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第108話【覗き見る八瀬の目は粗く】

森方 協十団長は、 クソ野郎さんにも握手を求めて、一応それに答えてるクソ野郎さんだ。きちんとシェイクハンドしてる。なんか社交的な人だなあ。ちゃんとクソ野郎さんの事を知っていて、それでも尚、握手に行けるって、ある意味すごいよね、ギルドでは悪名の方が名高いあの『愚王』だよ、下の名前を呼んでるし。あ、でもアモンさんに握手断れて、お辞儀して戻って来た。


 そして、石山さんの所に来て、


 「これは、『怒羅欣』の荒ぶる武神、北藤 臣(きたふじ じん)さんですね、すごいよ、あの格闘集団のトップの方が応援にきてくれるなんて」


 とても興奮している森方さんだ。僕の方は目が点だけどね。怒羅欣って、あのモンスター相手に素手でかかって行く人達でしょ、ただ者じゃないって思ってたけど、その上で驚いてる僕がいる。なんで、こんな人が僕の名前を知ってるんだ? それに、なんかとても僕の戦闘に固執していたし、ここにいるって意味がわからない。


 これには、神嶋さんも脇本さんも驚いていたみたい。


 石山さん、いや、北藤さん、本名を言われかから、気まずそうにこっちを見ようともしない。ほらこっちみろよ、全力で不審な目をしてやる。


 「あー、協十、今、北藤さんは、石山さんみたいなんだ、で、そっちの小さな子が張り付いているのが、多分、定山渓くんで、その横の女の子が、簾舞さんと名乗る東雲春夏ちゃん」


 「なぜ、ここで札幌を代表する有名温泉街が出てくるの?」


 「さあ、わからないよ、彼がそう言っていたんだよね?」


 鉾咲さんの質問に、僕の方をあからさまな猜疑心の目を向けて、頷く神嶋さんと脇本さんだ。2人のそんな目を見ているとなんかごめんねって気になってしまう。


 「ちょっと待って、東雲春夏って言った? 八瀬?」


 「ああ、そうだよ、あの東雲春夏だよ、思った通りの侍さんだ、僕の選別では限りなくシングルに近いダブルだね、すごいよ、即戦力になるよ幹部間違いないね」


 「そりゃあ凄いなあ、で、どうだったんだい、うちに来てくれるのかい?」


 「にべもなく断れれたよ、もったいないよね、彼氏も一緒にどうぞ、って言ったのに、彼等にその気は無いみたい」


 彼氏?


 「あれ? 違ったかい? だって僕が抱きしめた時、東雲ちゃんの方を気にしただろ?だからてっきり僕は」


 とか恐ろしい事を言い出す。違う違う。ほんと、何言ってるの?


 って、春夏さんを見ると、妹の頭を揉みくちゃにしてモジモジしている。なんだろこの反応、最終的には妹に「痛い、やめろ!春夏!」って怒られて、ハッとして背を向けてしまう。


 「八瀬、彼の方の能力も凄いんだろうね、東雲さんや、北藤さんと一緒にいるってことは?」


 「うん、抱きしめて見たけど、あんまり喜ばれなかったなあ、誘惑した方としてはお姉さんちょっとショックだよ」


 「誘惑って事はまた触感で計測したって事だよね? 以前、ギルドで工藤さんに同じことしてぶっ飛ばされたでしょ、忘れたのかい?、ごめんね、君」


 って森方さんが謝って来る。


 ああ、さっき思いっきり頭を抱きしめられたって奴ね、あれ真希さんにやったんだ。すごい人だな、鉾咲さん、命知らずっていうか、何も考えてないっていうか。 


 すると、鉾咲さんは、「うーん」」って言ってから、


 「この子、よくわからないんだよ、東雲ちゃんのフォローに入れるってことはそれなりなんだと思うけど、強さが測れない、この反応って、以前、工藤真希を見た時の物と一緒なんだよなあ、ああ、『フォース』にも引っかからない雑魚も同じ反応出るから、なんとも言えないけど、弱くはないようにみえるけどなあ わからない」


 また知らない言葉が出てきた。でもその言葉に反応したのは、意外にもアモンさんだった。


 「ああ、あなたが取り込んだんですね」


 と鉾咲さんを見てそう言った。


 「一応、『お告げ』は使えるようですね、人を推し量る目盛りは荒らそうですが、他は何が取り込まれたのか、少しだけ興味あります」


 と冷たく呟いた。


 「ごめん、前住さん、何を言っているのかわからないなあ」


 鉾咲さん、口調が変わった。なんだろう? 怒ってる? いや、違うな、余裕がなくなってるのかな?


 「『シングル』ですか? いい仲間ができてよかったですね、その浅く狭い目的が違わぬ日までは仲良くできそうですね」


 アモンさんは、鉾咲さんの横にいた正体不明の人物を見つめて言った。


 「ああ、お姉さんの方はその目で見えるんですね、すごいなあ、八瀬と同じスキルの人って初めて見たよ」


 「団長さんは『トリプル』ですか、そしてそれを見るあなた自身も似たような位置ですね」


 そう言うアモンさんの口調は普通の、まるでただ、その人の取るに足りないどこにでもある特徴というか個性を、褒めるというわけもなくただ指摘している様でもあったんだ。

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