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第91話【さらなる奥へ待つ者たち……】

 さて、宝箱は、っとと思って見回すもあの背高ノッポの金色宝箱の存在はない。


 そう言えば前も、キングベヒモスが出た時には金色の宝箱が解けた後に何も残っていなかったから、ここも多分大量のゴブリンが現れて宝箱は解かれてなくなったみたいだから妹にとっては何の手がかりもないんだな、残念。


 気がついたら、石山さんが気絶したクロスクロスの女の子を背負っていた。


 「うむ、これでは戦えぬな、悪いが真壁殿、これからは私も守ってもらいたい、決して真壁殿を見たいと言うことではないのだ、ああ、負傷者を背負ってしまっているから仕方ないのだ、何と言うことだろう」


 と、さして悲しそうな顔もせずに口先ばかりで嘆いている。


 あえて、聞いた石山って仮名を使わずに言わせてもらうと、この人、嘘下手か?


 もう完全に僕の本名を言っちゃってるし、しかも一番最初はフルネームで言ってるし、僕、本名は明かしてないよね。それにさっき自分で4倍の重力に普通に耐えてたよね。


 その女の子、どう見てもあんたよりだいぶ軽そうだから、全く影響無いみたいに見えるんだけどなあ、って一気に怪しさが爆発して、そんな思考が広がってしまったんだけど、なんか、この人、憎めないんだよね、本当にニヤニヤと僕の方を見てるし、こんな目で見るのって、初めて会った名前だけは聞いていた親戚のおじさんに、何となく伝わってくる感じの好意みたいなものが溢れて漏れてる感じだ。


 さすがの僕もこれだけ特徴のある人は忘れないよなあ。絶対に出会った事はないよ。

 春夏さんとか全く警戒してないから、多分安全な人なんだろうけど、本当に何者なんだろうか? 正体不明の好意って放つ方は良いかもだけど、受ける方は不気味でしかない。 


 特にこの人、相当ゴツいから、冷静になると相当怖い。


 十中八九、真希さんの知り合いって感じなんだけど、ギルドって感じしないんだよね、ツギさんポジションかなあ、って思うんだけど、それも違う感じがして、なんなんだろう? 真希さんの知り合いだから、やっぱり変わった人なのかなあ。


 でもまあ、担がれている女の子は無事そうなので、良かったよ。妹の氷の攻撃から逃れた少数のゴブリンの各個撃破の際には、背負った子を守ってたもんなあ。


 多分、良い人である事は間違いないんだと思う。本当に何が目的なんだろうなあ。


 「ああ、見たいなあ、真壁 秋殿が本気で戦うところを見てみたいなあ」


 色々と推測している所に、解りやすく割と大きな声で独り言を言ってくれる石山さんだよ。何だそれ? さっきから戦ってるじゃん、僕。


 そう思って、ジッと石山さんの顔を見ると、


 「あー、見たいな、見てみたいな、真壁殿が本気も本気の戦いを、そりゃあ強くて素晴らしいのだろうなあ、あー見たいなあ」


 って繰り返し言っていたら、春夏さんが反応してた。


 「そうなの、強くてかっこいいんだよ秋くん」


 「ですよね、でも私は彼の補助的な役割に徹する姿しか見てないからなあ、特に一対一で戦う彼はカッコいいのでしょうね」


 「そうなんだよ、秋くん優しいからフォローに徹してくれるから、甘えて安心して戦えるの」


 「そうですね、強者とは常に優しいもの」


 「じゃあ、次は秋くんに戦ってもらおうか?」


 と春夏さんが言うと、


 「おお、東雲 春夏殿、ご理解ありがとうございます」


 「本気の秋くん早いから、見逃さないようにね」


 なんて勝手なことを言って2人してキャッキャと盛り上がっている。いや、そこは手伝おうよ、1人より2人だよ、春夏さん、石山さん、そこは助け合おうよ。


 なんてやり取りをしていると、


 「奥の部屋に…」


 って突然、気絶していたと思ってたクロスクロスの女の子が息も絶え絶えに、暗くなっている室内のさらに奥を指差した。


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