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第119話【多月蒼さんって忍者なの?】

 札雷館ってこの『北海道ヒグマ好敵手ともの会』よりも後進団体で、実は北海道に置ける独自の格闘技としては1番古いって言われているんだって、そういう事って武道とかする人たちって大事にするよね。人数は少ないけど札雷館にも出入りしているから、なんとなく話は聞いていたんだよ。


 まあ、北海道の歴史って、そのまま獣害の歴史でもあって、本州に住んでいる人にとっては考えられない様な酷い事件もあったからさ、この団体も真面目に考えて考えて考えすぎてしまって生まれた物だと思えば、ちょっと、ほんの少し、スズメの涙くらいは納得できるものはあるよ。


 ちなみに北海道ダンジョンにも出るよ、ヒグマ。その上位腫も幾つかいる見たい。中階層付近から現れるって話だから、もうまもなく僕らも対峙する事になるね。


 それはともかく、この怒羅欣。ちょっと考え方がおかいし、とか鍛え方が常軌を逸している、戦闘に傾倒する具合がイカれているとか、あくまで噂だけどそんな風に言われている集団は、間違い無く強いって事は確かで、事実として何度もギルドにエルダー級モンスターの討伐の報告とはは上がって来てその都度記録されて残されてるっていうんだから本物だよ。


 その怒羅欣の北藤さんが、一体、僕になんの様なんだろうって尋ねると。


 「秋殿と一戦交えて見たいのです」


 って、包み隠さず率直に言って来てびっくりだった。


 「え?、僕と? なんで?」


 ってびっくりなんだけどさ、


 「秋殿はあの黒の猟団、あの現代を生きる『忍術師』多月 蒼を一撃の元切り伏したと聞いています」


 え???? さらにびっくり、多月さんてマジに忍者なの? ニンニンなの?


 忍術と聞いて嫌が応にもテンションが上がってしまう僕がいる。自分の吐いている鼻息が熱いのがわかる、いかん落ち着け落ち着け。


 僕の反応を見て北藤さんは、


 「多月殿は、本家を筆頭にその分家の者たちと共に、所謂修行の一環として現代の忍びの隠れ里からこの北海道ダンジョンに来ていたのです。それが黒の猟団の骨幹です。その組織を秋殿は壊滅させ、さらに多月殿を半死に追いやったと私は聞いています」


 ものすごい誤解だね。事実としては概ね合ってるけど、その経緯というか意識が違うから、まず選定としてい違うのが、したくてしたわけじゃ無いって事。


 僕、そんな凶暴な人物では無いんだよ。それに黒の猟団をやっつけてしまったのだって、数的にいうなら角田さんだしさ、本当に濡れ衣もいいところだよ。


 「違う、事故だったんだよ、なんていうかな、こう、出会い頭的な?」


 自分で言ってて疑問形になっちゃったよ、でもそのくらいどうしてそういう形になったのか、自分でもよくわからないっていうのが答えだよ。


 「事故で、全くの偶然で、このダンジョン内で3本の指に入る強者を倒したと、そう言うのですか秋殿?」 


 とても温厚で穏やかな北藤さんの目が僕をぎょろりと睨んだ。


 ああ、そうか、そう言うのは失礼な言動に当たるんだね。


 確かにこれは僕の言い方が悪い。こう言う人たちって、勝は勝ち、負けは負けのプライドがあるんだ。


 多分、きっと。この怒羅欣の北藤さんがそう言ってしまうくらい、多月さんてそんなに強いんだ。どんな事情があるのか無いのかはわからないけど、僕には見えないし感じられない彼等の特有の自尊心を傷つけてしまった見たい。


 それでも異なる価値観同士、嘘をついてまで自分のやってしまった事を正当化したり、美化したりは違うとおもうので、正直に言うよ。


 「僕も必死だったんだよ」


 これは本音だよ。本当にあの扉を開いて多月さんが僕の目の前に迫っていた刹那、どう転んでもおかしくなかったんだよ。運が良かっただけだよ。


 「聞いていた話とは違って、随分殊勝で謙虚な姿勢ですな、秋殿」


 この答えはお気に召したようで、北藤さんの顔は綻ぶ。別に取り入ろうってわけでもないんだけどね。北藤さんのお好みの答えを言ったつもりもない。本気も本気でそう思っている。僕は知っているんだ、僕は決して強くは無い。それは誰よりもわかってるつもりだよ、母さんにも散々言われている事だし、何よりも自覚があるからね。


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