表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/1335

第31話【お金(円)舞飛ぶ夢のイベント!】


 再び、しばらく悩んでから結論を出した。


 これは決定。でも武器はひとまず、780円の『オンコの棒』(ヒノキよりも堅い)を買って、グリップを巻いて使おうと思う。長いの1280円だから、短めのショートソードくらいので妥協だな。


 たかだか、木の棒に780円は高いのか安いのかよくわからないけど、それでも、ちゃんと真っすぐだし、持った感じの安定感もあるから、そこそこ使えそうではある。


 後は、ダンジョンでお金を稼いでなんとかしようと言う希望的決定をして、手早く商品を選んでレジまで持って行く。


 うわ、消費税込みで、キッチリ払おうとしたら3円足りなかった。10円玉もなかったから100円だしちゃったよ。なんか損した気分になるから不思議だよね。


 しばらくは武器は我慢だな、って思って、言い聞かせようとして、でも、基本、浅階層とか中階層って、お金とか儲からないんだよね。


 武器とか防具な装備品が出るのって、中階層も中盤以降だし、使えるものって言ったらもう深階層に近いところだし。


 この先って言うのもだいぶ遠い話だな、って、軽い絶望感にさいなまされる僕の頭は、それでも精神的な安堵を求めて錯綜し、その記憶の底にうずめていたとあるイベントを思い出す。


 僕は思い出したんだよ。


 そうだ、アレがある。


 アレがあるじゃあないか。


 そう、今週の土曜日、全くお金を稼げない浅階層のダンジョンウォーカーの人々にとっての唯一といっていい『稼ぎ』関係の最大のイベント。


 まさに今の僕にとってのうってつけなイベント。


 もう、渡に船どころじゃないよ、渡ろうとした瞬間に新石狩大橋が現れたって、そんな驚きに喜びだ。


 その名も『地下狸小路自由商店街現金掴み取り()()


 いつもは楽市楽座なフリーマーケットで有名な、地下1階狸小路真下の通称『狸の真下』に一年に2回程度、あるモンスターが出現する。


 俗に言う、『クリーピングコイン』、別名『生ける小銭』通常は中階層に出るタイプのモンスターだけど、どう言うわけか、毎年2回、この狸の真下に出現する。


 真面目に、本物のお金とかもかなりの確率で混ざっていて、ある一定のタメージを受けると擬似生命を失って普通のお金に戻ってしまう。


 つまり、倒せばお金が手に入るっていうことなんだよ。


 噂では、稼ぐ人はそこで一日だけのイベントで30万くらいは軽く稼いでしまえると言う。


 普通なら、日常なら、こういったものって所謂『拾得物』に当たるために、警察へ届けないといけないんだけど、ほら、そこは、ここ北海道ダンジョンなわけじゃん。


 例の条例『ダンジョンに負けない青少年育成条例』のおかげで、そのダンジョンで手に入れたものは自分の物にできるし、さらに非課税だし。このタイミングで、このイベントが来るって事はさ、神は僕に『カシナートの剣』を手に入れろって、そう言う啓示なんだよ、絶対。


 そっか、次の日曜日には予約できるんだな『カシナートの剣』、どうしよっかな、一応、家の近くのホーマックで予約しようかな。


 本当に来週の日曜日にまたここに来るのが楽しみだなあ……。


 だって、現金つかみ取りだよ?


 そんなの儲かるに決まってるじゃん。


 何も手に入れてない、まだ飛び交く『お金』も見たことない僕は、ただ『地下狸小路自由商店街現金掴み取り大戦』に行こうって決めてるだけで、不思議な達成感に似た期待感に胸を膨らませていたんだ。


 なんていったかな、これ、諺でもあるよね。


 なんだったっけなあ、確か『狸』がどうのこうの?


 まあ、いいか。


 ともかく、『地下狸小路自由商店街現金掴み取り()()』。


 そこが今、僕が目指すべき場所であり一番近い未来なんだ。

やっぱり、ブクマ、感想等よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ