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第98話【クロスクロスを率いる者】

 「じゃあ、やっぱり、妹はこの宝箱の近くで今回の事件に巻き込まれたってこと?」


 アモンさんはしばらく考え込んで。


 「その考え方でいいと思います、でも、もう原因を探す必要は無いのです、ここに彼女がこうしてあなたの側にいると言うのが1つの答えなのです、これ以上の答えは求める必要も無いでしょう」


 なんか釈然としない。いや、僕はいいけど、何も知らないんじゃ妹も気の毒な気がする。アモンさんの言う通り、今はいいかもだけど、どこかでどっかりと大きく情報が欲しい 


 僕、その時、そう言う表情をしていたんだと思うんだけど、それはアッサリと見透かされて、クソ野郎さんが言う。


 「気持ちはわかるけどな、でも急ぐなよ、お前はまだ中階層のダンジョンウォーカーだろ、じっくり答えを探して行けばいいんだよ、それとも、このダンジョンの全てを知ってから冒険に挑むのか?」


 なんてなことを言われてしまう。ほんとうに正論すぎてぐうの音も出ない。物の見事に先輩ダンジョンウォーカーに後輩ダンジョンウォーカーが説教を食らってしまった。


 それに、アモンさんが言うことだからなあ、ってのもあるんだよ、この人、なんのかんので命を助けてもらっているからね、そんな人がこれでいい、って言うんだから、僕としてはそこに反対するつもりも無いんだよ、妹もそれで納得しているみたいだしね。


 納得言った。スッキリはしないけど、今はこれでいいやって気にはなれた。仕組みのわからない家電の一応の使い方をざっくりと聞いた気分に近い。使うところはこんなところだろ、って感じの。


 その上で思うんだけど、なんでこの人達、ここにいたんだろうって言う素朴な疑問。


 聞いても絶対に答えないから、こっちで勝手に想像して見るけど、以前も、この北海道ダンジョンの危機の時、あのラミアさんの事件ね、その時に駆けつける様にやてきてたよね、今考えると、このクソ野郎さん、あの時点であの事件の正しい解決法を知っていたみたいだし、寧ろ、考え方は僕に近かった気がする。


 それに、結局あの時、事故的な要因で僕は大怪我したけどさ、それ以外の人間は誰も傷つけてないんだよ。あの後、相馬さんとか河岸さんとかとやりあったって話だけど、その本人達からメチャクチャ高評価なんだよね。それに真希さんの方もなんだろう、計画的に対立軸を作ってやり合ってるって気もするし、なんのかんので、あの時って、ギルドの中でも比較的に新人が多かったみたいだから、助けにきたのかなあ、って今の時点で思う。


 今回だって、結局、クロスクロスの人達を助けてるしさ、結局この人って言動とか態度とかは色々とアレな感じだけど、とどのつまり、普通にいい人か?


 最初の出会い。この人に小突かれなかったら地下歩行空間で僕の持つって言われている王様スキルの『掌握』が暴発してしまった時だって、どこまであの被害が広がっていたかわからないもんね。


 なんだろう、普通に、恩人か? この人。


 「なんだよ、この槍かっこいいって思ってるだろ?、やらねーぞ、自分で探しな」


 とか僕の視線に気がついて見当違いのこと言って、下品に笑ってる。いや、思ってないし、基本というかデフォで僕は剣しか使えないし。


 「我が王よ」


 アモンさんがそう呟くと、クソ野郎さんからヘラヘラとして笑いが消えた。


 「原因がこちらにいらしたようですね」


 その言葉に僕は驚いた。つまりこの金色宝箱の犯人って事?


 「手伝うぞ」


 と、石山さんが言った。


 「いや、臣は手を出すな、今のところ、組織としてはこのダンジョンの本流にいる奴らだ、他の組織の代表が手を出すとややこしくなるぞ」


 そうクソ野郎さんは言った。そして、僕に向かっても、


 「マー坊もな」


 っと付け加えた。


 「では、ここから皆さん、他人という事で、よろしくお願いします」


 とアモンさんも僕らに告げた。それと同時に、クソ野郎さんたちはなんとなくの絶妙な距離を取って離れてしまう。


 この部屋の扉はすでに開けられている。


 その扉から、輝く白のプレートメイルを着込んだ人物が入ってきた。


 神嶋さんでも、脇本さんでもない。もっと上位なプレートメイルだ。そして肩には例の十字架が2つ。あ、よく見ると、2つ並んだもう1つは、十字架が斜めになってる。なんだろう外れかけているって訳でもないとは思うんだけど。


 すらりとした立ち姿。僕と同じくらいの短い髪型、顔だけ見ると男の子みたいに見えるけど、なんか線が細い気もする。でも身長は大きいな、角田さんより少し小さいくらいかな、だから僕よりもかなり大きいというか高い。


 そんな人物が、僕らを見渡す様に、室内に入ってきたんだ。


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