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第93話【パンツはいてるから、ありえないから】

 さすがに、石山さん、クロスクロスの女の子を下ろして、現在、クソ野郎さんと絶賛交戦中。


 交戦、戦いといっても、なんか傍目に見るとじゃれている感じ。子熊同士がじゃれてるって感じかなあ、北海道では割と日常に溢れる光景だよね、札幌市内でも割と見られる、概ね南区と西区と清田区あたりに限られるけど。見かけたら逃げるようにね。近くに母グマがいるからね、子供を育てている期間の母グマの遭遇て、本当にシャレにならないから。


「なんで、お前があいつと一緒にいるんだよ」


「知り合い、理解し、友人になったのだ」


「ふーん」


 って呑気な会話をしながら、クソ野郎さんは槍で、石山さんは拳でせめぎ合ってる。普通に本気に攻撃し、避けあってる。でも、避ける方も本気だから、なかなか当たらない。いい感じの攻撃が入るけど、普通に避けてる、お互いに手の内を知っている感じ見たい。「うお!」とか、「とりゃ!」なんて声ばかりが響いている。なんだろうなあ、これは? 攻撃や回避の技能に嘘はないから本気で遊んでいる感じ? 仲良しさんか?


 後、僕の友人を語るならせめて本名くらいは名乗ろうよ、僕も人の事言えないけど、でもこの怪しい石山さんって友人枠には来そうもなかったので、このままお互いに偽名でもいいかなって思っていたから、石山さんからの友人認定は意外なものがある、ってか違和感がある。


 僕の理解しかねる戦いをよそに、傷ついたクロスクロスの2人は、アモンさんに処置されて今はスヤスヤと寝息を立ててる。結構派手に傷ついていたけど、あの時の僕ほどではないので、今回はアモンさんによる治癒が可能だったんだそうだ。一安心だね。


 それでも、体の傷よりも、あの大勢のゴブリンに囲まれて逃げることもできずに嬲られていた事を考えれば、心の傷の方が重症で、もしかしたら二度とダンジョンには入れないトラウマとかを抱えてしまったかもしれないって、そうアモンさんに告げられた。


 でも、その後アモンさんは、「誰もがみんなで、ダンジョンに入ってモンスター退治なんてしなくても良いんですよ、ましてや中階層行こうなんてダンジョンウォーカー全員で来る様なところでもありませんよ」ってクールに言われた。


 それで、今さっき戦いながらのクソ野郎さんと彼ら2人の治療をしながらのアモンさんに聞いたんだけど、ここに倒れている大型のゴブリン、『ゴブリンキング』がこの、2つの部屋を合わせて2000を超えるゴブリンを集めていたんだってさ、で、このキングは間違いなくエルダー級で。ゴブリンの中でも希少種で、長いダンジョンの歴史の中でも目撃例も少なく、個体数もほんの数回しか確認されていないって話らしい。


 従来、ゴブリンって徒党を組めいない種らしいんだけど、このキングだけはゴブリンを記録では10000〜5000体を集めて率いていた事も正式な記録に残っているって話だ。それに、その単体での攻撃力もすこぶる凄いものがある上に、ゴブリンだけど、簡単な治癒と攻撃魔法が使える。


 時折、突然変異みたいに、大きなゴブリンが生まれる事があるらしいんだけど、そういう特殊な個体の中でも頭の良く、意識高い系でカリスマを身につけるべく努力したゴブリンだけが到達できるゴブリンの中の頂点。


 それがこのゴブリンキングなんだって、すごいね、ゴブリンでも努力する事って大切だって事だよね。


 ちなみにこのゴブリンキングが以前出現したのは2年ほどまで、その時はゴブリン3000くらいの大隊規模で、ゴブリン大隊って呼ばれて、大きな討伐組織が組まれたらしいんそれをやっつけてのが、あの黒の猟団だったんだって、その時の規模って今より小さくて、この事件後、急速に大きくなっていったんだって。


 最近のダンジョンの歴史の話だ。


 でも、今回のゴブリン中隊くらいの規模かな、放っておけばまだまだ増えたかもだけど、それを討伐隊ではなくて2人によって全滅させられてたって話だね。


 確かに、あの武器と、アモンさんの能力なら多数の敵を相手にするのには適しているとは思うけど、それにしても強いよねこの2人。反則みたいな強さだよ。


 そんなゴブリンの諸事情を説明された僕はなんとなくその時、ちょっと多月さんの事を思い出しながら、2人のじゃれあいみたいな戦いを見ていた。すると、そんな僕の視線に気がついたクソ野郎さんが急に、


 「あ、そうだ、マー坊、パンツは履いた方がいいそ!」


 なんて遠くの方で言ってきた。


 ほんと、会う人会う人に言われる。


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