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第115話【気軽で簡単、ゾンビレシピ】

 この2人はどう言う神経してるんだろ? スプラッターもホラーもソコソコ見る僕だけど、あれって作りものだから良いけど、リアルに眼の前でやられるとさすがに相手がゴブリンでもこれは引く。

 

 「ほらほら、見てください、あの浅黒いゴブリン達の筋肉って綺麗なピンク色なんですよ、あー、残念、大部分は『のろま』になっちゃいましたね』


 キャッキャと喜んで溌剌とした声を出している桃井くんだよ。


 その言葉にゴブリン達を見ると、ほんとだ、最初のゴブリン達は桃井くんが即死させたやつね、その無傷なゴブリンは素早く動いているけど、食いかけの損傷の激しい死体になった血まみれのゴブリンの方はのろのろと動いている。


 そして、あの150匹くらいいたゴブリン達は時を僅かにして、皆、活の良い屍になってっしまった。


 このゴブリンの大群の中にはレッドキャップもゴブリンプリンスも混ざっていたけど、皆等しく食い散らからされ、今は僕らの方も見ないで未だガツガツと共食いを続けている。 


 そんな光景を目の当たりにして、僕は1つの疑問を口にした。


 「ねえ、これって、最終的にどうなるの?」


 いや、だって多分、ダンジョンウォーカーには無害なんだろうけど、ここだっていつまでたっても動く死体だらけって訳にもいかないでしょ魔法とかも封じららてるから、魔法の炎で一気に火葬って訳にも行かないし。一応、今はこのフロア封鎖さてているからいいけど、それも解けたら他のダンジョンウォーカーの人たちも入ってくるからね。いつまでこれが続くかわからないけど、こんなの目の当たりにしたら、一生の心傷になると思う。


 あ、でも、僕なんとなく慣れてきた感じ。うん、見ていて平気になってきた。まだちょっと、酸っぱいものが胃から込み上げて来てうるけど、大丈夫。うん、吐くまでには至らないな。変なゲップとか出てるけど、大丈夫、乗り切った。


 自分の適正生存を確認している僕に、桃井くんは言う。


 「大丈夫です、このまま共喰を続けて、最終的には無くなりますから、あ、なくなるっていうよりも、最後の1匹になったら、自分の手足を食べ始めて、口が届くところまで喰い続けて、その後動けなくなって、無害になりますよ」


 キャー、なにそれ、ちょっと酷くないかな、モンスターだけど、あくまで敵だけど。


 思わず、


 「うわあ」


 って声を上げたら、桃井くんは僕の方を慌てて振り向いて、


 「ごめんなさい、秋様、こう言うの、こっちの人たちは苦手なんですよね」


 僕、ちょっと顔が青かったんだと思う、慣れてないからね。そんな僕の顔を見て桃井くうはショックを受けてしまったみたいで、「ああ、どうしよう」って呟いて、ちょっと、桃井くんは反省しションボリした顔してしまった。その姿があんまり気の毒で、僕は思わず、


 「いや、大丈夫だよ、すごいスキルだね、汎用性もありそうだし、やっぱり凄い人だったんだね、桃井くんは」


 僕は率直に言った。本気でそう思ってたから、それに残忍とか残酷なんて言うなら、生きたまま上手に敵をしかも人間をミディアムにしてしまった角田さんもそうとうなもんだしさ、出会い頭とは言え、多月さんにあんな傷を残してしまった僕もどんだけだよ、って思うんだよ。


 僕らは皆このダンジョンで戦っているんだから、一歩でも奥に進むために立ち塞がる敵には等しく残酷な形でも勝利をもぎ取って行かなきゃ進めないじゃないヵ。何を今更と僕は思う。僕らは、いや、僕は進事を選んでこのダンジョンにいるんだ。敵に殺されるつもりはサラサラ無いんだから、こう言う事もあるよ。

桃井くんの曇っていた顔がパッと明るくなって、


 「ありがとうございます、僕、こんな能力なので、なかなか周りに人を置けなくて、良かった、秋様はそれほど怖がってないんですね」


 受け入れられたような。いや許してもらえてって顔かな、スキルなんて個々の能力なんだから、許すも許さないもないんだけど、本当に安心した笑顔が眩しかった。


 ごめん桃井くん、実は無理してる。


 きっと慣れるのは無理だって、今の時点では思ってるけど、大丈夫、桃井くんは仲間だからね。


 それは間違い無いから。

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