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第102話【年齢制限に下限無しの真実】

 口を挟む暇もなく鉾咲さんは喋り続けてくれる。でも聞いいてしまう。口を挟んでこのくらいは聞いてみる。


 「低年齢者ってどう言う意味ですか?」


 なんの工夫も無く普通に聞いちゃった僕だよ。


 「嫌だな、君も連れて歩いてるじゃないか、この子、10歳くらいでしょ? ダメダメ惚けようとしても、まさかこの子、中学生くらいって思って連れ歩いている訳じゃないよね?」


そんな事を普通の顔で言われた。


 「いえ、このこ、こう見えて中学生なんですよ」


 「またまた、冗談だよね?」


 「だってダンジョンて、中学生にならないと入れないですよ」


 と言う僕に、


 「入れるよ」


 と即答の鉾咲さんだ。


 いやいや無いでしょ、ってなんとなく、くそ野郎さんを見る、当然アモンさんも視界に入ってしまうんだけど、二人とも何も言わない、まるで沈黙で僕の疑問であり鉾咲さんの答えを肯定している感じ。石山さんを見てみると、「うむ」と言う。


 「マジ?」


 と僕。


 「マジだよ」


 と鉾咲さん。


 意外だったのは、春夏さんが驚いていないことだった。って言うか、入場条件の下限ってギルドの規格だったって事なのかなあ。そう思わされていたって事?。


 僕の常識が違っていたんだ。確か、北海道ダンジョンは中学生以上、高校生以下しか入れないはずじゃあなかったかな?、それが常識だってそう思っていた。


 「稀に、ダンジョン適齢期でもダンジョンに入れない人間がいるように、適齢期に達していない子供もダンジョンに適応する人間がいます、こちらは数的にはかなり多いですね。しかし、安全面と肉体、精神面の育成上の問題で、低年齢者のダンジョンへの侵入はギルドは厳しくこれを禁止しています」


 そう僕に追加で説明してくれのは、アモンさんだ。


 「そうそう、そこにいる前住大先輩姉弟は、姉は4歳から、弟は2歳からこのダンジョンに入っていた大先輩だよ、そうですよね、先輩」


 鉾咲さんの言葉にそれを全く否定しないクソ野郎さんにアモンさん。


 マジか!


 「あ、すいません、これ言わない方が良かったですか? ああ、しまったなあ、つい口が滑って、何も知らない無垢なダンジョンウォーカーにまた新しい真実を告げてしまった、僕は罪深いよ、あ、これ拡散してね」


 大げさに嘆いて鉾咲さんは言う。その口調とは別に、その表情に身振り手振りは、演技者のそれのよう、しかも僕とクソ野郎さんとアモンさんの反応をチラチラと確認して、時折、なんとも言えない笑顔だ。


 でもまあ、クソ野郎さんも、アモンさんもさして気にしていない感じなんだよね。特に動揺しているように見えないし、思いっきり普通にしてるし。


 そんな2人の姿を見て、


 「動揺しないですね」


 残念そうに鉾咲んは言ってから、また急に僕に話を振って来る。


 「君は驚いたでしょ」


 って言ってから、春夏さんを見て、


 「あれ? 東雲ちゃんは驚いてないねえ、やっぱりお父さんが公安関係だから、割と知ってるのかな?」 


 そう言って納得したようなしてないような簿妙な顔していた。


 そうなんだ、ダンジョンって、年齢に達してなくても入れてしまえるものなんだ。


 そう言えば、適齢者でも入れない人とか、入る事でなんらかの抵抗がある人がいるってことは知っていた。すぐ身近なところの例だと。


 僕の周りではギルドの重鎮、麻生さん。普通はそう言う人ってダンジョンから離れて行く傾向にあるらしいんだけど、あの麻生さんはそんな体に鞭打って、ほとんど毎日ギルドの本部に詰めているからなあ、休みとかもあるんだけど、なんのかんので毎日来ているって話だよ、あの時、『鏡界の海』の事件、ラミアさんの事件ね、その時だって麻生さんは非番だけどギルドに普通に仕事していたんだって、だからあの速度で対応できたんだって。ギルドの鏡みたいな人だよね。


 そんな麻生さん本人は言わないけど、知っている周りの人から聞いた話だと、ひどい時は乗り物酔いみたいになるって言っていた、概ね頭痛は毎日にだって、真希さん曰く、『重い生理痛』みたいなものって言ってたから、男の僕には想像もできない。


 あんまり表には出さないようにしている感じに見えるけど、辛いんだろうなって、想像できてしまう。


 確かに麻生さんとかは、真希さんの暴走を抑えてるって意味でも、ダンジョンにとって絶対に必要な人だからね、良く、ギルドは北海道ダンジョンの『理性』って言うダンジョンウォーカーも多いけど、それってきっと麻生の事だよね。

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