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第72話【ダンジョン年齢外の謎の少女】

 麻生さんのそんな言葉の後に、真希さんもため息ついてるし。心配が各方面に及んでいる様で、


 「まあ、春夏ちゃんはいいとしても、その一緒に行ったって言う委員長ちゃんも心配だね、ここまで節操がないと」


 と真希さんが言う。委員長ちゃんって葉山さんのことだと思う。大丈夫だよ、怪我とかしてないし、元気だったよ。


 「使ってる方がここまで意識と自覚が無いと、このままにしていても影響がないからいいとは私は思ったけど、こうしてホイホイ使われてしまうとねえ、もうどうすべか?」


 「私がかつて所有していた王のスキルはここまで異性の心を支配してしまうものではなかったからな、純粋にダンジョンを楽しむ真壁氏に関して他者に対して悪影響を及ぼすような使い方はしないだろうと考え放置していたのは私も同じだ、無意識化に近い状態てここまで対象者の心に影響を与えてしまっている以上、このままにしておく訳にもいくまい」


 「いや、私もだべさ、角田に春夏ちゃんがいるからって、安心してたべさ、無責任に放置していたのは私の方だったべ」


 そして、2人が出した言葉は、同じ言葉として重ねて発言された。


 「一度きちんと彼には説明した方がいいと思う(べ)」


 本当、綺麗なユニゾンで同じ言葉を言ってた。


 「その機会はいずれ確実に設けるとして、今現在の問題として、彼女をこのままにと言うのも…」


 2人は、真希さんと麻生さんはまるで『痛い』物を見るように椎名さんを覗き込んだ。


 すると、その視線を意識した椎名さんが、まるで守るように自分の体をその腕で抱きしめて、


 「私はこのままでいいです、これが狂王様のスキルの効果と言うのもわかっています、もういいんです、これ以上私の心を弄ばないでください」


 と切に訴える。何のことか全くわからないけど、きっと僕がやらかしたことなんだろうなあ。


 それに対して一瞬、僕の方を見てからため息をつく真希さんと麻生さんだよ。


 ガッカリするならさ、せめて何に対してどうしてってことを、誰に対してかはっきりさせて欲しい。


 なるべくわかりやすく具体的に、あの攻めるに責められないって目とか止めて欲しい。なんだよ、言いたい事があったらハッキリ言えよ、ってか言って欲しい。 


 「したっけ、こんな状態になっても大外周りでは中途半に上手く回っているってのも腹たつわ、呑気な顔しやがって、みんなお前のせいだべさ」


 「本人の意思とかはないからな、この場合は彼を責められないだろ、だからと言って正直に話すのも事が事だけに倫理とかに抵触する可能性もある、もちろん真壁氏の場合は真実を知っても悪用って事はないだろうが、本人が自覚させると言うことについては説明がむずかしい、全く悩ましいよ」


 何について怒られてるのか、全く理解ができないけど、なんか色々ごめんね、って気持ちはある。きちんと謝りたいのできちんと怒って欲しいけどな。


 「まあ、いい、アッキーの方は角田を交えて厳しく指導するとして、今はこの子だべさ」 


 と、その小学生にしか見えない女児を見て、再び話を元に戻した。僕の話をしている時間、つまりこの女の子の話をしていない時は、わりと大人しめでじっと座って、時折、周りを見回したり、与えられていたジュースを飲んだりしていた。


 そして僕に対しての話題とは違っていて、女の子にはニコニコ顔で話しかける真希さんだ。


 「ねえ、君、名前を教えてくれるかな?」


 「あなたの名前は?」


 おおっと、人に名を聞くならまず自分からって名乗りなさいって意味なのかな、真希さんに向かって、度胸があると言うか、もっとも真希さんて、こうしてニコニコしてるとただの優しいお姉さんだよな、子供視点では。



 僕には色々厳しいけど、たまには僕に対してもこういう風に常識的な優しいお姉さんになって欲しい気もするのは贅沢な事なのだろうか?。


 「私は工藤真希だよ」


 「う〜ん、じゃあ私は工藤真希?」


 と見当違いの事を言い出す。言っている事がおかしい。でも、それを言う彼女に迷いみたいなものが感じられない、本当に思った事が口に出ている感じだ。


 何を言っているんだろう、からかってるにしてはその言い方というか態度もおかしい。


 「そっか、名前はね、君の名前だよ、工藤真希は私の名前、あなたの名前を知りたいんだけどさ、あ、ないならいいよ」


 って真希さんもおかしな事を言う。いやいや、名前が無いわけないでしょ。




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