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第73話【北海道弁が出ない真希……】

 あ!、ちょっと驚いた。その会話の内容もだけど、真希さんが北海道弁を使ってない。

 何事だ?。


 「じゃあ、ないよ」


 って女の子の方も更におかしな事を言い出す。名前が無いってもなあ、嘘を言っているって感じでもない、だから彼女の言う事を信じるなら変な話もあったもんだ。


 「じゃあね、君、歳はいくつかな」


 「あなたは幾つなの?」


 「私は10歳だね」


 「じゃあ、私は11歳」


 そう少女が答えてから真希さんは言う。


 「あ、でももうすぐ11歳になるよ」


 「じゃあ、私は12歳だよ」


 「そうか、12歳かあ」


 「うん、12歳よ」


 2人して、『えへへ』って笑っていた。真希さん子供の相手うまいなあ。なんか僕らと話していた時よりこの子、警戒している様子って無い気がする。


 真希さんの10歳って言う年齢詐称の方はともかくとして、この時にわかったんだけど、この少女、自分が尋ねた相手の歳に単純に1歳足して答えているだけって、そう確信した。もちろん、その事が彼女にとって何を意図としているのかはわからないけど。


 それにしてもおかしな感じだ。


 だって、この少女、普通に受け答えできる。


 一見してもおかしなところもない。


 ちょっと不安だけど、普通に年相応の常識もありそうな感じもする。


 ダンジョンで何をしていたかは、これから先に聞くとして、あの様子なら多分、目的もあった筈だ。


 無いのは彼女自身のパーソナリティー、自分の名前とか、年齢とかの単純な情報。自我とかはあるみたいだよね、その事については何の不安も感じている様子もないもの。


 「なあツギ、お前はどう接してたんだべか?」


 「俺は例の金色の宝箱に夢中だったからさ、言われるままに、何箇所がの宝箱だげを見ていたな、時に気なるようなところはながったな」


 と、ツギさんは全く何も、宝箱以外は気にならないって顔をしてそう言った。


 「だよな、お前はそう言う奴だべ」


 と真希さんも諦めていう。


 仕方ない、って顔をして再び自分の目の前の少女に向き合って、真希さんは尋ねる。


 「それでさ、君は一体何をやっていたのかな?」


 どストレートに聞いて見た感じ。結局、僕たちに聞いても何もわからなかったから、何の裏付けもなく少女の話を聞くしかないよね、ここは。


 そして、僕は思う。


 北海道弁を使わない真希さんて、いいね。なんかほんと新鮮。あ、でもギルドの顔としてテレビの取材の受け答えしている真希さんってこんな感じだから、きっと外向の顔なのかなって思った。


 そんな思いを奔らせる僕はともかく、少女は答えた。


 なんか、もうすっかり真希さんと打ち解けたって感じ、ここに来て漸く話せる人が現れたって感じかな、ほら、迷子センターの担当のお姉さんが出て来てくれたみたいな、そんな様子だよ。


 安心したせいなのか、女の子、今まで緊張していたせいかな、最初に出会った時の顔じゃないんだよね、もっと刺々しい雰囲気だった印象が今はとても穏やかにな顔になってお話をしている。


 ん? ここで気がついたけど、この子、なんかとても綺麗な人だよ、と言うか、整っているってか、その容姿が尋常じゃないよ。


 ちょっと驚いてしまって、思わずは隣にいた春夏さんに声をかけてしまう僕だった。 


「ねえ、春香さん」


 って僕は春夏さんに声をかけるんだけど、


 「何? 秋くん」


 ってこっち向く春香さんの顔を見て、ああ、春香さんも美しいや、なんて思ってしまって、何だろう同じ印象を持って同じ違和感みたいなものを感じて、それが何かわからなくて、


 「いや、何でもないよ」


 って言ってしまった。何だろう、ちょっと埋もれていた触れてはいけないようなそんな既視感を感じたんだ。そしてそれが何であるのか、何を感じて何を思い出しかけたのかを次の瞬間には忘れていたんだ


 これは一体なんだろうなあ、って思っていたら、真希さんがこっちを、僕の方を見ていた。


 「どうしたべ? アッキー?」


 って笑って言うんだよ。その顔見てさ、ああ、真希さんは普通に可愛いなあ、なんて思ってさ、一瞬、まるで落ちてゆくように形にならない記憶違いみたいなものに捉えれてていた僕の思考は普通に戻った。


 あれ? 何だ今の?


 なんかおかしいぞ、と。


 でもそれがどうして何かがわからない。


 真希さんはそんな僕の方を見ているから、いいよこっちは、そっち、女の子の相手に集中してあげてよ、という思いを込めて、


 「いえ、別に」


 とだけ言った。


 この時点において、大したことがない、きっと何かの記憶違いだって、そう考えていたんだ。あの少女のイジェクトのせいかもしれないなあ、なんて考えていた。


 僕の方はともかく、真希さんと少女は再び会話を続けていた。


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