ばして、佇んでいる。
いや、今戦闘中だし、イチャイチャしてないし、春夏さんだって、僕の盾としての役割を確認していただけかもしれないし、
「イチャイチャって、ねえ」
って春夏さんに同意を求めるも、なんか恥ずかしそうにモジモジしてるし、しながら、100円を二枚ほど弾き落としているし、いや、ここはきちんと否定して置こうよ。
何だろう、少し前から思っていたけど、春夏もちょっと人とは違う面白い子だよね。
久しぶりに会った時は、あまりに高位の存在だったけど、ここ最近ではうまくやって行けそうな気がする。
それはともかく、
「??? ギザ10って何?」
聞きなれない単語を耳にした僕は、一瞬、お金以外のモンスターを想像してしまった。
だって、ダンジョン内外通して初めて聞いた言葉だったからさ。
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