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第57話【黒の猟団全滅】

 一応僕だって微力ながら力は貸すよ、春夏さんと角田さんも協力するよきっと。こんな危険な状態なら宝箱どころじゃないもの。


 早く平和で安全なダンジョンでのほほんと宝箱を開けまくりたいからね。それが、終わっているって、一体何を言っているのか皆目見当がつかないよ。


 すると、今度は椎名さんが僕に告げる。ハッキリとわかりやすく、一言一言丁寧に言うんだよ。


 「あなたが今倒して、そして強制的に治療させたそこに倒れている女の子、その人物が、黒の猟団の現首領、『蒼く浮く烏』、多月おおつき あおその人だからよ」

 え?


 「つまりね、真壁くん、あなたはもう既にあなたの命を脅かすって言っていた人物を倒してしまっているのよ、本当に出会い頭の一瞬の攻防だったわね」


 とほとほと感心したと言った顔で葉山さんも言う


 んー?


 僕はひとまず、手に持ったままの剣を脇には挟んだりして、ちょっと考えてみる。


 あ、そうだ。


 「あ、でも首領が倒れても、副首領とか、サブリーダーとか、さ」


 そうだよ、そう、組織だもん。そう言う人が代わりに襲ってくるって考えもあるよ。


 「黒の猟団のナンバー2ならそこで泡を吹いて倒れているわよ」


 と葉山さん。


 「鉄鋼ミノタウロス。五頭 熾丸(ごず  おきまる)、パワータイプのゴリ押しファイター斬撃系の武器を扱う者にはとても厄介な相手として、深階層ではそれなりに名の知れた人物よ」


 と椎名さんは笑って言った。そして、自虐的な笑顔を僕に向けて、


 「そして、私がナンバー3よ、で、ここに倒れているのは組織の一応幹部なのよ、他の幹部は皆、あの時、初めてあなたに会った時に倒されたわ」


 と言って微笑んだ。本当にいい笑顔。椎名さんて綺麗な人だから今の気持ちを乗せているせいかな、その重い声とは裏腹の表情に、僕はちょっとドキッとしてしまったよ。怖いよ、なんか。


 「え? じゃあ、もう、終わってるって事?」


 「そうだね、組織としてもう終わってしまってるよね、これだけ綺麗な全滅ってのもあんまり見られないよ」


 こらこら葉山さん、唯一の生き残りの前で微妙な発言しないで。


 「一応、結果だけは持ち帰るか、一緒に来て証言だけ頼めるだろうか、当事者がいたほうがわかりやすい」


 と喜耒さんも椎名さんに声をかける。その言葉に頷く椎名さんだよ。


 そして、間も無くこの組織、黒の猟団はギルドに対して正式に組織の改編を宣言した。そしてさらに、この後、元黒の猟団の人たちは、組織の名前と目的と理念を変えて、再編成すると言うか生まれ変わる事になる。そしてこのダンジョンでさらに拡大を開始するのであるが、それはまた、別のお話。 


 ともかく、僕らは、気絶しているだけの他の幹部を起こして、当分起きそうもない多月さんと五頭を任せて、意外な事にさらに次の目的の場所を目指した。


 倒れていた3名の幹部の人たち、ついさっきまで敵対していた僕らの話を椎名さんがいるせいなのか、存外素直に聞いてくれてびっくりしたけど、この部屋はもう安全だから、任せて大丈夫だと思う。


 それにしても、こんなことがあった後なのに葉山さんが言うんだよ。


 「もう、危険もないし、あと2箇所、サクサク回っちゃおうよ」


 って、ほんと葉山さんてクレバーな人だよね。切り替えが早いって言うか、僕がビビりすぎなのか、冒険者ってのが特別なのか、その辺はまだわからないけど、ちょっと感心。


 そして、それもそうだな、って思った僕がいて、次の部屋に向かって移動を開始していたんだ。 


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