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第119話【北海道独自格闘会と怒羅欣の歴史】

 正式名称は知らないけど、通称『対モンスター徒手格闘集団 怒羅欣』と呼ばれる彼等の目的は、素手でモンスターと戦う事。


 武器とかスキルとかは一切使わない。


 鍛え上げた肉体と研鑽した技でモンスターを倒す。


 僕みたいに一般な普通なダンジョンウォーカーから見ると、もうイカれているとしか思えない。素手だよ、素手。もうありえないよね。しかも、実際に戦いに挑む時は1対1なんだよ。


 しかも、記録でエルダー級も倒しているって話らしい。


 そして、その力を示す為に、定期的に仲間内で時折試合を行っているんだって。


 この集団には、いろんな噂があって、しかもあまりいい噂というものも無く、絶対に関わってはいけないって言われているんだ。それは僕も聞いたことがある。葉山さんとかも言っていた気がする。ちょっと考え方も筋肉的というか脊髄反射的なアレなんだって。


 曰く『胸筋で記憶して、腹筋で考えて、背筋で悩んだ末に、前腕筋群と上腕筋で殴り砕く』とか、『ほぼ脳死下ハツカネズミの頭脳にドーピングを極めたローランドゴリラの肉体』とか、『血液の代わりに体内に流れているのは全部ドーパミンとプロテイン』とか所謂『戦闘狂』として恐れられている。

 深階層に入り浸る強力な戦闘スキルを保持したダンジョンウォーカーも決して近づかないそうだ。


 これだけ聞くと出逢った瞬間に無闇やたらに襲いかかって来そうな印象あるよね。もうお腹をすかせか狂犬か血の匂いに惹きつけられたホオジロザメくらいのイメージあるよね。


 怒羅欣と言う組織を知るものは、口々に言う。『絶対にこいつらに手を出すな』そう囁かれている。


 そうだよね、深階層のエルダー級あたりに素手で喧嘩を売るって行為自体がもう既におかしいもの。本気でどうかしていると思う。僕だったら絶対に目を合わせないよ。北藤さんは来ちゃたから仕方ないけど。僕とは一生価値観が会うことは無い、できれば一生出会いたくなかった。


 余談だけど、この怒羅欣、実は歴史は意外に古くて、この団体の前身になった団体は、北海道ダンジョンの発見される前からこの北海道に存在していたと言われていて、その経緯というか源流は実は江戸時代後期まで遡るらしい。今もあるよ。その団体。


 『北海道ヒグマ好敵手(とも)の会』


 人類と野生動物との共生と自然保護の概念と正しい生き物としての序列の為に、銃器や罠等を使わずにヒグマを素手で倒すという事を目的に発足した会。


 一説ではゆきすぎた自然保護の概念と強さを求める余り格闘技が対人の枠を飛び出してしまっての奇跡のコラボとか言われている。


 この異なる2つの概念がどこでどう融合したのか詳しいことはわかっていないんだ。あえて詳しく調べる人もいないって話だ。気持ちはわかるよね、こんな団体の結成経緯とか調べる暇があったらもっと有意義な研究はきっと山ほどあるものね。


 彼等の言い分だと、このやり方ならヒグマを殺傷せずに『人間の方がヒグマよりも強い』って教える事ができて、素手でヒグマを倒して追い払い続ける事によってヒグマが人間を見ると逃げるようになるんだって、少なくとも200年は続けて経過を観察してゆくっていうのが基本理念らしい。


 ちなみにこの分派として、『北海道セイウチ好敵手(とも)の会』をはじめとする『海獣類好敵手ともの会』等も知られている。これらを束ねる会長さん北極圏にシロクマに逢いに行っているそうだよ、もう何代にも渡って、何年も帰ってこないんだっそうだ。


 流石、怒羅欣の派生母体だよね怒羅欣に負けず劣らずイカれているよね。


 もう、本当に頭おかしい。


 ここ20年くらいはうまくやっているみたいだけど、発足当時は、怪我人が続出したらしいよ。


 僕みたいな一般ダンジョンウォーカーがこんな情報を知っているのは、このおかしな団体の情報は、札雷館で得たんだよ。基本、大自然の中で闘うから道場とかを持ってない『北海道ヒグマ好敵手ともの会』ってたまに札雷館に道場を借りてるんだって、流派が違うけど仲がいいみたいなんだ。


 だから、春夏さん経由でも、そして普通に噂話として、今もこの程度の情報は入って来てるよ。


 怒羅欣の歴史って感じだね。

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