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第51話【ちょっとこの剣おかしくない?】

 僧兵みたいな人は、大きく振りかぶる。


 確かにこの鉄杖なら、大抵の刃物系の武器はへし折れそうだ。


 でも、相手が悪かったね。相手、僕って事じゃなくて、対象としている武器って意味で、この剣を折れる武器ではないよ。その鉄杖。


 それに、あんな大振り、避けるの簡単だよ。隙だらけじゃん。この人、僕が鉄杖の一撃を剣で受け止める事を前提に攻撃に入ってるよ。


 もうなんかね、程度がね、そりゃあ、沢山やられた人の1人の人なんだなあ、って感じ。ダンジョンウォーカーって言うよりも札雷館にいそうな人だね、脳筋ぽいもん。


 まあいいや、期待には答えるよ。


 剣で受けてあげるよ。


 僕は振り下ろされる鉄杖を受けるために、その軌道に剣を差し込んだ。


 僧兵みたいな人、ニヤリって笑う。気持ち悪。自分のプランにまんまとハマったって感情を隠そうともしない。多分、性能や身体能力なら浅階層のジョージの方が脅威だよ、あのあゾンビはあくまでゲードキーパーだからさ、加減してくれてたけど、それ以下のプレッシャーだよ、この人。


 そのまま剣と錫杖を合わせて、刃を寝かして、このノンビリと振り下ろされる錫杖の下を走らせて、握り込めた手を切浅めに切って、戦闘力を奪ってしまおうかと思ったんだけどさ、打点、と言うか剣と錫杖の接点が、僕が思っていたよりは遠くにあるんだよ。


 思わず、


 「あ!」


 って言葉を漏らしてしまう。


 「真壁くん、下がって、逃げて、引いて!」


 って葉山さんが叫んでるよ、大丈夫大丈夫、思ったより相手が強かったとか、そっちの方の驚きじゃないから、


 「死ね!」


 とか調子のいい事言っているよ、この僧兵みたいな人。


 特に、その作戦とちうか力尽くな攻撃にまんまとハマった訳でもないんだよ。


 錫杖と僕の振り上げた剣の接点が僕が思っていたのよりもだいぶ上にあるんだ。


 つまりさ、この剣は錫杖にめり込んでいるって事なんだよ。


 もっとわかりやすく言うなら、この剣、錫杖を受けてないんだ。錫杖の切断を開始してしまっているんだよ。


 ほんと、相当おかしいよ、この剣。なんか硬度と言うか、剣自体の切れ味が変わる。


 あの時の、巨人の首をやっとこさ傷つけた時よりも、剣自体の切断しようとする意思がまるで違う気がする。おかしな話だけど、剣が意思ってあるわけないじゃんって思うんだけどさ、でもそれを振るう僕には確かに感じるんだよ、剣の意思みたいな、前回の後悔というか悔やみみたいなものを今に生かそうとしているみたいな感じ。ってそんな事あるわけないか。


 それは兎も角、このまま行くと、振り上げる剣の軌道上にある、この錫杖よりも柔らかい僧兵さんみたいな人の顔面を真っ二つだなあ。僕はリカバリーで、錫杖を斬った所で、剣を寝かして、つまり、刃から、腹の方で僧兵みたいな人の顔面を引っ叩いた感じになる。 


 物凄いいい音がして、ほんと、ハリセンで叩いたみたいな音がして僧兵みたいな人は派手に吹っ飛ぶ。もちろん、その意思を刈り取るには十分な攻撃で、これでこの場所には敵はいなくなったね。


 「流石だ、あっという間だったな」


 と喜耒さんも、剣を収めながら言う。


 本当だよ、1分かかってないもの。僕が飛び込んでから数秒の出来事だよね。


 「喜耒さん、怪我とかない?」


 「私は大丈夫、葉山は無事か?」


 と声をかけるけど、葉山さんは呆けたように、僕を見ている。


  「葉山さん、大丈夫?」


 って声をかけると、


 「あ、うん、うん、大丈夫、平気」


 って呟くんだけど、あいかわらす、心ここにあらずって感じて、今度は倒れた僧兵みたいな人を見て、また僕を見た。


 「まあ、そうなるよな」


 って喜耒さんが言う。


 何がそうなるんだろうか、この葉山さんのおかしな反応には納得するところがあると言う感じの喜耒さんだ。


 まあ、無事ならいいんだけど、どうしたんだろ? 


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