第27話 【エルダーモンスター討伐者】
辛勝だったダンジョンデビューから、数日の後、僕らはいつも通りダンジョンに入って、一階のスライムの森で、スライム討伐する日々を2・3日、送っていた。
緑やオレンジ、青やら黄色のスライムって、信じられないほどよく消える。一撃でシュバババって感じに消えてくれる。
本当に、この前の銀色のヤツなんだったんだよ、って思ってしまうくらい、忘れてしまうくらい、簡単に消えてくれる。
ちなみに今日はギルドのレンタルソード借りれた。青い方のヤツ。
で、この手に残る手ごたえでしょ? 確かに楽しくて、このスライムの森だけに通う『スライム専門ダンジョンウォーカー』がいるのもやや納得の僕だよ。
そんな日々も、スライムの森は大盛況でさ、まあ、もう、完璧にスライムを倒してしまう僕らにはギルドのレクチャーを受けるまでもなくて、毎日、3体のスライムを倒しては、そのままスライムの森の中を散策したりして、他のダンジョンウォーカの人と立ち話したり、なかなかのダンジョンの日々を楽しんでいたんだ。
でさ、ここ最近の噂っていうか、この時期って、新人ダンジョンウォーカーの噂とかが囁かれる時期で、新しい世代のダンジョンウォーカーがやって来る時期でもあるから、その中でも、期待の新人とか、型破りなルーキーとか、いろいろと凄い人とかもいるわけで、割と有名なのは、『一刀の淑女』なんて言われたダンジョンウォーカーもいて、最近なら、『ギルドの王姫様』とか言われるたった1日で深階層まで到達したなんて人が有名で、それ前だと『黒き瀑布剣流』とか? 『蒼く浮く烏』なんて言われるダンジョンウォーカーが話題を提供していたらしいんだ。
どれもみんなベラボウに強いんだって。もう反則かってくらい。
最近ダンジョンに入り始めた僕でさえ知ってる噂だからね。
当時は相当に問題になったっていうか、話題を振りまいていたんだろうね。
みんな、それぞれが特定のダンジョンウォーカーを指す呼び名らしいけど、どれも伝説になってしまくらいの逸話があるらしい。
そして、そんなダンジョンにまた新しい伝説というか、まことしやかに囁くには大きすぎる声で流布されてる噂があるんだって。
ここ何日か、スライムの森にいるからさ、みんなが喋ってるっていうか、いやでも耳に入って来る。
大通公園を歩いてる時とか、どうみてベテランの人に、僕らがスライムの森に行くってわかると、特に途中の階段のとろこで聞いてこられるかな。
「なあ、また凄いの入って来たんだって?」
なんて感じで割と気さくに聞いて来る。こういう時ってお互いダンジョンウォーカーだよね、って変な連帯感とか生まれるから不思議だ。
それにこっちの聞きたい情報も教えてくれるしね、なんかこういう、本当にお互い様なのにさ、お得な感しないよ。
そして、みんなが口々に噂する、その内容を整理すると、今、一番ホットな話題は、なんでも、ダンジョン初日のダンジョンウォーカーが、エルダー級モンスターを葬った。って内容だった。
いや、僕も聞いていて、『へー』くらいには思ったんだ。
なんでも、深階層のさらに深いところにいた、『銀色の貴腐人』って言われる、もう、近くづくのも躊躇われるくらいの強力なスライムを、ほぼ一撃で葬ったって、凄い人らしい。
近づくものはみんな自分の体内に取り込んで溶かしてしまう恐ろしい奴で、深階層常連の僕に声をかけて来た人も、逃げるだけでも手を焼いていて、ほとんどのダンジョンウォーカーはその攻略を諦めているって話らしいんだ。
聞いてる僕としては、そんな怖いモンスターがいるんだ。くらいには驚いて。
まあ、僕が深階層に行くのはずっと後の話だとは思うんんだけどさ、それでも、なんとなく、僕としては横にいた角田さんに、
「すごいモンスターがいるんだね、気をつけようね」
って言ったら、角田さん、なんだろう、どこか優しい顔して、生温かな視線で僕を見てた。納得してくれてるって事でいのかな。
少なくとも僕には関係の無い話なワケさ。
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