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第99話【副長 鉾咲八瀬 登場!】

 そして、この口から出るのは、高い女性独特の声だった。


 「ああ、なんだ、終わっていたんだね」


 と辺りを見渡して、そんな風に言った。


 「うわ、すごいなこのゴブリンの死体の数、それにそこに倒れているのはキングゴブリンじゃないのかい? すごいな、いやはや、神嶋もこれだけ強力な助っ人をどこから調達してきたんだ? 割と交渉上手なのかな? そうなら配置変え考えないとな」


 と周りを見渡しながら、そう言った。


 そして、クソ野郎さんを見て、アモンさんを見て、石山さんを見て、春夏さんを見て、そのほかはザッと見渡して、


 「さて、石山通君と定山渓君、それに、侍らしい簾舞さんはどこかな?」


 と目の上に手をかざして、大げさに探すふりをして、今度は笑い出す。


 「それにしても、わっかりやすい偽名だね、あの2人は本州からの志願ダンジョンウォーカーだから、地名ネタは勘弁してやってくれ、ありえないだろ、国道230号線南に向かって札幌市内縦断してるって、笑える、最高だよ君たち」


 なんて言ってツボに入ったみたいで笑い転げてる。


 そして、自己紹介してくれた。


 「僕は、鉾咲 八瀬(ほこさき やつぜ)、17歳だよ、職業冒険者でクロスクロスの総括副団長の立場だよ、一応組織では2番目に偉いってことになってるけど、まあ、気にしないで、それと、こう見えても女の子なんだよ、無駄にデカイから見えないよね、笑える、乙女なんだよ、優しくしてくれたら嬉しいな」


 まあ、8割が背高ノッポの女の子、身長もだけど、手も足も長いって印象。残り2割で細くてヒョロイ長身なお兄さんって思っていたからセーフだな、僕。それでも本人は本人をディスってるけど、大きいけど、美人さんだよ、普通に。


 ダンジョンウォーカーって綺麗な人多いよね、顔とかちっさいし。


 「あ、ごめんね、偽名の事についても別に誰を責めているわけではないんだよ、この度は、僕らクロスクロスを助けてくれてありがとね、たとえ君たちがどこの誰だろうともお礼は言わせてもらうよ、ほら、組織とか背負ってしまうとなかなかできない事もあるからさ、そこはそれで行きたいって言うんであれば、僕らとしてもやぶさかではないんだよ、まあ、それでも『東雲春夏』ちゃんとかになるとここは見逃せないんだけどね、有名人だからね」


 やっぱり春夏さんって有名なんだなあ、って改めて感心している僕がいる。


 「ねえ、君」


 って今まで散々スルーしていた僕にいきなり話しかけてくる鉾咲さん、高いところから急にパスが来て驚いててしまってキョドッてしまう。


 「どうして、僕が東雲春夏ちゃんだけじゃなく君にも声をかけたかわかるかい?」


 わかるわけがない。


 僕は首を横に振って見た。


 「それはね、君たちってまだギリギリでフリーでしょ、どこの組織にも属してないって、違う?」


 ぐぐって鉾咲さんの顔が迫って来る。有無を言わさぬ質問に、思わずうなづいてしまう。確かに大きな組織には属してないからね。


 「まあ、僕、個人だよ、あくまで僕個人としては、どちらかと言うと、東雲さんよりも、あの廊下のミノタウロスを倒す際にフォローに入って君の方に興味はあるんだよね、こう言うことが出来るノービスってなかなかいないからね」


 と矢継ぎ早に言われてしまう。今まで春夏さんとか一緒にいる角田さんとかに注目されることはあっても、僕が評価されることってあんましないからさ、ほんと初めてそんなふうに言われて、春夏さんとかの気持ちがなんとなくわかった、なんか、こう、品評されているみたいで気持ち悪い。食肉用の牛が競りにかけられているみたいに、ジロジロみて、さらに続けて、


 「君、あんまり強そうに見えないしね」


 などと失礼な事を言われてしまう。


 「ああ、ごめんね、僕、割と素直な人だからさ、気を悪くしないで、一見弱そうに見えるっていうのも、割と有利な特色の1つだからね、でも、君、本当に弱そうだ、その軽装の所為かな、東雲さんもだけど、そろそろ、この階層ならジャージはやめたほうがいいよ、お姉さんからの忠告だよ」


 って僕と春夏さんの装備について言及してくれる。


 そして、言葉を強く繰り返して鉾咲さんは続ける。


 「大事な事だから2回言うよ、僕が君たちに興味あるのは、まだ君たち、主だった組織に属していないでしょ、これから先の事を考えるなら、なんかしらの組織には入っていたほうがいいよ、これからまだ階層を深めて行くつもりなら、なおさらだよ、ぜひウチに入らないかい?」


 すごくいい笑顔っていうヤツが僕らを見渡し、最後の僕でさらに笑顔を深めていたよ。


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