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第101話【年上お姉さん耐性】

 鉾咲さんは、僕の前に立ち手を僕の両肩に置いて語り出す。


 「いいかい、まず1つは、『年齢』、1つは『死』、最後が……これがとっておきかもしれないね」


 と囁いた。気が付いたら、僕、鉾咲さんに顔ごとその長い腕と胸、そして鉾咲さんの顔で包まれている格好になっていた。そして、その唇は僕の耳を食べてしまえるくらいの距離で、そっとそんないかにも意味あり気な言葉を囁いた。


 年齢? 死? ???


 僕は彼女の言われた言葉そそのままグルグルと回して考える。なんだろう? なんのとだろう? 


 思考が繰り返される僕に、鉾咲さんは、


「あれれ?」


 おかしな声を出して僕から離れて、僕の顔をじっと見つめて考えてる。


 「やっぱり、測れない」


 と呟いてから、多分、僕は鉾咲さんに対して不審な顔をしていたんだと思うんだけど、そんな視線に気がついて慌てて笑顔になって「いやあ」とか言ってる。何がしたんだ?、この人。_


 どうしたんだろ? 早く教えて欲しいんだけど、続き、続き。


「おかしいなあ、中学生男子は、年上のお姉さんにこんな風にされたら好きになっちゃうんじゃないのかな? 君、ちっともドキドキしてないよね?」


 って鉾咲さんは素っ頓狂な事を言い出す。


 いや、内容の方が気になっちゃうでしょう。それに年上のお姉さんんにからかわれるなんて、結構慣れてるし、ほら、真希さんとか真希さんとか真希さんとか、真希さんとかさ。 


 「なんだ、駄目かあ、君、ちょっとチョロそうな気がしたけどなあ、ああ、そうか東雲春夏ちゃんとかと一緒にいるからかな?、僕、おっぱい小さいからなあ」


 と自分で胸を注視して鉾咲はガッカリしたように言った。


 でも、すぐに気を取り直したようで、


 「でも、ウエスト周りは細いよ、スラッとしてるよ、ほら、ちょっと触ってみてよ」


 「鎧着てるだろ、テメーはよ、多感な中坊からかうなよ、本気にしたらどーするんだよ え?」


  いつの間にか僕は春夏さんに手を掴まれて、クソ野郎さんの横槍が入る。大丈夫、本気になんてしないから。


 からかわれているのは十分承知してるから。初対面のお姉さんがこんなに積極的なのって、絶対に訳があるってわかってるから、僕にそんな魅力とか人間力とか無い人だから、こう言うことに自信が持てるって悲しいよね。


 なんか、よくわかんない人だなあ。何かを仕掛けられたって気がしてならない、じっくり見られた感じかな、スキルかなあ、それを誤魔化そうとしているから、狡猾な人っで間違い無いとは思うけど、どこか正直って言うか本音なところもあって、明るいけど、なんか含みのある陰みたいな物もあって、他人に対して興味があるようで、全く無いようで、ここまで来ると、いい人なのか悪い人なのか、そんな単純な基準で測って良いのかさえもサッパリ判らない。


 でも本能的に感じるのはこの人苦手なタイプかも。


 そんな思案を迷走させている僕をよそに、何かを閃いた様な顔してポンって手を叩いて、 


 「もしかして、君って女の人に興味ない人かい?」


 とか言い出す。


 「ほう」


 今まで全く空気だった石山(偽名)さんがボソって呟く。クソ野郎さんに限っては大爆笑してるし、アモンさんは妙に首を背けて肩を震わせている。あれ絶対に笑ってる。


 ああ、もういいや、そんな話は、どこかでこの不毛な会話を切断しようと考えていると、ここで鉾咲さんは漸く、僕の脚にしがみつく妹の存在に気がつく。


 「なんだ、年齢の事は知っていたんだね、こんな子を連れて来るんなんて、結構なワルだね、君も、この子なんのスキルを持っているんだい? 相当強力なスキルとお姉さんは見るけど、違うかい? おっと、お互いに秘密は無しにしよう」


 団体名と名前以外は教えてもらっていない鉾咲さんはそんな風に僕の顔を真っ直ぐみて言う。


 「なんだ、ギルド側っていうから、用心しようって思ったけど、僕たち友達になれそうだね」


 さらに続けて、


 「低年齢で適応者で、しかも強力なスキル持ちって言うのもクロスクロスは大歓迎だよ」


 僕がどう思っているなんて御構い無しにどんどん話してくる鉾咲さんだけど、どういう事だろう? 疑問だらけの僕なんて完全に置いてけぼりだよ。

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