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第97話【神すら呼び出す召喚塔】

 クソ野郎さんたち、細かくやりあうよりはお互いの攻撃が不足なく届くところでの1撃の打ち合いでもするみたいな雰囲気だ。ピリピリとして緊張感がこっちまで伝わって来る。


 思わず、僕も「大丈夫なんですか?」って出かけて、アモンさんを見ると、あ、これはわかる、もうウンザリって顔してた。


 「じゃあ、勝負だ」


 「一回勝負、遺恨のなきよう行くぞ」


 2人の拳は同時に放たれた。


 そう、勝負は一瞬についた。


 これはもう、確かに言い訳の入る余地のない決着だった。


 崩れる膝をついて、うなだれながら、石山さんは、


 「くそう!」


 と大きな声で叫んだ。


 かける言葉も無い。


 石山さんがパーで、クソ野郎さんがチョキだった、たったそれだけの話だ。


 「今回も俺の勝ちだ、悪く思うな、臣」


 「グーだ、グーさえ出していれば、一瞬、脳裏には浮かんだんだ、くそう」


 じゃんけんて、そう言う物だよね、本当に本気で悔しがって、本気で喜んでいる人たちの存在に、僕は普通に感動していた。


 今時、ジャンケンでここまで盛り上がれる人がいる素朴さに本当に感動した。


 だって、僕もたまにジャンケンとかする機会はあるけど、大抵、何かを賭けている場合が殆どで、むしろ、ただジャンケンをすると言うのはない訳で、この戦いって、単純にじゃんけんの勝敗だけって勝負で、ただジャンケンをするだけの人って初めて見て、ただただ驚いていた。やっぱり、この人、クソ野郎さん、そして今は石山さんも、この人たちって計り知れない。僕の想像なんて追いつかない変な人たちだ。


 まあ、良い勝負だったよ、どっちが勝ってもおかしく無い。そんな言葉をかけようとしたが、アモンさんが、「お仲間に加わりたいですか?」なんて、あの冷たい目で言われるもんだから、黙っていようと思った。


 感心してしまったと言えばもう1つ、なんか石山さん、懐から、結構使い込んでるよって小さなメモ帳を取り出して、そこに差している手帳用のちっさな鉛筆で、多分、今回の結果を記載していた。意外に細い人だなあ。 


 そう言えば、最近ジャンケンなんてして無いなあ、って考えていたら、いつのまにか1人ジャンケンしていた。ほら、自分の右手を左手で左手が負ける続けるように次々とじゃんけんして行く奴。


 そしたら、なんか血相を変えて、石山さんが、


 「秋殿、それは?」


 「1人ジャンケンだよ、やったことない?」


 なんかすごい勢いで首を横に振る石山さんは、


 「それさえ身につければ、次は必ず」


 って呟く。これ右手と左手を違った動きをさせる為の訓練であって、勝率には貢献しないよ。


 って言おうとしたけど、そんなのはもうどうでもよくて、つまりは僕は金色の宝箱についての情報が欲しかったんだ。


 「その、召喚塔って何?」


率直にクソ野郎さんに聞いて見る。


 もちろん、クソ野郎さんって、一方的に情報を教えてくれる人ではないので、こっちの情報も提供する。今迄の経緯とか言って見ると、


 「なんだ、情報の出元はお前かよ、マー坊」

と言って、教えてくれた。


 つまりはマジックアイテムなんだってさ、モンスターを呼び出す為のもので、出現するモンスターは色によってランクが決められていて、僕がどう言う訳か、積極的に出会っている金色が一番グレードが高い奴が出てくるみたい、エルダー級とかそれ以上とかだって、エルダー級よりも上があるんだなあ、ってこの辺も初めて知ったんだけど、ハイエンシェント系とかがいるらしい。


 種族にもよるんだけど下手な人間、ダンジョンウォーカーよりも賢いらしい。


 そして、この招喚塔が新型って言われているのは、よりモンスターの濃度の濃い深階層に送信塔を置く事で、出現ポイントと、確率を高くする事ができるそうだ。こう言う機能を持つ召喚塔は今までなかったんだってさ、通常では一個の召喚塔1つに一体のモンスターなんだけど。


 この新型は、一個の送信側に、簡易で安易な数個の受信機を繋げて同じ効果を得ることができるっていう話なんだって。極めて稀ではあるけど、 


 「支配者クラス、つまりは神とかが出る場合があるんだよ」


 「その確率は数億分の1に及びますから、ほぼ現れないです、天文学的確率ですがゼロではありません」


 とクソ野郎さんに続いて、アモンさんが説明してくれた。


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